43-2001  正しい記述を二つ選べ.   a.外用剤は角質のバリア効果のため,ほぼ100%皮 | 皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!

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2015-12年の解答は、各設問のコメント欄をご参照下さい。
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43-2001
 正しい記述を二つ選べ.
a.外用剤は角質のバリア効果のため,ほぼ100%皮膚付属器を経て吸収される.
b.外用剤の経皮吸収量は主剤の分子量や濃度で決まり,基剤の性質には関係しない.
c.一般に電解質や極性(親水)基の多い物質は,脂溶性物質に比べ角質層を透過しにくい.
d.イオントフォレーシスは皮膚に電流を流し,荷電した物質を能動的に経皮吸収させる方法である.
e.密封包帯法は水分蒸発を阻害して角質層を浸軟させ,外用剤の経皮吸収を阻害する.



















 正しい記述を二つ選べ.
a.外用剤は角質のバリア効果のため,ほぼ100%皮膚付属器を経て吸収される.  →○90% ?×?→×
b.外用剤の経皮吸収量は主剤の分子量や濃度で決まり,基剤の性質には関係しない.  →×
c.一般に電解質や極性(親水)基の多い物質は,脂溶性物質に比べ角質層を透過しにくい.  →×?、○?→○
d.イオントフォレーシスは皮膚に電流を流し,荷電した物質を能動的に経皮吸収させる方法である.  →○
e.密封包帯法は水分蒸発を阻害して角質層を浸軟させ,外用剤の経皮吸収を阻害する.  →×逆に促進する。


あたらしい皮膚科
http://www.derm-hokudai.jp/textbook/pdf/6-01.pdf

外用療法は,外用薬を皮膚に塗布または貼付する療法である.外用薬は主剤と基剤(vehicle,base)から構成されている.主剤は実際に作用する薬物であり,基剤は主剤が目的病変に効率よく作用するための補助的物質である.皮膚の最表層には角層が存在するが,この角層は疎水性で密度が高く,体内からの水分の蒸発を防いでいる.同時にこの疎水性の角層は,外用薬が皮膚の内部へ浸透するための最大の障壁(律速段階)ともなっている.加えて角層の表面には一般的に皮脂膜が存在し,これも一種の壁となる.一方,顆粒層以下においては親水性の性状であり,薬剤の吸収は容易である.一般に外用薬が皮膚の内部へ浸透する場合,その薬剤の通過経路は①角層の細胞を貫通する,②細胞の間隙を通過する,③経毛包脂腺吸収の3 通りが存在し,基剤や主剤の性状によってその経路や吸収度は決定される.以上をふまえると,次のような事実は納得しやすい.
● 手掌など角層の厚い部位よりも,顔面や陰ˆなど角層の薄い部位の方が,外用薬は浸透しやすい(表6.1).
● 分子量の小さな薬剤ほど吸収されやすい.一般的に分子量1,000 以上の物質は正常な表皮角層を通過できない.
● びらんや潰瘍など角層が障害されている場合は薬剤の吸収が亢進し,基剤の刺激も受けやすい.ただし,油脂性軟膏はこれらの病変に対しても比較的緩徐に作用する.
● 薬剤との接触時間が長いほど吸収は良くなる.密封療法(後述)はこのことを応用した外用方法である.
● ふやけて角層中の水分量が多くなっている部位は,細胞間隙も広がっており,薬剤の吸収もよい.


http://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/129_12/pdf/1453.pdf
薬物の皮膚透過性と経皮吸収型製剤角層バリア克服の歴史




ぬり薬の蘊蓄うんちくvol.2主薬と経皮吸収性~主薬によって、経皮吸収性が変わります~
http://www.maruho.co.jp/medical/academic/infostore/pdf/nurigusuri02.pdf

経付属器官経路からの吸収ではバリア機能を有する角質層を介さず、直接真皮に移行できるため、経表皮経路と比較して一般的に主薬の特性(分子量や脂溶性など)による制限を受けにくいとされています。しかしながら、毛孔や汗孔の面積は角質層の面積と比較して極めて小さいため、主薬の経皮吸収には主に経表皮経路が寄与していると考えられています。
 経表皮経路には角質細胞間隙を経由する「細胞間経路」と角質細胞内を経由する「細胞内経路」の2つがあり、細胞内経路よりも細胞間経路を主に経由して主薬は吸収されると考えられています。
 角質細胞間隙中にあるセラミドやコレステロールなどの角質細胞間脂質は、1分子中に親水基と疎水基を有しているため、図1に示すように脂質層と水層が生じます。サンドイッチに例えるとパンにあたる角質細胞間脂質が具にあたる水を挟んでいます。そのため、角質細胞間隙では脂質層と水層が交互に重なっており、ラメラ構造と呼ばれる構造を有しています。ステロイドなどの脂溶性薬物は主に細胞間経路の脂質層(角質細胞間脂質)近傍を介し、アスコルビン酸(ビタミンC)などの水溶性薬物は主に水層近傍を介して角質層を通過できます。
 水溶性薬物よりも脂溶性薬物のほうが一般的に経皮吸収されやすい理由の1つとして、角質層全体としては脂溶性が高いことが挙げられます。