皮膚科専門医研修目標および研修内容2 | 皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!

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2015-12年の解答は、各設問のコメント欄をご参照下さい。
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(8)紅斑症
行動目標
1)紅斑症の多彩な症状・分類・概念について熟知するとともに,全身疾患との関係を説明する.
2)多形滲出性紅斑の原因の多様性,軽症型(Hebra型,EEM minor),重症型(EEM major)の臨床・病理を理解し,検査・治療を実施する.最重症型粘膜皮膚眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)の原因,特徴,治療につき説明する.
3)結節性紅斑の原因の多様性,臨床・病理組織所見を理解する.本症を生じやすい基礎疾患を熟知する.臨床的に本症と類似するBazin 硬結性紅斑,血栓性静脈炎,結節性多発動脈炎,脂肪類壊死症,サルコイドーシスとの臨床的・組織学的鑑別を説明する.
4)Behet 病の概念・皮膚症状と全身症状・診断基準・治療を理解し説明する.
5)Sweet 病の概念・全身症状・皮疹と組織像・治療・合併しやすい基礎疾患につき理解し説明する.
以下,6)~8)の概念・原因・症状・治療につき理解する.
6)Reiter 病
7)Darier 氏遠心性環状紅斑
8)持久性隆起性紅斑
9)次の紅斑類の概念と全身性疾患との関連を理解し説明する.
慢性遊走性紅斑とライム病,壊死性遊走性紅斑とグルカゴノーマ症候群,匍行性迂回状紅斑と内臓悪性疾患,リウマチ性環状紅斑とリウマチ熱.
(9)角化症
行動目標
1)表皮分化(角化)過程の基本的概念を理解する.
2)角化過程で発現する種々の分子についての基本的性質を熟知する.
3)角化異常症の成立機序におけるケラチンを含めた関連分子の役割を熟知する.
以下,4)~10)について臨床・病理変化・治療を理解する.また,遺伝子異常の解明されたものについては,その内容も理解する.
4)魚鱗癬および魚鱗癬症候群に属する症候群
5)掌蹠角化症
6)Darier 病および家族性良性慢性天疱瘡(Hailey-Hailey 病)
7)黒色表皮腫
8)汗孔角化症
9)毛孔性紅色粃糠疹,進行性紅斑角化症,変動性紅斑角化症
10)毛孔性苔癬,顔面毛包性紅斑黒皮症,連圏状粃糠疹,鱗状毛包性角化症,持続性扁豆様角化症,疣贅状肢端角化症,stucco keratosis,融合性細網状乳頭腫
(10)炎症性角化症と膿疱症
行動目標
1)炎症性角化症・膿疱症の定義・種類・臨床の一般的事項を説明する.
2)乾癬の疫学・病態生理・病態変化を説明する.
3)乾癬の症状・経過を熟知し,症例に応じて適切な指示と治療を実施する.
4)PUVA 療法,UVB 療法(narrow band UVB 療法など),ビタミンD3 外用,レチノイド,シクロスポリン療法などの適応,作用と副作用,併用禁忌を説明し,実施する.
5)膿疱性乾癬の臨床・経過・治療を説明する.
6)疱疹状膿痂疹および稽留性肢端皮膚炎,角層下膿疱症,好酸球性膿疱性毛包炎の定義・臨床を理解する.
7)掌蹠膿疱症の臨床・経過・治療を熟知する.
8)類乾癬の種類・臨床・病理変化・経過・治療を理解する.菌状息肉症との関連を理解する.
9)扁平苔癬の臨床・病態生理,治療を説明する.薬剤アレルギーとの関連を理解する.
10)Gibert 薔薇色粃糠疹の臨床・経過を熟知し,鑑別診断を説明する.
11)光沢苔癬,線状苔癬,毛孔性紅色粃糠疹,Mucha-Habermann 病の臨床を理解する.
(11)水疱症
行動目標
1)水疱症の分類・概念について熟知する.
2)天疱瘡および類天疱瘡の分類,臨床,病理変化,免疫所見を熟知する.また,最近明らかになった抗原物質の性状・表皮の接着機構における役割を知り,水疱形成における関与を考察する.
3)血漿交換療法,テトラサイクリン・ニコチン酸アミド併用療法などの新しい治療法の適応,作用と副作用を熟知する.
4)蛍光抗体直接法および間接法,split skin による間接法,ELISA による抗デスモグレイン抗体検査の意義を理解し,治療を実施する.
5)妊娠性疱疹,瘢痕性類天疱瘡,後天性表皮水疱症,疱疹状皮膚炎,線状IgA 皮膚症などの比較的稀な自己免疫性水疱症の分類,臨床,病理変化,免疫所見を熟知する.
6)先天性表皮水疱症の分類,臨床,病理変化,その原因遺伝子の異常を熟知し,遺伝相談・治療を理解する.
(12)膠原病および類症
行動目標
1)全身性エリテマトーデスの症状・診断基準を熟知し,患者の問診・診察・検査の実施と判定に熟練する.
2)各種自己抗体の臨床的意義を理解する.
3)全身性エリテマトーデスの重症度の判定を説明し,それぞれに応じた治療を実施する.しかも,長い年月をかけて患者の生活を指導し,要望に応える.
4)全身性エリテマトーデスと妊娠についての最近の考え方を説明する.さらに,患者の要望に応えて治療を実施する.
5)円板状エリテマトーデス,深在性エリテマトーデス,凍瘡状エリテマトーデスの臨床,診断・治療を熟知し,実施する.
6)新生児エリテマトーデス,亜急性エリテマトーデスの臨床,診断・治療を熟知し,実施する.
7)抗リン脂質抗体症候群の概念を理解し,臨床・診断・治療を熟知する.
8)全身性強皮症の皮膚症状,全身症状・診断基準を熟知し,患者の問診・診察・検査・治療を実施する.
9)限局性強皮症の病型・臨床・臨床所見・経過・治療を説明し,実施する.
10)皮膚筋炎の皮膚症状・全身症状・診断基準を熟知し,必要な検査・治療を説明し,実施する.
11)Sjgren 症候群の臨床・診断基準を熟知し,必要な検査・治療を説明する.
12)オーバーラップ症候群,混合性結合組織病(MCTD)の臨床,診断・治療を熟知し,実施する.
13)リウマチ熱,リウマチ様関節炎,悪性関節リウマチの臨床・他の膠原病との鑑別点を説明する.
14)成人Still 病の概念,臨床・治療について実施する.
15)壊疽性膿皮症の臨床症状を理解し,治療する.
(13)代謝異常症
行動目標
1)アミロイドーシスの分類,皮膚および全身症状を理解する.
2)アミロイド苔癬,斑状アミロイドーシスの臨床および病理組織像を説明し,その他の皮膚アミロイドーシスについて理解する.
3)全身性アミロイドーシスの組織診断について理解する.
4)ムチンが皮膚に沈着する疾患を理解し,その染色法と染色態度を知り,汎発性粘液水腫,粘液水腫性苔癬,毛包性ムチン沈着症について皮疹およびその組織像,全身疾患との関係について説明する.
5)先天性ヒアリン沈着症(皮膚粘膜ヒアリノーシスおよび全身性ヒアリノーシス),膠様稗粒腫,青年性浮腫性硬化症,ムコ多糖症の臨床について理解する.
6)先天性結合織線維代謝異常症について理解する.
7)黄色腫の臨床像と高リポ蛋白症との関連を理解し,適切な治療を行う.
8)ポルフィリン代謝異常の概要を知り,各種ポルフィリン症の症状,特に遅発性皮膚ポルフィリン症の臨床を理解する.
9)マクログロブリン血症,クリオグロブリン血症,ヘモクロマトーシス,フェニルケトン尿症,ホモチステイン尿症,先天性白皮症について病因と臨床を理解する.
10)痛風の概念と全身および皮膚症状について理解する.
11)ビタミン欠乏症の種類を知り,ペラグラの病理,臨床症状などを知る.
12)石灰沈着をきたす疾患について理解する.
13)亜鉛欠乏症候群,腸性肢端皮膚炎について概念・臨床・治療などを説明する.
(14)軟部組織(皮下脂肪組織・筋肉)疾患
行動目標
1)皮下脂肪組織を病変の場とする疾患の分類・臨床を理解する.
2)皮下脂肪組織を侵す疾患:Weber-Christian 症候群,histiocytic cytophagic panniculitis,深在性エリテマトーデス,物理的な原因による脂肪織炎,木村氏病,皮下脂肪壊死症,新生児硬化症,全身性または局所性脂肪萎縮症,小児腹壁遠心性脂肪萎縮症などについて臨床所見・検査所見・病理組織像・診断および治療を理解する.
3)筋膜および筋肉の病変を主体とする疾患,例えば,結節性筋膜炎,好酸球性筋膜炎(Shulman症候群),増殖性筋炎・筋膜炎,化骨性筋炎・筋膜炎の概念と臨床を理解する.
(15)肉芽腫症
行動目標
1)肉芽腫の基本概念・成立機序・病理所見について説明する.
2)異物肉芽腫の臨床,病因および組織学的所見の特性を説明する.
3)類壊死性肉芽腫(環状肉芽腫,リポイド類壊死症,リウマチ結節,annular elastolytic giant cellgranuloma)の概念・臨床・病理・治療を説明する.
4)サルコイドーシスの概念・診断基準・臨床所見・検査異常・病理所見を説明する.
5)顔面播種状粟粒性狼瘡の概念・臨床所見・治療について熟知する.
6)若年性黄色肉芽腫の概念と臨床・病理を説明する.
7)乳児臀部肉芽腫,血管拡張性肉芽腫の概念・臨床・病理・治療法を説明する.
(16)太陽光線による皮膚障害
行動目標
1)光線の種類と皮膚におよぼす作用について熟知する.
2)日光による生理的皮膚反応:日光皮膚炎,光老化,項部菱形皮膚,光線角化症の臨床・病理組織像を説明する.
3)光線過敏症:薬剤性光線過敏症,光接触皮膚炎,多形日光疹,日光蕁麻疹,種痘様水疱症の概念・臨床・検査・治療・予防を説明する.
4)色素性乾皮症の発生機序・臨床・生活指導について説明する.
5)ポルフィリン症の病型・臨床・検査・治療を理解する.
6)可視光線または紫外線によって悪化する皮膚疾患を理解する.
(17)放射線皮膚障害
行動目標:種類・原因・臨床・治療・続発疾患について熟知する.
(18)熱傷
行動目標:全身管理,局所処置,後療法などについて必要な事項を説明し,実施する.
1)熱傷の分類・臨床・経過を熟知する.
2)熱傷の局所療法の基本的事項を熟知し,熟練する.
3)重症熱傷の全身管理・治療について熟知し,実施する.
4)化学熱傷の全身管理および局所治療を実施する.
(19)皮膚潰瘍
行動目標
1)皮膚潰瘍の成因について説明する.
2)成因別の治療法を実施する.
3)下腿潰瘍の病態と治療について全身性疾患との関連で述べる.
(20)褥瘡
行動目標:全身管理,局所処置,後療法などについて必要な事項を説明し,実施する.
1)褥瘡の成因と予防法について説明し,予防法を実施する.
2)褥瘡の病期分類を熟知し,それに基づく治療法を実施する.
(21)色素異常症
行動目標
1)色素異常症の病理学的所見,すなわちメラニンの増加や減少,消失が表皮,真皮のどのような変化と対応をするかを理解する.
2)色素異常症の一般的薬物療法,手術療法,遮蔽(カモフラージュ)法,レーザー療法等について熟知し,実施する.
3)白皮症の分類と原因,診断法について熟知し,患者の生活指導を実施する.
4)尋常性白斑の分類と発生機序,自然経過,治療法について熟知し,実施する.
5)真皮メラノサイトーシスの概念と,これに属する疾患について説明する.
6)色素異常症の遺伝的,家族的背景について熟知し,患者や家族への適切な助言を与え,症例によっては遺伝相談の専門家を紹介する.
7)内分泌疾患等の全身性疾患における色素異常の発生機序,症状と診断法,治療法について熟知し,実施する.
8)メラニン以外の物質,例えば金属,薬剤,その他の色素(カロチン・ヘモジデリンなど)によって生じる色素異常症の症状や発生機序,治療法を説明する.
(22)母斑と母斑症
行動目標
1)母斑の概念を理解し,その病理発生に基づいた分類を説明する.
2)表皮母斑・脂腺母斑とその症候群について症状と経過を,治療方針を説明する.
3)母斑細胞母斑の症状・病理組織像・鑑別すべき疾患を列挙し説明するとともに,特に悪性黒色腫との鑑別点を熟知する.
4)分離母斑,Sutton 母斑,Spitz 母斑,dysplasticnevus syndrome について説明する.
5)母斑細胞母斑の治療方針について熟知し,指導医のもとで治療を実施する.
6)扁平母斑,単純黒子,太田母斑,青色母斑,蒙古斑および類症として遅発性両側性太田母斑様色素斑の病理組織像・治療方針について説明する.
7)母斑性色素性病変の治療におけるレーザー治療の適応について理解する.
8)単純性血管腫,苺状血管腫,海綿状血管腫,くも状血管腫,正中部母斑(サモンパッチ),海綿状リンパ管腫の症状,予後,病理組織像を説明し,それぞれの治療方針を熟知するとともに,患者,家族に対して適切な説明をする.
9 ) inflammatory linear verrucous epidermal nevus,面皰母斑,結合織母斑,軟骨母斑,副耳,耳瘻孔,表在性脂肪腫性母斑,平滑筋母斑,貧血母斑の症状を説明する.
10)母斑症の概念を理解し,頻度の高い母斑,母斑症の全身的合併症,検査法,病理組織像,予後,治療の適応,開始時期を熟知する.
11)結節性硬化症(Pringle 病),神経線維腫症(Recklinghausen病;NF1),神経鞘腫症(NF2),神経皮膚黒色症,Albright 症候群,Peutz-Jeghers症候群,汎発性黒子症,色素失調症(Bloch-Sulzberger 症候群)の症状を説明する.
12)神経線維腫症および結節性硬化症の遺伝子レベルの異常について理解する.
13)von-Hippel-Lindau 母斑症,先天性血管拡張性大理石様皮斑,Sturge-Weber 症候群,Klippel-Weber症候群,blue-rubber-bleb nevus syndrome,血管色素性母斑の症状を説明する.
14)母斑,母斑症,遺伝性皮膚形成異常の遺伝について理解し,患者・家族に説明し,適切な指示を与えたり,疾患によっては遺伝相談の専門家に紹介する.
(23)皮膚形成異常
1)全身性の異常の見られるGoltz 症候群,先天性外胚葉形成不全症,nail-patella 症候群の症状を理解する.
2)先天性に真皮の萎縮を起こす斑状皮膚萎縮症,Pasini-Pierini 皮膚萎縮症,先天性多形皮膚萎縮症,Rothmund-Thomson 症候群,Werner 症候群,顔面半側萎縮症などの症状を理解する.
(24)遺伝性結合織病
行動目標:遺伝性結合織病として弾性線維性仮性黄色腫,Ehlers-Danlos 症候群,皮膚弛緩症,Marfan 症候群,pachydermoperiostosis などの症状を理解する.
(25)上皮性腫瘍・神経性腫瘍
行動目標
1)上皮性皮膚腫瘍を細胞の分化の方向により表皮,毛包,脂腺,アポクリン汗腺およびエクリン汗腺に由来別に分類し理解する.
2)老人性疣贅および腫の臨床像,病理組織像,鑑別診断,治療法を熟知し,治療に熟練する.
3)汗器官起源性腫瘍:汗腫,汗孔腫,らせん腺腫,汗管腫,汗腺腫,皮膚混合腫瘍,円柱腫などの臨床像,病理組織像,病因などについて理解する.
4)光線角化症,白板症,ケラトアカントーマ,oralflorid papillomatosis の症状について説明する.
5)Bowen 病,乳房および乳房外Paget 病について臨床像,病理組織像,鑑別診断,予後を熟知し,治療を指導医とともに実施する.
6)有棘細胞癌の発症要因,発生母地,臨床像,TNM分類,病理組織像,予後,治療法について熟知し,指導医とともに治療を実施する.
7)基底細胞癌の臨床像,病理組織像,鑑別診断,予後,治療法について熟知し,指導医とともに治療を実施する.
以下,8)から12)について説明する.
8)汗腺癌,脂腺癌,毛器官癌,転移性皮膚癌
9)良性神経性腫瘍として神経線維腫,神経鞘腫,顆粒細胞腫の臨床症状と病理組織像
10)Merkel 細胞腫,神経線維肉腫
(26)間葉系腫瘍
行動目標
1)皮膚線維腫の概念および一般的症状を説明する.
2)ケロイドおよび肥厚性瘢痕の一般的症状と治療法について説明する.
3)脂肪腫の臨床および血管脂肪腫との違いについて述べる.
4)皮膚平滑筋腫,グロームス腫瘍について理解する.
5)血管肉腫の病態と治療法を熟知する.
6)筋・腱鞘由来の軟部腫瘍の種類と症状を知る.
(27)リンパ腫と類症
行動目標
1)リンパ腫の分類,診断法,治療の原則を理解する.
2)菌状息肉症の症状について3 期に分けて説明し,その病理および病理組織について理解し,治療について述べる.
3)Sezary 症候群の臨床について理解し,菌状息肉症との鑑別について述べる.
以下,4)~6)について熟知し,治療する.
4)成人T 細胞白血病
5)CD30+リンパ増殖症
6)EB ウイルス関連リンパ増殖症
7)Hodgkin 病,白血病,隆起性皮膚線維肉腫,Kaposi肉腫,悪性線維性組織球腫について理解する.
8)肥満細胞腫について理解する.
9)Langerhans 細胞性組織球症(Letterer-Siwe 病,Hand-Schuller-Christian 病, 骨好酸球性肉芽腫,self-healing histiocytosis)の概念と臨床・病理を説明する.
10)偽リンパ腫についてリンパ腫との鑑別を熟知する.
(28)メラノサイト系腫瘍
行動目標
1)きわめて転移しやすい悪性黒色腫の生物的特徴を把握し,診断法と治療方針を身に付ける.
2)悪性黒色腫の疫学上の特徴を理解し,病変について考察する.
3)臨床的特徴をClark の病型分類(結節型,表在拡大型,末端黒子型,悪性黒子型)と関連させて把握する.
4)悪性黒色腫の臨床診断上のポイントを理解する.
とくに早期病変の臨床的,病理組織学的特徴を理解し,色素細胞母斑との関係,鑑別について学習する.
5)臨床診断の補助的となる検査法(蛍光法やダーモスコピーなど)について理解する.
6)悪性黒色腫の病理組織診断について実際のプレパラートを観察して所見をとり,Spitz 母斑やdysplastic nevus との鑑別について理解する.
7)悪性黒色腫の診断確定に有用な免疫組織学的マーカー(S-100 蛋白,HMB-45 など)やドーパ反応,電顕所見などについて学習し,それらの実技を身に付ける.
8)TNM 分類と病期分類(UICC)を理解し,病期決定のための検査法を知る.特に予後因子として重要なtumor thickness(Breslow)とレベル分類(Clark)について理解する.
9)悪性黒色腫の治療原則を各病期別の治療指針として整理し,理解する.特に早期病変の切除範囲,センチネルリンパ節生検や進行期病変の多剤併用化学療法の実際を身に付ける.
10)悪性青色母斑の臨床的特徴を学習し,悪性黒色腫や青色母斑との関係について理解する.
(29)ウイルス感染症
行動目標
1)ウイルス性皮膚疾患を原因ウイルス群によって分類・列挙し,病態,疫学検査法(血清学的検査法・DNA 診断),病理(光顕的,電子顕微鏡学的),症状を説明する.
2)単純ヘルペス(口唇ヘルペス,性器ヘルペス,ヘルペス性歯肉口内炎,Kaposi 水痘様発疹症,ヘルペス性疽,新生児ヘルペス)の病態を理解し,それらの病原の検索,診断,治療を行う.
3)水痘および帯状疱疹などの病態を熟知し,それらの病原の検索,診断,治療を行う.
4)水痘および帯状疱疹の合併症を熟知し,適切な処置を実施する.
5)抗ヘルペスウイルス剤の薬理を理解し,適切な治療を実施する.
6)ヒト乳頭腫ウイルス感染症(ミルメシア,尋常性疣贅,青年性扁平性疣贅,尖圭コンジローム,ボーエン病様丘疹症,疣贅状表皮発育異常症,足底腫)の病態を理解し,診断,治療を行う.
7)伝染性軟属腫の病態を理解し,診断,治療を行う.
8)ウイルス性急性発疹症(風疹,麻疹,伝染性紅斑,手足口病,突発性発疹,伝染性単核症,エンテロウイルス発疹症, Gianoti-Crosti 症候群)の疫学,病態を理解し,診断,治療できる.
9)ウイルス性皮膚疾患に罹患した妊婦,胎児の病態を熟知し,適切な処置ができる.
10)免疫不全をきたす全身疾患の合併症としてのウイルス感染症に適切に対応できる.
11)後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因,病態,症状,経過について熟知する.また皮膚症状を理解する.HIV 感染およびAIDS 患者への対応を理解する.
(30)細菌感染症
行動目標
1)細菌性皮膚疾患を原因細菌別に分類・列挙し,発症機序を説明する.
2)膿皮症の原因菌・病型分類・症状を説明する.
3)膿皮症の検査(グラム染色・細菌培養など)を熟知し,適切な局所療法・全身療法を実施する.
以下,4)~10)について症状・経過を熟知し,症例に応じて適切な検査と治療を実施する.
4)毛包性膿皮症(毛炎,,腫症,癰,尋常性毛瘡)
5)汗腺性膿皮症(乳児多発性汗腺膿瘍・化膿性汗腺炎)
6)伝染性膿痂疹(ブドウ球菌性およびレンサ球菌性),ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS),toxic shock syndrome , toxic shock-like syndrome
7)丹毒,蜂窩織炎,壊死性筋膜炎,ガス壊疽
8)慢性膿皮症
9)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
10)A 群B 溶血性レンサ球菌感染症
11)表皮剥脱性毒素などの毒素に熟知する.
(31)真菌感染症
行動目標
1)真菌症の検査法について熟知する.
2)皮膚糸状菌症の症状を熟知する.
以下,3)~9)について症状,診断法,治療を熟知し,実施する.
3)皮膚糸状菌症
4)爪白癬,手足白癬
5)皮膚カンジダ症:また,皮膚カンジダ症の発症要因を理解し,予防法について説明する.
6)癜風,ピチロスポルム毛包炎および一連の癜風菌関連疾患
7)手掌黒癬,非白癬性爪真菌症
8)スポロトリクス症,黒色真菌症,クリプトコックス症,アスペルギルス症
9)砂毛,北米ブラストミセス症,南米ブラストミセス症,コクシディオイデス症,ムーコル症
(32)抗酸菌感染症
行動目標
1)真性皮膚結核・結核疹の概念を説明する.真性皮膚結核の場合は結核菌培養方法を熟練し,PCR法による結核菌DNA の検出法を理解する.皮膚結核の病理組織所見を説明する.ツベルクリン反応の意味を説明する.結核の治療に熟知する.
2)尋常性狼瘡,皮膚疣状結核,皮膚腺病の症状を説明する.
3)壊疽性丘疹状結核疹,陰茎結核疹,Bazin 硬結性紅斑,腺病性苔癬の病型,臨床を説明する.
4)非結核性抗酸菌症:魚槽やスイミングプールでの感染による発生について理解し,症状・治療について説明する.培養方法,PCR 法による診断について理解する.
5)Hansen 病の現状・病因・病型・症状・診断・治療について説明する.適切な社会的対応を実施する.
(33)性感染症(STD)
行動目標
1)最近のSTD の動向を理解し,疾患・臨床・検査・診断・治療を説明し,疾患の相互関係を理解して,感染防止を実施する.
2)梅毒の臨床・検査・診断・治療を熟知する.梅毒血清反応を説明できる.
3)軟性下疳・鼠径リンパ肉芽腫症の病像を知り,治療法を理解する.
4)毛虱・疥癬・陰部疱疹・陰部カンジダ症・尖圭コンジローマの臨床・検査・診断・治療を熟知する.
5)淋疾・クラミジア・トリコモナス・腟カンジダ症について臨床を理解し,対応を説明する.
(34)動物性皮膚症・寄生虫症
行動目標
1)動物性皮膚症・皮膚に障害を与える寄生虫症を理解し,その主なものを列挙し,その症状を説明する.
2)刺咬性昆虫(ハチなど),吸血性昆虫(シラミ類,カなど),吸血性ダニ(イエダニなど),刺咬性ダニ(ツメダニなど)の種類と生態,これらによる症状,個体による反応の差を理解し,適切な治療,防除について熟知する.
3)接触により障害を与える害虫(ドクガ類,イラガ類,アオバアリガタハネカクシ,アオカミキリモドキなど)による症状を理解し,適切な治療を行う.
4)疥癬・ノルウェー疥癬,動物疥癬について発生,感染様式を理解し,治療,予防につき熟知のうえ,ヒゼンダニの検出方法を指導医のもとに熟練する.
5)マダニ刺咬症を理解し,ライム病伝播との関連につき説明する.

以下,6)~8)について病因・症状・診断・治療・予防を熟知する.
6)恙虫病
7)皮膚顎口虫,施尾線虫症,クリーピング・ディジーズ,Manson 孤虫症,フィラリア症,リーシュマニア症の症状
8)水田皮膚炎,海水浴皮膚炎,クラゲ皮膚炎,サンゴ皮膚炎
(35)附属器疾患(汗器官・脂腺・毛器官・爪)
行動目標
1)異汗症(汗疱)の症状と鑑別診断について熟知し,実際に治療する.
2)臭汗症の症状,治療法について熟知し,腋臭症の手術を実施する.
3)汗疹の症状について熟知し,治療を実際に適用し,生活指導をする.
4)汗腺膿瘍の症状を説明し,治療を実施する.
5)多汗症,無汗,Fox-Fordyce 病の症状・経過を説明し,症例に応じた治療を実施する.
6)尋常性瘡の発症機序について説明する.
7)尋常性瘡・集簇性瘡の症状と治療法について熟知して,実際に適用し,熟練する.
8)瘡様発疹(薬剤性瘡・化粧品瘡・職業性瘡など)について説明する.
9)皮膚毛包虫症について説明する.
10)新生児瘡について説明する.
11)脂腺増殖症について説明する.
12)脂漏について説明する.
13)口囲皮膚炎の原因・症状を熟知し,その治療を実施する.
14)毛周期について説明し,毛の成長に及ぼす種々の影響因子について熟知する.
15)円形脱毛症について説明し,その治療を実施する.
16)男性型脱毛症について説明し,その治療を実施する.
17)抜毛症について説明し,その治療を実施する.
以下,18)~25)について説明する.
18)休止期脱毛症,外傷性脱毛症,毛髪奇形
19)コールド・パーマ,ヘアダイ
20)多毛症,無毛症
21)爪の色調の変化を生じる原因
22)全身疾患に伴って生じる爪病変
23)爪甲剥離症,匙状爪甲,時計皿爪
24)先天性疾患に伴う爪病変
25)咬爪症
26)爪囲炎の症状を熟知し,その治療を実施する.
27)陥入爪,爪甲鉤彎症について説明し,その治療を実施する.
(36)粘膜疾患
行動目標
1)皮膚科専門医が対応する肉眼で診察可能な口腔粘膜と外陰部の重要な粘膜疾患について正確な知識を持ち,的確に診断し,適切に対処できる.
2)口唇炎の病態を説明し,治療を実施する.
3)口腔・舌・歯肉・歯を侵す皮膚疾患(例えば,膠原病,天疱瘡,扁平苔癬,Behet 病,Sjgren症候群など)について説明する.
4)皮膚とともに口腔内に生じる腫瘍(例えば,尋常性疣贅,血管腫,粘液腫,oral florid papillomatosis,有棘細胞癌,悪性黒色腫など)の診断と治療を説明し,実施する.
5)外陰部に生じ粘膜も侵す疾患(たとえば,Bowen病,Paget 病など)の診断と治療を説明し実施する.
(37)全身疾患と皮膚
一般目標:内臓病変の皮膚表現であるデルマドロームの意義を理解し,内臓器との関連から発症機序を知る.
行動目標:以下,1)~5)を熟知する.
1)内臓悪性腫瘍に伴うデルマドローム.例:皮膚転移,皮膚筋炎,腫瘍随伴性天疱瘡,黒色表皮腫,Sweet 病,紅斑類,紅皮症,Leser-Trelat 徴候,Bowen 病.
2)糖尿病に合併する皮膚疾患.例:黄色腫,壊疽,リポイド類壊死症,環状肉芽腫,前脛骨部萎縮性色素斑,水疱,湿疹,掻痒症,感染症,フットケアの具体的な方法.
3)皮膚と視覚器を同時に侵す疾患.例:アトピー性皮膚炎,ヘルペス,Behet 病,Chediak―東症候群,Vogt―小柳―原田症候群,Reiter 症候群,弾力線維性仮性黄色腫,サルコイドーシス,Crow-Fukase 症候群.
4)肝臓障害,消化管障害,腎臓障害などさまざまな臓器障害に合併する皮膚疾患.
5)全身性遺伝性疾患に伴う皮膚症状.

おわりに
以上,皮膚科専門医として修得,履修すべき内容を具体的に記述した.しかし,医学は日進月歩であるため,内容は適宜更新される.「研修内容」は,性格上,学習するものを主語として記されているが,指導医も熟読して,その施設において実施可能な指導内容の設定とカリキュラムの作成に役立てて頂きたい.