訂正後
84-2008
65歳、男性。顔面と前胸部に環状病変が多発している(図8)。組織像で巨細胞内に見られるものを記せ。
65歳、男性。顔面と前胸部に環状病変が多発している(図8)。組織像で巨細胞内に見られるものを記せ。
???
弾力線維
弾性線維
↓
環状弾性線維融解性巨細胞性肉芽腫
http://www.jssog.com/papers/2000-02.pdf
顔面,頚部,前胸部などの露光部に生じる環状に隆起した皮膚病変であり,組織学的には弾力線維の減少・消失と弾力線維を貪食した巨細胞の存在を特徴とする.従来 actinic granuloma,Miescher’s granuloma of the faceとして報告された疾患と同一疾患と考えられる.皮疹は露光部の環状皮膚病変を典型とするが,環状を呈さない病変を伴ったり,非環状病変が主体の症例も報告されている.
病理組織学的には,肉芽腫は結節状ではなく,膠原線維間に散在する.弾力線維染色にて巨細胞内に線状の弾力線維の貪食像が認められる.本所見は本症に特異的なものではなく,環状肉芽腫でも認められる.そのため両疾患の鑑別にはムチン沈着の有無や肉芽腫の分布状態で判断されるが,鑑別が困難な例もある.
他臓器病変の合併はとくに報告されていなかったが,本邦では非露光部病変で悪性腫瘍やリンパ腫を合併した例が報告されている.
サルコイドーシスとの関連性
本症を提唱したHankeらの5症例中の1例がサルコイドーシス患者であったと報告されている.また,Teruiらは弾力線維の変化を伴った環状皮疹を呈したサルコイドーシス患者を報告している.皮疹の性状と好発部位より局面型のサルコイドーシス病変との鑑別が肝要である.組織学的にそれぞれ特徴を有するものの,本症と鑑別すべき局面型は露光部である顔面に好発し,長期紫外線照射により弾力線維の変化が認められること,サルコイドーシス病変でも貪食像が見られること,局面型の消退期の病変では巨細胞が多く類上皮細胞数が減少することなど,Annular Elastolytic Giant Cell Granulomaの変化に近いことから,両者の鑑別には,あくまで他臓器の肉芽腫病変の有無を最重視して行うべきと考えられる.
http://www.derm-hokudai.jp/textbook/pdf/18-04.pdf
同義語:日光性肉芽腫(actinic granuloma),
エラストファジック巨細胞性肉芽腫
(elastophagic giant cell granuloma)
弾力線維を貪食する巨細胞が中心となった肉芽腫性病変である.中年女性に好発し,辺縁が隆起し中央が脱色した大型の環状紅斑として,顔面や頸部など露出部に出現する.
自然消退することが多い.環状肉芽腫の亜型とする考え方が有力である.
下記のように、だるまさん、椿さんより御指摘いただき、訂正させていただきました.
いつもありがとうございます。お返事が遅くなり大変申し訳ありませんでした。
これからもよろしくお願い致します.
だるま 2010-06-14 20:22:53
1 ■2008-84
この症例は環状弾性線維性融解性巨細胞肉芽腫で、回答は「弾性線維」ではないでしょうか?
2010-06-25 01:27:02