60-2009 18 歳。男性。5 年ほど前より、左耳後部の皮下腫瘤が出現した | 皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!

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60-2009 
18 歳。男性。5 年ほど前より、左耳後部の皮下腫瘤が出現した。臨床像と病理組織像を図8a、b に示す。この患者にみられる異常検査所見はどれか。2 つ選べ。
a.好中球増多
b.IgE 上昇  
c.抗核抗体陽性
d.白血球減少
e.好酸球増多  

健康/病気/生老病死-図8a

健康/病気/生老病死-図8b









18 歳。男性。5 年ほど前より、左耳後部の皮下腫瘤が出現した。臨床像と病理組織像を図8a、b に示す。この患者にみられる異常検査所見はどれか。2 つ選べ。
a.好中球増多
b.IgE 上昇  ○
c.抗核抗体陽性
d.白血球減少
e.好酸球増多  ○



木村病

思春期男子の顔面に好発する原因不明の疾患で,皮膚リンパ細網組織が反応性に増殖する.
単発または多発する直径5 ~10 cm の皮下~皮内腫瘤で,扁平ないし半球状に隆起し,弾性軟で一部硬結を伴う.表面皮膚は褐色を帯び,ときにそう痒を伴う.
病理組織学的には,皮下にリンパ濾胞を形成,好酸球などの浸潤も認める.
末梢血や骨髄に著明な好酸球増多を認め,IgE 高値をとることが特徴的.
アトピー性皮膚炎や痒疹を合併することがある.
治療はステロイド局注が有効である.
好酸球性血管リンパ球増殖症との異同が常に議論となる.

参考
http://www.derm-hokudai.jp/textbook/pdf/21-12.pdf


木村病  耳介周囲の皮内から皮下の結節,腫瘤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E7%97%85

木村病(きむらびょう)は、軟部好酸球肉芽腫症とも呼ばれる良性の皮膚腫瘍の一つである。若年者に多いのが特徴でほとんどが20歳未満である。男性に多い。 名前は日本人発見者の木村哲ニに由来(1948年)。

目次
1 症状
2 検査
3 鑑別診断
4 治療
5 関連項目

症状
皮膚にしこりができて徐々に大きくなる(通常は孤立性)。
頭頚部が多く、その中でも耳下腺またはその周囲に発生が多い。
血液中の好酸球が上昇する場合がある。

検査
血液検査(特に好酸球増多の有無)
MRI検査などの画像検査
病理検査(リンパ組織増生と好酸球の強い浸潤が特徴的。また肉芽腫症とも呼ばれるが、実際は組織球の集簇はみられないため肉芽腫ではない。)

鑑別診断
皮膚悪性リンパ腫(この疾患の場合、予後が非常に悪いため鑑別が非常に重要)

治療
良性であるため慌てて治療する必要もないが、見た目の問題もあるのですぐに治療を行うことが多い。
ステロイド内服は効果的だが中止するとすぐしこりが大きくなり根治的でない。できれば切除手術が望ましい。

関連項目
菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)



参考
http://www.askdoctors.jp/public/showMessageDetail64948.do?cc=1271426973338692
耳の後ろの腫れ
初めて質問させて頂きます。右耳の後ろに腫れがあります。既往症として,ネフローゼ症候群を持っていますが,現在は完治しています。プレドニンを服用すると,腫れはひいて しまいます。けれども,服用しなくなると腫れたままです。心配になって耳鼻咽喉科を受診し,血液検査とMRI検査を受けました。血液検査の結果は好球菌が高い値であること 以外は以上がありませんでした。また,MRIでも腫瘍のようなものは見当たりませんでした。痛くはなく時々痒くなる位です。医師からは,手術して除去してもまた同じ状態に なる可能性もあるので,また気になったら受診してくださいと言われました。原因も分からず,これからどうすべきか,どんな治療法があるかなどをお聞きしたくて質問させて頂 きました。よろしくお願い致します。


木村氏病とは
血中、組織内に著しい好酸球増多を伴って慢性に経過する軟部組織の肉芽腫で、特徴的な病理組織を示します。良性の腫瘍ですが、再発しやすい病気です。治療としては小さなものや単発のものは切除で良いのですが、多発したもの、大きなものは、ステロイドの内服や電子線照射などを行います。また、さまざまな臨床像を示しますので、専門医の適切な 診断と治療および経過観察が必要です。

http://www.naoru.com/kimura.htm
木村病
リンパ腫の診断
「私どもの病棟には多数のガン専門医が昼夜を分かたず診察に励んでいる。中でも女医のO先生は、其の優しさから同性の患者にも人気が高い。7年ほど前のことになるが、O先生の受け持ち患者に25歳のNさんがいた。某電気会社に勤めているNさんは、首の左横に数年前から成長するこぶし大のシコリがあった。近くの先生に診てもらうと、ガンの疑いが強いので入院して化学療法をすべきだとのことであった。
その後、私どもに紹介され精密検査のために入院。病理組織診断だけでなく一般検査所見、組織破砕片表面解析結果などもすべてを綜合し、各担当者が集まって長時間検討した結果、『木村病』という良性腫瘍の最終診断が下された。この病気は一般的な教科書には記載が全くないことの他、症例の少なさもあって診断が難しいだけでなく、治療法が定型化されていない。
木村氏病は悪性リンパ腫に非常に類似しているが、ガンではない。末梢血に好酸球と免疫グロブリンE(IgE)と呼ばれる免疫タンパクが増加し、組織標本中にも好酸球が増加することを特徴とする良性の病変とされている。O先生はNさんの病態から抗ガン剤の必要性はないと強く主張した。そこで医局会で長時間かけて討論し、抗ガン剤の選択は避けてステロイド療法を行うことになった。
治療開始後、シコリは最初はかなり縮小し、その後に硬化して固定、同時にIgEの増加傾向は完全に停止した。3ヶ月ほどの治療の後に退院、通院観察の運びとなった。5年後のある日、Nさんは母親と一緒に外来受診。「結婚してもいいですか?」と尋ねられたので、「いいですよ」と返事して置いた。そして無事結婚。現在は元気良く会社に勤めており、O先生はその経過の順調さに満足している。
数ある血液悪性疾患のなかでも悪性リンパ腫の診断は非常に難しく、血液のガンを専門とする病理医の経験と勘が非常に重要になる。患者のQOL(生命・生活の質)が問題とされる現在、その判断は専門家と患者、家族の合意でもって向上させたいものである。