28-2009 図3 の臨床を呈する疾患に合併しやすいのはどれか | 皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!

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28-2009 
図3 の臨床を呈する疾患に合併しやすいのはどれか。1 つ選べ。
a.Sjögren 症候群
b.顕微鏡的多発血管炎
c.結節性多発動脈炎
d.関節リウマチ   
e.強皮症
図3
健康/病気/生老病死-図3 PG
図3 の臨床を呈する疾患に合併しやすいのはどれか。1 つ選べ。
a.Sjögren 症候群
b.顕微鏡的多発血管炎
c.結節性多発動脈炎
d.関節リウマチ   ○
e.強皮症

壊疽性膿皮症
エッセンス
● 膿疱と丘疹に始まり辺縁が隆起した潰瘍を急速に形成.下半身に好発.
● 原因不明だが,潰瘍性大腸炎,大動脈炎症候群,白血病などの基礎疾患を有する傾向.
● 治療はステロイド薬,DDS 内服など.

合併症
大動脈炎症候群,潰瘍性大腸炎,関節リウマチ,白血病,Crohn 病,IgA 欠損症などを合併することがある.壊疽性膿皮症全体の75 %に何らかの合併症がある


参考 http://www.derm-hokudai.jp/textbook/pdf/11-03.pdf



概念
有痛性の結節、膿疱が破れ、これが拡大するとともに潰瘍化し、辺縁が堤防状に隆起し、縁下潜蝕性の潰瘍となる原因不明の疾患で、しばしば基礎疾患に関連して発症します。

●疫学
あらゆる年齢層に及ぶ20歳~50歳に比較的多く女性に多い傾向があります。
年間人口100万人に2人の発症頻度です。

●成因・病態生理
様々な免疫異常説が提唱されてますが、どれも決定的なものとはいえません。
高あるいは低γ-グロブリン血症に合併することから液性免疫の異常や、様々な組織に対する自己抗体の関与も考えられています。
一方、ツベルクリンやハプテン、カンジタ抗原のような多くの人が反応する抗原に対する不応答性が認められることから、リンパ球の反応性の低下が原因とする考えもあります。
そのほか、単球の貪食能や遊走能の低下や好中球の遊走能などの機能異常との考えも提唱されてます。

●臨床像
辺縁が堤防状に隆起する縁下潜蝕性潰瘍を1個から数個認めます。
潰瘍周辺の紅斑が一方向に進展する一方で、他方は軽快する場合もあり、しばしば蛇行状の形態を呈します(写真がその状態)。
下腿、殿部、腹部、顔面、頚部、陰部などが後発部位ですが、あらゆる部位を侵します。
しかし、頭皮部や粘膜病変を見ることは少ないです。

●検査所見
血沈亢進、白血球増多、高あるいは低γ-グロブリン、CRP上昇(これは基礎疾患の増悪を反映)などを認めます。
どれが一時的な異常か明らかではないものの、様々な抗原刺激に対するサイトカインの産出能が低下している可能性があり、それがリンパ球、単球、好中球などの反応性の低下として認められます。

●病理組織像
極めて稠密な好中球浸潤を認め、Sweet病に類似しますが、生検の部位とタイミングにより異なった組織像になります。
本症における壊死性血管炎の存在については意見の一致を見てません。
古い病変部では辺縁部表皮の偽癌性増殖と潰瘍、肉芽腫、線維化などの非特異的な慢性炎症の所見を呈します。

●診断・鑑別診断
癤腫症、Behcrt病、非定型抗酸菌症、Sweet病、虫刺症、血管炎、他の好中球性皮膚症neutrophilic dermatosisなどとの鑑別が必要です。
ある意味では本症の診断は、これらの疾患を除外したうえでなされるという側面も否定できません。
小外傷などを契機として発症しやすいなど、本症とBehcet病をはじめとする好中球性皮膚症は、多くの点で共通点があります。

●治療
基礎疾患の治療が重要です。
基礎疾患が明らかでない場合には、ステロイドの局注や内服、レクチゾール内服、タクロリムスの外用、シクロポリン内服などの免疫抑制薬の治療が主体になります。
ステロイドの大量投与、パルスなどが有効との報告もあります。

●予後
本症における潰瘍は軽快する一方で新生し、極めて慢性の経過をとり、年余にわたることもあります。
基礎疾患の経過に平行して寛解、増悪を繰り返す場合も多くあります。

●KEY WORD:壊疽性膿皮症と全身疾患
本症が関与する基礎疾患として潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、Crohn病、高あるいは低γ-グロブリン血症、白血病などがあります。

参考  http://blogs.yahoo.co.jp/comoson2000/41433848.html