花束を贈られるよりも嬉しい!? -書評- 新装版 光に向かって100の花束 | 知磨き倶楽部 ~ビジネス書で「知」のトレーニングを!~

花束を贈られるよりも嬉しい!? -書評- 新装版 光に向かって100の花束


著者の高森顕徹さんは浄土真宗親鸞会会長を務めておられる方です。
高森さんは次のように現代に生きる人々のことを憂いておられます。

現代人に欠けているものの一つに、努力精進があげられる。
水が低きにつくように、易きにつこうとする。結果だけをめあてに、一攫千金をユメ見る。(p.2)

当ブログをお読みいただいているような方は、どちらかといえば自己啓発大好きな人が多そうですから(笑)、努力精進に欠けているかどうかは分かりませんが…。
ただ「結果だけをめあてに、一攫千金をユメ見る」というフレーズには、胸に手を当てて考えるべきものがあるかもしれません。
当ブログは、人間として大きく成長したいのであって、結果だけを求めているのではない!という趣旨で運営してはいるのですが。。。

そんな高森さんは、人間として大きくなるために、器を磨くために、という気持ちで本書を書かれています。

おもしろい話の中に、小さい魂に奮発心を喚起させ、不屈の精神を培い、遊惰安逸の妄念を除去して、金剛石を、宝玉に磨きあげるのである。(p.3)

本書は、僕らの人間性を磨き上げるための100の説話で成り立っています。
そこには、父親としての自分、息子としての自分、夫としての自分、仕事におけるプロフェッショナルとしての自分など、自分の担う様々な役割に対して、はっとするような気づきを与えてくれました。
「花束」と同じように、誰しもが自らを振り返り考えさせられるきっかけを与えてもらえる、贈られて嬉しい一冊になっていますよ!


100の説話からは、僕自身の色々な立場に対するいい影響をいただきましたが、ここでは仕事人=プロフェッショナル(を目指しているビジネスパーソン)としての僕にとって刺さった言葉を紹介します。
何度も言われているはずなのに…というものもあって、トホホな自分に情けなくなったりもするんですけどね(汗)


忙しい人ほど勉強できる

用事が多いから勉強ができぬ、などと言っている者は、暇になれば遊んでばかりいる者だ。他人が勉強しているときに負けずに勉強し、他人が休んでいるときも勉強してこそ、他人より優れた成果をあげることができるのだ。
忙しい時間を活かすか殺すかは、その人の覚悟次第である(p.31)

「忙しいから…」という言葉がついつい口から出てしまうことってありますよね。
えっ、まさか僕だけですか…!?
実は、書評の執筆ペースが落ちている要因の一つも、自分の中では「忙しいから」ということになっているんですけど(汗)
(もちろん、他にも色々と僕なりに「書評」というものについて考えるところがあってのことなのですが)

書評を、読書で得た知識や考えた物事を消化し自分を磨くための方法であり勉強だ、と捉えるのであれば(その一面があるとは思っています)、忙しいときこそ書かねばならないということになりますね。
まあ、だからと言って書評の執筆ペースを上げようとは思いませんが、忙しくてもインプットの量と質だけは落とさない、ということは改めて心に誓っています。


なにが家康を天下人にしたか

家康の偉大さは、敗因が慢心にあったことを深く反省し、信玄を師とあおいで、彼の戦術戦略を学びとったところにある。(p.79)

自分の中の慢心を認めることは口で言うほど簡単なことではありません。
失敗に学ぶということが言われて久しく、僕もそうした本は何冊も読んできましたが、自分の中の驕りのようなものを排除できていないものですね。
時間を置いて冷静になれば対処できたりもするのですが、もっとも必要な、失敗したそのときに、きちんと自己の慢心を認識することを心に留めておかなければいけません。


腹立ったときは、数をかぞえよ

己が正しいのに非難されたのであったならば、決して相手をせめる要はない。いつかきっと解けて、先方から詫びがくるものだ。真実に敵するものはないからである。
また、己が間違っていると知ったら、"改むるに、はばかることなかれ"と古人も教えているとおり、ただちにこれを改めて、向上すればよい。(p.85)

これも、先の「己の慢心を知る」ことに似ている部分があると思いました。
人に非難された時、どうしても自分が正しいと思い込んだ反応をしてしまいがちです。
思い込みを基にした反応は、時に感情的になり、不必要なほどに激しいものになってしまうこともあります。

自分に慢心せず、自分が正しかったのか間違っているのかを冷静に見つめ直せるだけの器を持たなければいけません。
思い込んでいては、特に後段の「己が間違っていると知ったら」に辿りつくことができませんから。


殿さまの命令に従わなかった船頭

いかなる権威や恫喝にも屈せず、己が信念を貫く者こそ、その道のプロである。真のプロでなければ、大事を成し遂げることはできない。(p.116)

言うまでもないことだとは思いますが、自分の考えに固執しろ、と教えているわけではありませんので、念の為。
ただ、プロフェッショナルとして成功されている方のお話を聞くと、大抵の方が同じようなことをおっしゃいますよね。
己が信念を貫くためには、それを裏付けるだけの経験と実績が必要なわけです。
そのために僕らは日々努力し、精進しているのだと思っています。
はっきりと自分の中にそういう思いを確立していますので、この面で、水が低きにつくように易きについてしまう、ということはありませんが、こうした説話は好きなんですよね(笑)


紹介文にもありますが、ひとつひとつの説話は非常に短くまとめられています。
トイレの中で毎日一話ずつ読んでみる、なんて読み方にもよさそうですよ(笑)
家の中に花を飾るように、本書もぜひ本棚に置いてみてください。
「花束」とは、鑑賞するだけではなく、手にとって読み、自分自身を見つめ直す(磨く)というアクションを起こすところが違いますけどね。


※ 本書は本が好き!運営会社様より恵贈いただきました。厚く御礼申し上げます。
※ 僭越ながら、本書に関する僕の100文字書評が、2011年3月13日の読売新聞に掲載される予定です。どうか併せてご覧下さい。⇒ 企画のお知らせ

人気ブログランキングへ 

■ 関連リンク

著者サイト: 高森顕徹 公式サイト


■ 基礎データ

著者: 高森顕徹
出版社: 1万年堂出版 2010年11月
ページ数:
紹介文: 古今東西の、失敗談、成功談、心温まるエピソードから、元気がわくヒントを100選びました。1話3分で読める気軽さ。おもしろいだけでなく、ためになるエピソード満載です。すでに英語版、中国語版、韓国語版も発刊され、「この本は、宝石箱だ」と書評が掲載されるほどの人気ぶり。100話の中には、人間関係、仕事の悩み、子供の教育、夫婦仲など、人生を明るくするヒントがあふれています。

新装版 光に向かって100の花束
高森 顕徹
1万年堂出版
売り上げランキング: 45129


人気ブログランキングへ