世間はGW、花業界は母の日商戦。
お疲れ様です。
今回のお題、
品薄単価高で花屋さんは仕入原価アップ、
価格転嫁で切り花を値上、
値上に対して消費者はどんな購買行動をとったかをデータから検証。
前回の青木恭子さんの調査、
切り花を買うひとは39%(図1)。
買わないひとが61%。
図1 切り花購入率の推移
インテージのモニターを対象にネット調査、500名回答
2023年8月14日~15日調査実施
青木恭子さんの報告書のデータを宇田作図
2017年以前のデータはMPSジャパン(株)
2021年まではマクロミル、2022年以降は調査会社がインテージで調査会社が変更されている
2022年のデータが2021年と大きく変化しているのは、調査会社、調査対象の変更が影響?
花を買うひとが少ないとなげくことはない。
喫煙するひとは、成人男女の16.7%にすぎない(2019年 厚生労働省)。
飲酒習慣は男性33.9%、女性8.8%(同)。
たばこをすうひと、酒を飲むひとより切り花を買うひとのほうが多い。
花には成人国民の4割の支持がある。
トランプ氏は4割の岩盤支持者で大統領になったし、返り咲こうともしている。
とはいえ、花を買うひとは減りつづけている。
花の消費を回復させるにはどうすればよいのか?
どうすれば花をもっと買ってもらえるようになるのか?
たばこをすわないひとにタバコを売るより、
酒を飲まないひとに酒を売るより、
花を買わないひとに花を売る方が圧倒的にカンタン(なはず)。
たばこ産業、酒産業より、花産業の前途は明るい。
花を買うひとが減ったことは、
総務省家計調査からも裏づけられている(図2)。
総務省家計調査のデータを宇田作図
二人以上の世帯の切り花購入額
2000年には11,553円、
2023年には8,034円、
30%減。
前年が7,992円だから前年比だけなら0.5%増。
なんとか下げ止まっているようにみえる。
それは、
購入金額が増えたのではなく、品薄単価高による花屋の値上がりの影響。
そのことは
購入回数が前年より減っていることから推定できます。
年間の世帯当たりの切り花購入回数(図2)。
2000年には10.3回、
2023年には7.5回。
27%減。
当然のことながら、購入回数と購入額は関係が大きい。
購入回数が減ると購入額が減る(図3)。
購入回数が増えると購入額が増える。
総務省家計調査2000年~2023年のデータを宇田作図
1回当りの購入額は2000年には1,123円、
2023年には1,077円、
大きくは減っていない(図4)。
消費者の1回当りの切り花購入額は1,000円前後でほぼ一定していることがわかります。
同時に、
切り花購入額が2000年から30%減ったのは、購入回数が27%減ったためであることもわかります。
総務省家計調査のデータを宇田作図
もうひとつわかることがあります。
22年、23年と1回当りの購入額が増えていることです。
21年966円 → 22年1,029円 → 23年1,077円
これは買う切り花の本数が増えたのでも、高品質・高単価の切り花を買ったからでもない。
切り花が値上がりしたためと考えられます。
すなわち、品薄単価高の影響。
花屋さん、スーパーは仕入れ原価がアップしたので、売価を値上した。
すなわち、価格転嫁されたことを総務省家計調査は証明。
消費者は価格転嫁による値上に対抗するために、どうしたのか?
購入回数を減らした。
21年8.2回 → 22年7.8回 → 23年7.5回
消費者の財布のひもは堅い。
物価は上がっているが、現役世代へのベースアップは追いついていない。
ましてや花の岩盤支持層は年金生活のシニア世代。
物価アップには「節約」しか対処法はない。
古いといわれても、節約は美徳。
花は欲しい。
しかし値上して高くなった。
買う回数を減らすしかない。
けっこう合理的な値上対策。
消費者の財布のひもをゆるめ、もっと花を買っていただくにはどうすればよいのか?
次回考えます。
今回も長文駄文でした。
宇田明の『もう少しだけ言います』(No.426. 2024.4.28)
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