金融商品取引法が全面施行へ
9月30日から金融商品取引法が全面施行されます。金融商品取引法は平成18年6月に成立し、不公正取引に対する罰則強化や公開買付制度、大量保有報告制度の見直しなどはすでに施行されていますが、残りの部分は施行されていませんでした。
包括的・横断的な利用者保護ルールの整備、投資環境の整備、「貯蓄から投資」に向けて公正・透明な市場の構築、金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目的とし、いわゆる投資サービス法制の構築、開示制度、取引所制度の整備が行われ、罰金・課徴金が引き上げられました。
特に金融商品取引業者の業務について、様々な行為規制が整備され、責任・負担が重くなっています。
具体的な改正内容は以下のとおりです。
1.投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な利用者保護法制の構築
①「証券取引法」から「金融商品取引法」へ
→同種の法律を改廃し、「金融商品取引法」に統合
②規制対象商品の拡大
→有価証券の範囲を見直し、投資ファンド(集団投資スキーム持分)を包括的に有価証券と位置づける、など
③規制対象業務の横断化
④業務内容に応じた参入規制の柔軟化
⑤業者が順守すべき行為規制の整備
→各種禁止行為の整備
→適合性の原則(顧客の知識・経験・財産の状況及び契約締結の目的に照らして不適当な勧誘を行い、投資者の保護に欠けることのないようにしなければならない。)
→違反した場合の罰則強化 など
⑥顧客の属性に応じた行為規制の柔軟化
→特定投資家(プロ)と一般投資家の区分
⑦投資性の強い預金・保険などに関する規制の横断化
⑧利用者保護のためのその他の制度整備
→業者に所要の説明を義務づけ、違反した場合に無過失の損害賠償責任を課す など
2.開示制度の拡充
①上場会社による開示の充実
→四半期開示の法定化
→財務報告にかかる内部統制の強化(「内部統制報告書」「確認書」の提出義務付け)
②公開買付制度の見直し(施行済み)
③大量保有報告制度の見直し(施行済み)
3.取引所の自主規制業務の適正な運営の確保
4.不公正取引などへの厳正な対応
→罰則の強化、「見せ玉」への対応(施行済み)