今回は、元The Pictures(ザ・ピクチャーズ)のベーシストで、現在は自身のバンドであるCentral Rain(セントラル・レイン)を率いて活躍中のLuke Thomas(ルーク・トーマス)のインタビューをお届けします。

「People Are Wrong(ピープル・アー・ロング)」という曲のライヴ映像はこちらをクリック

写真1:左がルーク、右が筆者

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まず、〔ザ・ピクチャーズの活動停止後に〕セントラル・レインとして活動を始めたのはいつ頃?

ルーク(以下Lと略): ちょうど息子が生まれた頃だったから、2010年だね。自分の作品を世に出すためのプロジェクトとして始めたんだ。

名前の由来は?

L: 名前は、R.E.M.の「So. Central Rain(I'm Sorry)」という曲から拝借した。当時の俺の塞ぎ込んでいて(moody)憂鬱な( melancholic)気分にピッタリ合っていると思ったんだ。ストレートなロックというよりも、ちょっと気だるげで、歌詞に重点を置いた曲作りをしていた。

そういった曲が、去年10月に発表したアルバム「Flying Information(フライング・インフォメーション)」に入ったわけだね。

L: うん、そう。あのアルバムは構想から三年かかってやっと完成したんだ。ほとんどを、俺とMalで自宅録音した。あっ、でも四曲目は、ドラムを [Courtney Barnett(コートニー・バーネット)のドラマーの] Dave Mudie(デイヴ・マディー)が叩いてくれた。彼の家で録音したなあ。お礼としてスコッチをあげたよ!(笑)


写真2: 2015年のライヴ

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さて、アルバム二作目の録音を終えたようだけど、それについて教えてよ。このアルバムには何曲入ってる?

L: 9曲入っている。不幸なことに(笑)すべて俺の作詞作曲だ。

今作も完成まで時間がかかったの?

L: いや、今回は2,3日で一気に仕上げた。ほとんどが、スタジオでのライヴ録音で、アナログ的にテープを使用した。最近は、いろいろ調整したり音を後からいじったりして、なんか誰でもやろうと思えばやれるような感じだけど、俺は昔ながらのやり方でやりたかったんだ。出来栄えにはとても満足している。

参加したミュージシャンは?

L: 今回は、セントラル・レインのドラマーのDean Willoughby(ディーン・ウィルビー)と二人で録音したんだ。ギターとベースとパーカッションを俺が、ドラムをディーンが担当した。今作は、レイドバックしてて気だるい感じの前作と比べて、もっとヘビーなロックンロールだ。

それじゃ、作風がだいぶ変わったってこと?

L: いいや、スタイルが変わったってことじゃない。「俺達セントラル・レインはこれしかしない!」っていうのじゃないからね。どんなスタイルをやっても、セントラル・レインはセントラル・レインなんだ。

ところで、音楽的に影響を受けているアーティストを教えてくれる?

L: The Beatles (ザ・ビートルズ)とSplit Enz(スプリット・エンズ)のNeil Finn(ニール・フィン)だ。ビートルズは兄貴の影響で好きになった。


ビートルズで一番好きなのは誰?

L: うーん、難しい質問だなぁ、、、John Lennon(ジョン・レノン)かな。彼の声が好きだし、うまく説明できないけど、彼には何か感じるものがあるんだ。

ピクチャーズではベースをやってたけど、ベーシストとしては?

L: ビートルズのPaul McCartney(ポール・マッカートニー)と、これもSplit Enz(スプリット・エンズ)のNigel Griggs(ナイジェル・グリッグス)だね。

ギタリストとしては?

L: 好きなギタリストはJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)。彼のすべてがカッコイイ!自分のプレイに影響を受けているのは、The Stone Roses(ザ・ストーン・ローゼズ)のJohn Squire(ジョン・スクワイア)と、Blur(ブラー)のGraham Coxon(グレアム・コクソン)。

ソングライターとしては?

L: さっきも挙げたニール・フィンと、Neil Young(ニール・ヤング)と、The Beach Boys(ザ・ビーチボーイズ)のBrian Wilson(ブライアン・ウィルソン)。オーストラリア人では、You Am I (ユー・アム・アイ)のTim Rogers(ティム・ロジャース)だね。

僕としては、The Kinks(ザ・キンクス)についても聞きたい。

L: もちろん、好きだよ!アルバム全部聴いているわけじゃないけど、一番好きな曲は「This Is Where I Belong(ディス・イズ・ウェア・アイ・ビロング」なんだ。

それは渋い選曲だ!    
*そのキンクスの曲を聴くにはこちらをクリック。

あなたは、だいぶ若い頃からプロとして活動しているけど、きっかけは何だったの?やっぱりピクチャーズから?

L: いや、それが違うんだ。俺は、ゴールドコーストで育ったんだけど、五才上の兄貴のバンド、Lavish(ラヴィッシュ)にベーシストとして参加したのが最初だ。メジャーレーベルのFestival Records(フェスティバル・レコーズ)と契約してて、ヒット曲もあったんだよ。

本当に?ユーチューブに映像がある?

L: あるよ。

*帰宅してネット検索したら数曲あった。こちらをクリック

そのラヴィッシュというバンドは、お兄さんと一緒に始めたの?

L: それが違うんだ。ラヴィッシュは兄貴のバンドで、それに後から参加した形だった。

じゃあ、最初からベーシストだったんだ。

L: いや、実はそれも違うんだ。元々ギターをやっていた。でも、ラヴィッシュのベーシストが抜けた時に「ベースをやってくれ」って声がかかったんだ。ベースは、ポール・マッカートニーを手本として、自己流で学んだよ。

それは何歳の時?

L: 高校一年の16才の時に、ラヴィッシュが人気が出たから、忙しくなってその年で学校をやめたんだ。親には「仕事をする」って嘘をついて(笑)。 【筆者注豪州では、日本でいう高1までが義務教育。職人系の仕事を考えている子達は、ここで学校教育を終える者も多い
さっきも言ったけど、ヒット曲があって、人気番組の「Hey Hey It's Saturday(ヘイ、ヘイ、イッツ・サタデー)」なんかにも出演してたんだよ。

そうなんだ。その後メルボルンに引っ越してきた経緯は?

L: ラヴィッシュが2000年に解散してから、スーツケースとギターだけ持って、すでにメルボルンに住んでいた兄貴のところに転がり込んだ。21才だった。

それから、ザ・ピクチャーズに加入したの?

L: うん、beat. MAGAZINE(ビート・マガジン)っていう音楽情報誌があるだろ、あれにザ・ピクチャーズのベーシスト募集」の広告が載っていたんだ。You Am I (ユー・アム・アイ)Davey Lane (デイヴィー・レイン)のバンドだって知ってたし、「これだ!」と思って応募したんだよ。ユー・アム・アイのファンだったしね。

でも、ベースは持ってこなかったんだよね?

L: そう。だから、向こうにいる友人に「俺のベースをすぐ送ってくれ!」って連絡した。それからオーディションを受けて、加入したんだよ。

実は、僕は10年ぐらい前のFestival Hall(フェスティヴァル・ホール)でのJET(ジェット)のコンサートに行ったんだ。その時、サポートアクトとして出演していた君達の演奏を観たよ!

L: 本当に! あのツアーはたのしかったなぁ。

話は変わるけど、僕はオーストラリアのメディアはどうかと思うんだ。地元オーストラリアのミュージシャンが出演する音楽番組は全然ないし、ラジオもアメリカとイギリスのチャートのものしかかけないかんじだよね。オーストラリア人をかける時は、The Voice(ザ・ヴォイス)とかに出ている人ばかり。

L: 良い事言うね!!まさにその通り!アタマにきてるよ。

ところで、3月に、奥さんと息子さん家族3人で日本旅行に行ったそうだけど、どうだった?

L: すごく楽しかったよ!行く前に君がいろいろ教えてくれてたからだいぶ助かったよ。ありがとう!

いえいえ、どういたしまして。日本ではどんな事をしたの?

L: 東京では、神田の楽器屋通りに行ったり、新宿のレコード屋に行ったりした。ザ・ストーン・ローゼズのレコードを買ったよ。猫がたくさんいるキャットカフェにも行った。原宿は、なんか変なんだけどカッコよくもある町だった。それに、日本人はみんな親切で良い人ばかりだった。

一番印象に残った場所は?

L: 京都の、赤い鳥居がたくさんある、、、なんて言ったっけ?

伏見稲荷神社じゃない?

L: そうそう、伏見稲荷!あそこが一番印象的だったなぁ。

じゃあ、これからの活躍を期待しているよ。今日はどうもありがとう。

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