購入直後から気になっていたアライメント
レプリカ、スーパースポーツ系のステアリング特性を好む俺としてはTW225Eの操縦性には絶望感すら感じている
TWにはレプリカ、スーパースポーツ系のようにフロントからグイグイと切れ込んでいく感覚が全く無い
そういうバイクではないのは百も承知しているが・・・
今更ながらTW225Eの主要諸元を確認してみた
操縦性に直接影響しそうな項目を拾ってみると、キャスター26.08゜、トレール96㎜、車両分布重量(前)57kg、(後)70kg、軸間距離1330㎜、・・・となっている
ツアラー並みのキャスターとリアヘビーの前後重量配分比45:55
そりゃ曲がんないでしょ
TWにはTWの楽しみ方があるのはわかっているが、乗るたびに『もうちょっと何とかならないものかなぁ』と考えていた
キャスターを立てればステアリング特性はもう少しクイックになる・・・はず( ̄ー ̄;
フロントのアライメントは主にフォークオフセット、キャスター、トレールに支配されているが、加工またはそういうバーツを組まないとアライメントは変更できない
キャスターを立てるようなTW用のブラケットは販売してなさそうだし、加工するような設備も技術も持ち合わせていない
それじゃあ、どうやってキャスターを変更するかというと、フロントフォークの取付位置を変えればいい・・・と思う
取付位置を下げれば、フロントが下がり自動的にキャスターが立ち、重量配分も僅かだがフロント側が増えることになる
ちょっと意味は違うが、ブレーキング中のバイクの姿勢を平常時に実現する感じかな
そういうことではイニシャル調整できるキャップボルトでも多少は可能かな
厳密には、取付位置を変更するとキャスターだけではなくトレールも変化し、フロントのアライメント変化だけではなく、姿勢変化により前後重量配分や、リアスイングアームの角度が変化するなど、リヤ周りのジオメトリーも微妙に変化するので、僅かではあるがトラクションにも影響がある
なので、安易に取付位置を変更するのは良くないのだけど、簡単にキャスターを変更するにはこれしか方法がない
ハンドルクラウン上部からフロントフォークキャップボルト端面までの距離はノーマルで3㎜
キャスターを立てるには取付位置を下げて、こいつをもっと上に突き出せばいいことは計算しなくてもわかるが
でも、どれだけ突き出せばいいのか?
面倒くさいが計算するしかない(;一_一)
ということで昔勉強した三角関数を思い出しながら勝手な式を組み立てて計算してみた
主要諸元から既知の値を拾うと、
・フロントタイヤサイズ=130/80-18
・トレール=96㎜
・キャスター=26.08°
・軸間距離=1330㎜
フロントフォークの上端を20㎜突き出した場合をのキャスターを計算してみる
・フロントフォークの出寸法=20㎜
・ノーマル比=20㎜-3㎜=+17㎜
余弦定理を利用して
・(新)軸間距離=√(17㎜^2+1330㎜^2-2×17㎜×1330㎜×sin(26.08°)=1323㎜
・キャスター変化値=ACOS((1330㎜^2+1323㎜^2-17㎜^2)÷(2×1330㎜×1323㎜))=0.01154rad=0.661°
・(新)キャスター=26.08°-0.661°=25.419°
トレールはいくつになるんだ?
計算しようと思ったが、フォークオフセット値がわかんないと計算できない(できるかもしれないけど・・・)
主要諸元にはフォークオフセット値が載っていない
なんで?
仕方ないのでわかっている値からフォークオフセット値を導き出すことに
・フロント半径=18inch×25.4㎜/inch÷2+130㎜×80%=332.6㎜
・オフセット=96㎜×(332.6㎜÷(96㎜÷tan(26.08°))-1)×cos(26.08°)=59.99㎜
オフセットがわかったのでトレールの計算をする
・オフセット水平距離=59.99㎜÷cos(25.419°)=66.424㎜
・(新)トレール=66.424㎜×(332.6㎜÷(66.424㎜÷tan(25.419°)-1)=91.638㎜
考え方合ってるのかな( ̄_ ̄ i)?
計算方法や計算結果には責任を持てないが、5㎜単位で計算した結果は下記の通り
出寸法(㎜) | 3 (ノーマル) |
10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 |
キャスター(°) | 26.08 | 25.81 | 25.61 | 25.42 | 25.22 | 25.03 | 24.83 | 24.63 |
トレール(㎜) | 96.00 | 94.20 | 92.92 | 91.64 | 90.35 | 89.07 | 87.78 | 86.49 |
軸間距離(㎜) | 1330 | 1327 | 1325 | 1323 | 1320 | 1318 | 1316 | 1314 |
ハンドルクラウン上部からフロントフォークキャップボルト端面までの距離を35㎜に決定(ノーマル比:+32㎜)
理由はキャスターをレプリカに近い24°台にしたかったのと、これ以上キャスターを立てるとトレールが短くなり過ぎるから
オフセットを小さくできればトレールを稼げるので、もっとキャスターを立ててもいいんだけど、オフセット変更はできない
本当は24°前半までもっていきたかったが、トレールが小さくなり過ぎると復元力が小さくなり落ち着かないハンドリングになる可能性があるのでこの辺りで様子を見ることにした
これで、
・キャスター24.83°(ノーマル比:-1.25°)
・トレール87.78㎜(ノーマル比:-8.22㎜)
・軸間距離1316㎜(ノーマル比:-14㎜)
数値だけを見ると僅かな違いにしか思えないかもしれないが、アライメント的にはかなり大幅な変更になる
特にキャスターが1.25°も違えば誰が乗ってもステアリング特性の変化は感じられるレベル
フロントホイールトラベルが160㎜らしいので、ブレーキングでフルボトム時には、
・キャスター18.198°
・トレール46.19㎜
・軸間距離1257㎜
ってことになるのかな?
車両分布重量について実際に計ってみた
と言っても200g単位でしか計測できない体重計なのでかなりアバウト
それにカスタムしてるので、ノーマル時とは車両重量が違うし、ガソリンタンクには4Lぐらいしか燃料が入っていない(主要諸元の車両重量は7Lでの表示)
とりあえず水平で計らないと意味がないので、体重計の高さ5㎝と同じ高さの木材を体重計側と反対側の車輪に噛ませる
フロント54.6kg(調整前54.0kg)
リア62.2kg(調整前62.8kg)
車両重量116.8kg(ノーマル127kg、ガソリン4L換算で7.2kg軽量)
前後重量配分比46.7:53.3(調整前46.2:53.8)
ガソリンが満タンならもう少しフロントの重量配分は多くなるはずだけど、増減するアイテムに頼るのも無理があるか・・・
無駄に重心高さも知りたかったので、フロントタイヤを47㎝高のパイプ椅子に載せて車体を斜めにして計量(ガソリンの流動性は無視)
TWを支えるのに手いっぱいで撮影は不可能だった
フロント49kg
リア67.8kg
水平時の重量配分との差を利用して、それぞれの重心水平位置から伸ばした垂線同士の交点から重心高さを計算すれば求まる・・・はず( ̄ー ̄;
リアの車軸を起点にして、
・傾斜角度=ATAN(前輪リフト470㎜÷√(軸間距離1316㎜^2-470㎜^2))=20.928°
・水平時X方向重心位置=軸間距離1316㎜×54.6kg÷116.8kg=615㎜
・傾斜時X方向重心位置=軸間距離1316㎜×COS(傾斜角度20.928°)×49kg÷116.8kg=516㎜
・重心高さ=(水平時X方向重心位置615㎜-傾斜時X方向重心位置516㎜÷COS(傾斜角度20.928°))÷TAN(傾斜角度20.928°)=164㎜
合ってるかな( ̄_ ̄ i)?
ということで、リア車軸からフロント車軸方向に615㎜、そこから垂直方向に164㎜なので、キャブレター下4㎝の辺りが重心かなぁ
ノーマルTWではエアクリーナーBOXやバッテリー、マフラーなんかが後方の高い位置にあるので、今回計算した重心位置よりも数㎝後方の高い位置にあると思う
まぁ重心がわかったところで何がどうなるってわけじゃないけど、そのバイクの性格や扱い方のヒントにはなると思う
早速、試走してみた
ノーマル時よりも格段に切れ込むようになった
いい感じ(o^-')b
トレールが短くなったお蔭なのか、倒し込み時のステアリングの追従性も以前よりクイックになり、倒し込むポイントを僅かではあるが奥に取れるようになった
今までコーナー立ち上がり序盤の加速時に不自然に抑え込まないと、アンダー気味に出口で膨らんでしまう嫌な特性も少なくなったので、スロットルを開けやすくなった
トレールが小さくなったので安定性が気になっていたが、これも問題ないレベル
また、Uターン時にフルステアで最小回転半径で旋回するときに、スロットル操作でのバランスコントロールがかなり楽になった
ただ、コーナー立ち上がり序盤で限界近くまで加速させようとするとフロントが小刻みに揺れる(;一_一)
バランスが崩れているのか?
フレームの剛性不足なのか?
フロントの重量配分不足なのか?
キャスターが立っている場合はフロント重量を増やしたほうが安定性が増すと思うので、もう少しフロントの重量配分を増やしたい
もう少し調整が必要かもしれないが、ステアリング特性の方向性は間違っていないようだ
あと5㎜~10㎜ほどフロントを下げたほうが俺好みのステアリング特性になるかもしれないが、しばらくはこれで様子を見ることにした
※今回の内容は、ヘッドライトやメーター類のフロント周りの取付部品重量に大きく影響を受けるので、ノーマルTWで同じことをすると多分今回のTWよりもステアリング周りの慣性モーメントが大きく、倒し込んだ時にタイミングがずれて一気に切れ込むような症状が出るかもしれないので注意が必要
ちなみに、今回のTWのフロント周りは、ヘッドライト、メーター、フロントフェンダー、取付ステーなどでノーマルよりも0.9kg~1kg軽量化されているので慣性モーメントも小さくなっている