原題:Adaptation.
2002年(米) 上映:1h55
監督:スパイク・ジョーンズ
脚本:チャーリー・カウフマン/ドナルド・カウフマン/スーザン・オーリアン(原作)
出演:ニコラス・ケイジ/メリル・ストリープ/クリス・クーパー/ティルダ・スウィントン/カーラ・セイモア/ブライアン・コックス/他

★アカデミー賞 1部門受賞★
助演男優賞(クリス・クーパー)

脚本家チャーリー・カウフマンは『マルコヴィッチの穴』('99)の成功で、一躍次回作を期待される存在となった。そんな彼のもとにある日、仕事の依頼が舞い込んでくる。それは、作家スーザン・オーリアンがフロリダで蘭を不法採集した栽培家ジョン・ラロシュを描いたノンフィクション『蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界』の脚色。だが、チャーリーはさっそく作業を始めるものの、全然アイデアがまとまらず悶々とした日々が続く。一方、彼とは対照的に陽気な双子の弟ドナルドも脚本家めざして養成セミナーに通い始め、あっという間に脚本家デビューを果たす・・・。

『マルコヴィッチの穴』('99)も変な作品でしたが、同じ監督・脚本コンビということで本作も相当変です。今回も現実と虚構が複雑に絡みあった内容は好みの分かれるところだと思いますが、私は楽しめました。

どこまでが本当でどこからがフィクションなのか、その絶妙な組み合わせがなんともユニークで面白かったです。ザックリ書くと、話の大筋はノンフィクションで、細かいディテールはフィクション。

スーザン・オーリアンのベストセラー・ノンフィクション「蘭に魅せられた男、驚くべき蘭コレクターの世界」の脚色をC・カウフマンが依頼され、ストーリーらしい展開のない本を前に立ち往生してしまい、自分をストーリーに組み込むことを思いついたというのは本当。逆に、C・カウフマンはデブでもハゲでもありませんし、結婚して子供もいます。ドナルドという双子の弟も実在しません。後半の展開もフィクションでしょう。

あれこれと考えてる時点で術中にハマってる訳ですが、その辺のことを考えなくても、きちんとエンターテイメントとしても成立していて完成度が高いです。作品の完成度を更に上げているのがこれ以上ないというキャスティング。N・ケイジは冴えない男を演じさせたらピッタリですし、M・ストリープのだんだんと壊れていくあたりはさすがの一言。C・クーパーがアカデミー助演男優賞を受賞しましたが、上記の二人に完全に喰われてた気がします。きっと本作のためだけに出演者ともども再現された『マルコヴィッチの穴』の撮影現場も芸が細かいですね。

内容とは関係ありませんが、周囲が絶賛していたドナルドの脚本「The Three」を是非とも見てみたいものです。

「Adaptation(アダプテーション)」には「適合、適応、順応」という意味と「脚色」という二つの意味があります。本作はこの両方の意味を包含していて、前者は、重要な役割を持つ「蘭」の受粉生態、後者は主人公の職業を指しています。

"@ the Movies"
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