麻生太郎元首相 福岡ローカル「RKB毎日」の経営権奪取か

(日刊ゲンダイ2011/1/20)

◆現在は第3位株主だが……

自前の放送局を持つ――。ニュース番組で叩かれまくっている政治家にとって、自分の“言い分”を都合よく流してくれる放送局は頼もしい存在だろう。そんな夢を実現しようとしている政治家がいるともっぱらだ。自民党の麻生太郎元首相(70)である。麻生元首相がお膝元・福岡のローカル放送局「RKB毎日放送」(福証)の経営権を本格的に手中に収めようと動き始めている。
すでに麻生元首相がオーナーである麻生財閥の中核企業「株式会社麻生」が07年春にRKBの株を大量に取得。毎日放送(99万株、8・8%)、毎日新聞社(94万株、8・4%)に次ぐ第3位(67万株、6・0%)の大株主になっていたが、さらに株を買い増しして、今春には筆頭株主の座に躍り出るのではないかとみられているのだ。
「株買い増しの背景には第2位株主である毎日新聞の経営危機がある」というのはマスコミ関係者だ。毎日新聞は2010年9月中間連結決算の税引き後利益は13億円超の赤字。中間決算の赤字は3年連続で、赤字額は前年同期より1億円以上も増えている。経営破綻一歩手前といえる状況なだけに、背に腹は代えられない苦境にある。

◆製作現場にグループスタッフを大量派遣

そんな毎日新聞とは対照的に、麻生財閥は福岡を中心に九州圏で病院、ビル、学校、介護、不動産、ゴルフ場、石油販売etcと多岐にわたってビジネスを手がけている一大コンツェルン。麻生グループ社数は66社。グループ総売上高は1371億円(平成22年3月期)である。資金は潤沢だし、政治家一族にとって自前の放送局を手に入れるメリットは計り知れない。
「そこで毎日新聞の保有株取得に向けて動き始めているのではないかと憶測を呼んでいるのです」(放送局事情に詳しい芸能評論家の金沢誠氏)というわけだ。
すでに麻生グループは子会社で人材派遣業の「アソウ・ヒューマニーセンター」のスタッフをRKB毎日の番組制作現場に大量に派遣。現場の9割はアソウのスタッフということもあるという。

名実ともに麻生元首相がRKBを手中に収めるのは時間の問題。総理経験者がテレビ局の経営権を握るのは田中角栄の新潟総合テレビ以来である。政界も放送界も要注目だ。



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