単独過半数の60議席獲得も見えてきた  (日刊ゲンダイ 2010/6/10)


12ある「2人区」で2議席独占も


民主党は参院選で勝敗ラインの50議席を突破できるのか。一時は、30議席を割ることもある、とみられていたが、このまま波乱がなければ、大負けはなさそうだ。
鳩山首相が辞めるまで、民主党の候補者が街頭で演説しても、ビラを受け取ってもらえず、小鳩体制に対する批判も強かったが、菅内閣がスタートしてから民主党に対する態度が一変しているという。民主党にソッポを向いていた無党派層が、「もう一度、民主党にチャンスを与えよう」と戻りはじめたらしい。
実際、世論調査を見ても、「参院比例区の投票先」に民主党を選ぶ有権者が急増。10日前まで民主20%、自民20%と並ばれていたのに、民主33%、自民17%と2倍の差をつけている。

「もはや民主党が40議席台に落ち込むことはないでしょう。菅首相が勝敗ラインを50議席に設定したのも、最低でも50は取れるという自信の裏返しです。このままいけば、改選議席の54は堅い。単独過半数の60も不可能ではないと思う。3年前の参院選で、小沢民主党が60議席と圧勝した時と、世論調査の数字がほぼ同じだからです。あの時も、比例区の投票先は民主32%、自民15%でした」(政治評論家・有馬晴海氏)
個別の選挙情勢を見ても、自民党に競り負けていた選挙区で、巻き返している。29ある「1人区」は、ヘタすれば3勝26敗という大惨敗も予想されたが、いまでは五分五分の状況だ。
「さすがに、北陸や九州といった自民党の牙城を切り崩すのは難しいかもしれない。しかし、落選濃厚とされていた山梨の輿石東が息を吹き返す可能性が出てきた。引退する自民党の青木幹雄の選挙区だった島根も、ひっくり返るかもしれない」(民主党関係者)

12ある「2人区」は、小沢戦略がズバリ的中しそうだという。前出の有馬晴海氏が言う。
「2人区に2人擁立した小沢前幹事長に対して、民主党議員は『共倒れしたらどうする』と文句ばかり言っていたが、現時点で共倒れしそうな選挙区はひとつもない。全12選挙区で議席を獲得しそうです。北海道、宮城などでは2議席独占の目も出てきた。『反小沢』の安住淳選対委員長も、小沢前幹事長の正しさを認めざるを得ず、選挙態勢をそのまま引き継いでいる。小沢一郎の凄さが分かったようです」
最大の激戦区である定数5の東京も、当選は蓮舫ひとりだけと予想されていたが、小川敏夫も滑り込みそうだ。