清濁異置か清濁同置か? | 飛鳥カナ配列 ☆未来の子供たちへの贈り物☆

清濁異置か清濁同置か?

これは、2007年8月8日の記事です。

今回もyfiさんの書かれたこの記事(リンク)のコメントになります。

念のためですが清濁異置(分離)とは、飛鳥のように清音とその濁音を
異なったキーに割り付けることです。清濁同置とはニコラ配列のように、
同じキーに清音とその濁音を割り付けることを指します。

>(清濁同置の)制作者にとってのメリット。
>探索するべき枝の範囲を、「ある程度」狭くすることができる。

順列の数では90!とかから70!とかに減って、数千京分の一とかになると
思いますので、「極端に狭くできる」でよいのではないかと。。。

>(清濁同置が)専業ではない配列制作者にとっての検討限度なのかもしれない。

ここでは主語が分からないんですね。配列を作るのは誰かということです。
yfiさんが主語なら「そうだろうな」と理解はできます。

しかし、配列作成の一般論では「専業でない」必要は特にないでしょう。

余り代わり映えもしないクルマのモデルチェンジでも、数十人とかの「専業」の
設計者や開発者が束になって、三年とかかかり切りで開発に当たります。

しかし、大衆車のモデルチェンジなど、ハイブリッドカーのようなブレーク
スルー的大規模なものを除くと、クルマの世界を殆ど変えることはありません。

しかし、飛鳥のような入力方式が広まるのはクルマの世界で言えばハイブリッド車並の
ブレークスルーなんです。何と言っても、世の中に出ている文章は殆どがタイピングで
創作されているのです。千万人以上が、年間数時間は入力し、その中の何百万人かは
毎日数時間文字をタイプしているのです。

そんな、恵沢を受ける人が国民的に及ぶ入力法の開発が「専業でない」ことを
前提にするのは、逆にヘンです。現状がそうでもです。

例えば、以前にも書いた気がするのですが、文明の伝搬の様子を解明するために
トルコで何十年も発掘調査している国立大学のチームがあります。
今は独立行政法人とか言うらしいですが。。

人件費を含むと年間数千万円がこの研究のために税金から支出されている
ことになります。勿論、彼らは「専業」です。

しかし、その研究で文明の伝搬の道筋が解明されても、それで利益を受けるのは
論文を書いて実績になる当人達と、ほんの一部の歴史家くらいのものです。

それに比べれば、数千万人が毎日のように利益を受けられる実用的な入力法の
開発を素人の趣味程度に任せておくのは、たとえ現状はそうであっても、
本来はおかしなことなのです。

それに、例えば乗り物の開発の検討限度が(アマチュア=専業でない人)にとって、
自転車までだということは、一般論では正しいでしょう。しかし、開発者が資質と
財産(あるいは援助を得る能力や地位)に恵まれていれば、自転車を越えて素晴ら
しいバイクやクルマも開発できるかも知れません。

それが食費と家賃と電気代くらいの開発費で一人でやれる配列作りでできないはずはありません。

それに細かい話だと、専業かどうかは開発者の能力や年齢によるのです。私などは、大分歳を食っ
てから始めたので、両立するほど頭の体力がなくなっていたのが専業になってしまった原因です。
それに、生まれついての不器用さと頭の悪さも重なっているようです。。(;_;)

また、配列開発において、多数の開発者が必要かどうかも検討しなくてはいけないのではないでしょう。

yfiさんが無言で前提にしていることは、「配列開発なんかどうせマイナーな世界だし、儲かった
例もない。だから、アマチュアしかやらない。
開発手法が複雑な清濁異置だと開発に参入する物好きはRayくらいしかいないので、
選択肢が限られてしまう。だから、性能が悪くても作りやすい清濁同置を親指
シフト配列開発の標準にすべきだ」と仰っているように感じられます。

しかし、いくら清濁同置で沢山候補ができても、原理的に清濁異置の方が性能が高ければ
作りやすい清濁同置の候補がいくら作られても、意味がないんじゃないでしょうか?

入力法という国の大事の開発をアマチュアに任せている現状が変なのは上で述べたとおり。


>清濁分離配列の検討が困難であることは、TRON論文あたりから語られている話。

私はその種の論文にはアクセスできないので、あっさりそれだけ述べられているのかは
分かりません。

しかし、それしか書いていなくても、私だったら「何故、困難だったんだろう?」と考えます。
読書は大事なのですが、それは書き手と対話しながら読むのが大切という、前回書いたことと、
ここで繋がります。

で、アホな素人の私ができた清濁異置が、何で秀才天才の集まりの専業のトロンチーム
には難しすぎて、「困難」と捨てられなくてはならなかったのでしょう?

すると以下のような「思考」が出てききます。

大体「困難」で人間メゲていたら、TVもクルマもケータイもiPodも、少し凝った
工業製品なんか何もこの世に存在しない。それどころか製鉄やらなんやら、殆どの産業
は起こせないので、世の中未だ原始時代のまま。

製品に限らず、オリンピックもワールドカップもメジャーリーグも、高校野球でさえ、
上手くなったり強くなるのが「困難」とかヘタレを言っていたら、何も生まれない。

そうなると「困難」が理由で清濁異置を捨てるほど頭が悪い人がトロンの開発チーム
ということになるが、そんなはずはない。

ということは、「困難」と言って諦めなくてはならない別の「理由」があるはず。
他の工業製品とは違う、マンマシンインターフェースの要の配列ならではの理由が。

一つは、ニコラと同様、配列は飛鳥みたいに何百回と候補を出して、公開での変更を
何十回と繰り返すものではないとアプリオリに彼らが頭から新煮、にゃ。。じゃなくって!
信じ込んでいたこと。

しかし、工業製品を考えると車でも家電でも、社内での数百回とかのテスト版が作られ
その後何十回と発売される製品で試行錯誤がなされて、より高性能なものに進んでゆく。
スポーツだって、最初からオリンピックや甲子園に出られるヤツはいない。


それなのに、配列のみは「最初のものが決定版」として固定されてきた。

この多分野との違いは、ユーザーの覚え直しが何十時間とかかかる配列の
「一度決めたら変えられない」という特殊性にある。
「試行錯誤は許されない」という、規格的なものが持つ思いこみだ。

もう一つは、これもニコラと同様、トロンにも「開発に時間がなかった」ことが挙げられる。
開発期間がたっぷり取れていたら、後から信用に関わる修正を何十回もする必要がないからだ。

何しろトロンプロジェクトのBトロンは、製品モデルを作らないとどんなものだか誰にも
分からない。だから、PCという形で提案しなくしてならなかった。富士通の親指シフト
も量販するために未熟であろうと親指シフトの配列を決めなくてはならなかったのと同じ。

そして、PCにはキーボードが必要だし、キーボードには文字刻印が欠かせない。

「配列の開発は後何年かかるか分からないから、キートップに刻印はしません」
では世の中通らない。ニコラは勿論、Bトロンもインスタントでも配列がなか
ったら、検討する気に誰もならないからだ。
第一配列が未完成なら文字入力のデモンストレーションもできない。

それから、富士通にもトロンにも、カナ並べのような幼稚なことを何年も
続けられるほど、頭と要領の悪い人間がいなかったのもありそうな話です。


あと、これもあった!

> もっとも、個人的な感覚としては【とりあえず親指シフト「エミュレータ」と親指シフト
>「ソフトウエアロジック」だけをJIS化してみよう!】よりも【「キー入力入れ替えソフト」の
>JIS規格化を目指して。】のほうが理想に近く、それは結局【単一配列が国力になるとは
>思っていない】ことにもつながるわけで。

やはり、QWERTY配列でも分かるとおり、単一の配列がアメリカの国力に繋がっているのは事実でしょう。

(モノは体と手も動かさないと出来ませんが、金融や情報などアメリカが大もうけしている
 分野は、突き詰めると言葉に行き着きます。言葉でカネや組織を動かしているわけです。

 ですから、IT時代になって余りモノを作らなくなった今のアメリカの隆盛には、
 QWERTY配列という単一配列がかなり寄与している筈です。
 またDvorakとか言っても、私がリアルに会った外人で、あれ知ってたの皆無でしたからね。。)   

まあ、英語が実質QWERTY配列一つで済んでいるのは、英語の連接の単純さと、
QWERTY配列が最初のものなのに、連接について国語学者のデータを得た
という、Sholes氏自身が運指のセンスがあったのが大きいのですが。

で、今のような過渡期には、私がアベちゃん顔負けに「飛鳥改革を国民が何と言おうと続行する」
と言えるくらいの大独裁者にでもならない限り、国民的入力法の候補を示し、広く国民から意見を
募ることが大事なので、yfiさんが書かれているのは優れた提言だと思います。

しかしJIS化はそれで大規模な投票的なことが行われてからだと思います。
提案の仕方をJIS化するのもヘンな話だからです。

しかし、それをやるのは今が過渡期だからで、最終的には、カナが一つに、現行の
ローマ字くらいに絞るのが現実的だし、国力に繋がると思います。最大でもカナが
二つに、行段系が二つくらい。。

クルマのシフトと同じで、やり方が多すぎて混乱したら事故の元なんで。。

「人によって好みは違う」とか言っていると規格が乱立して
収集がつかず、けっきょくローマ字の隆盛が続いてしまいます。

私は、打鍵のような肉体的なことは、手に特に障碍のない人では
普遍性があるものだと信ずるものですし、飛鳥はその確信が根底
にあって作られてきたものです。

陸上の高跳びでは背面跳びが、水泳の自由形ではクロールが普遍的に
優れているのと似たようなことです。

そこに行き着くまでは、方式の試行錯誤が繰り返されますが、上の
二つは、百年後も不変でしょう。入力方式も近いものがあるはずです。

でも、国力なんてデッカイこと言う前に、テメエ自身の個人力をなんとか汁!>自分

あと、これね。。

>けっきょく、Rayさんはモロに「(専業に引きずり込まれてしまうことが確実な)
>あけてはいけない扉」をあけてしまったのだと思う。

この扉は、結局「誰かが開けなくてはならない扉」だったんだと思うんです。

親指シフトが出来て親指ひゅんQが出来て、それで清濁異置やシフトの連続、
あと言葉単位の配列を作る人が出てくるのを状況が口を開けて待ってたんです。

その穴にはまったのが、たまたま私だったというだけです。

家族も未来も何も、失うものが何もない私だからこそ、扉を開けて
から、「やばい!」と思っても、止められなくなったと思うんです。

皮肉ですが、こういうのもこの種の開発者に欠かせない「資質」なんでしょうね。
世の中、「欠落」が逆に「資質」になることはよくあるんです。
一生童貞君だったらしいニュートン君みたいに。。。(^^;;


兎に角、2ちゃんで言われるように、ユーザーには生成物のみが問題なんです。
開発者がどんな性格で、その後どんな運命を辿ろうとも使う側には無関係です。

ですから、扉を開けるのが大問題だったのは私しかいないので、
それはそれで、私以外のユーザーには何の問題もありません。

それに、信義信条のために自分は勿論、何人もの周りの人も破滅
させる自爆テロとかに比べたら、こんなのは可愛いもんです。

でも、コストとメリットとか打算的なことばかり言う人の多い
無宗教のこの国では、私のような物好きは滅多に出てきません。

それがネックになって、清濁異置の配列は他に余り出てこないので、
飛鳥との客観的な比較が出来なくてyfiさんは困っているのか!( ゚o゚)

でも、開発が困難でも生成物が良ければ、何も清濁異置の他のものと
比べなくてもそれでいいと思うのですが。。。

例の青色発光ダイオードだって、普通でないやり方でやったら、上手くいって
それで性能が十分出たので、量産化にも速攻成功してもう普及しちゃいましたからね。

他のものとの比較はするまでもない高性能でしたし、同じ性能を他の方式で
出すところが現れるのを待ったりはしませんでした。

考えたらが、あれって公開されたのが飛鳥の公開の後ですから、
今だにモタモタやってる飛鳥ってダメダメです。。。(;_;)


まあ、向こうは高額の特許料を払い続けるのはいやだから、今後
独自の生産方法を模索しているところもあるんでしょうが。。。

でも、飛鳥ってタダで特許もないですからね。。(>_<)


と、まあ、yfiさんはご自分のためのメモ程度に書かれているものに、
突っ込みを入れてきたようで申し訳ありません。

ネタが夏枯れしているのと、暑さを忘れるのを兼ねて、書き殴って
しまいました。気を悪くなされたら申し訳ありません。

あと、290の「に」の;裏もなかなか捨てがたいものがあるという
ことについても書きたいのですが、長くなったので今日はこの辺で。