倍速打鍵は本当に「2倍速」なんだというお話 | 飛鳥カナ配列 ☆未来の子供たちへの贈り物☆

倍速打鍵は本当に「2倍速」なんだというお話

みなさま、アルファベットを何秒で打つかという私のアンケートに答えてくださって有り難うございます。
私も含めて殆どの人が5~10秒に収まっているのに対して、yfiさんの27秒というのは
例外的で、「やはり」という感を強くしました。
つまり、yfiさんが配列を指に覚え込ませるのに異常に時間が掛かる理由とこれは
私の睨んだ通り明らかに関連しているようです。
子供時代の何年かは、JISカナのサイトメソッドで過ごされたようなので、これも関係しているようです。

しかし、このネタは「だから入力革命なんだってば!2」以降で詳細に論じる必要が
あるので、今回は簡単に語れる最近のネタについて書こうと思います。

>kettさん、飛鳥の評価をしていただいて嬉しく思っております。
kettさんの場合は私が飛鳥に施した仕掛けを意図通り受け取っていただいているので
とても心強いです。

ただ、一つ例外は最近の「下駄配列」のkouyさんとのやり取りで書かれていた飛鳥の「倍速打鍵」の件です。

つまり、kouyさんが
>ここで、拗音を搭載しない場合に、「“思考発音”に近づけるために“倍速打鍵の適用”を
>する」という話があります。しかし、私にはこの「倍速打鍵」の意味が分からないのです。
>「し」「ゃ」が倍速で打てるということは「し」「い」や「し」「ん」などはその半分の速度で
>しか打っていないということなんでしょうか。

に対して、kettさんは
>「倍速打鍵」というのは飛鳥配列における概念です。
>「ゃゅょ」をアンシフト面、イ段のカナと交互打鍵になるように置くことにより、
>拗音の入力を優遇しようという意味です。実際に2倍速で打つわけではありません。
>拗音キーを押しやすい場所に置いて、「指が動きしだい次の打鍵」をすれば、
>すばやく入力できるというものです。

ほぼ、正確に解説していただいていますが、一つ、倍速打鍵は早くは打てても、
別に2倍速で打つのではないという部分が私の前提と異なっているので解説します。

で、私、前世紀から拗音や語尾は、ほぼ正確に2倍の速度で打っているのです。

そうでなかったら、ただでも但し書きの多い私が「倍速打鍵」に関してだけは
「倍速打鍵(正確に2倍で打つことを意味しません)」のような但し書きを付けないで
あの言葉を使うはずがありません。

つまり、
>「し」「ゃ」が倍速で打てるということは「し」「い」や「し」「ん」
>などはその半分の速度でしか打っていないということなんでしょうか。

というkouyさんの問いに対する私の答えは、「はい、全くその通りです。」なのです。

しかし、拗音や語尾は入力全体の一割程度ですから、基準はそれ以外のカナの一打鍵一拍なので、
飛鳥が「し・い・ん」などを拗音などの半分の速度でしか打たないというより、
「拗音や語尾などはシ・イ・ンなどの倍の速度で打つ」と言う方が、飛鳥の打鍵の特徴
をより的確に表していると思います。
私もそう考えて「倍速」という言葉を使っているので、わざわざ裏から言う必要もないと思います。


で、拗音や語尾などを2倍の速度で打っていることは、既に前世紀、打鍵音を録音して確認したので確かです。
タンを四分音符、タを八分音符で表すと、私はすべて表のIDA,の「とうきょう」を、
タン・タン・タタ・タン・のリズムで正確に打っています。

「かんたんにうてます。」は「ます。」がLK.の左シフトの連続である以外は
そこまでは全て表のLJ;JCDFというホームが大部分の打ち易いキーのみです。

しかし、だからと言って、全て表のホームキー中心の打ち易い「かんたんに」を
倍速で打つことはありません。

「かんたんにうてます。」の打鍵のリズムは、タン・タン・タン・タン・タン・ウッ・タン・タン・タタタ です。
ウッは、助詞の後の半拍の休符です。

運指として速く打てる「かんたんに」のようなものでも、創作打鍵の中では一カナ一拍で打つのは、
それが脳内の発声と一致するためと、そこだけ速く打てるからと言ってそう打つと却って打鍵のリズム
を乱し、それがひいては思考のリズムの乱れにつながるので、そう打ちたいとは思わないからです。

ここで、「リズムを言うんなら、一定のリズムでタンタンタンタンタンタンと打つ方がいいはずで、
敢えて倍速打鍵のようなリズムを乱す打鍵法に配列を最適化する必要はない」という、
おそらくkouyさんの言われるのに類した意見が出てくると思われます。

でも、人間は機械ではありません。余りに単調なリズムは決して人間の感覚に合った
打鍵のリズムを生まないのです。

つまり、タン・タン・タン・タン・タンのようなお年寄りの手拍子のような単調なリズムより、タン・タタ・タタン・タ・タンタ・
タタン・タのような一拍と半拍がリズミカルに組み合わされるもののほうが、単調さを救い、飽きが来ないんですね。

これは、私が常々単調すぎる交互打鍵の連続をアプリオリに「善」とした従来の入力法の評価の
仕方を人間の感覚を無視した「交互打鍵原理主義」として退けていることとも通底しているようです。

それから、「配列的に拗音等が速く打てるのは分かったが、何故2倍速なんだ?」という
疑問には、人間は一拍と0.7拍とか0.6拍とかの連続をコンスタントに打ち分けるのは難しく、
一拍と半拍のような2倍関係の方が遙かに容易にリズムに乗れるから、と答えられるでしょう。

思うにシフトの連続も倍速打鍵も、ユーザーの好みでそうしなくても済む性質のものです。
しかし、私は飛鳥に慣れた時点で殆どのユーザーがこれらを快適と感じて適用するはずだと
確信しています。

私は、もう前世紀からこのやり方で打っており、また飛鳥はそれらがしやすいように配列してあるの
ですから、それを使わない手はありません。「邪道だからするな」と誰かに言われても、思わずそう
してしまうのが飛鳥のこれらの打鍵法なんです。

TVが本体でもリモコンでも操作できると言っても、人はリモコンを選びます。
飛鳥の便利な機能もリモコンと同じで、普通の打鍵法で打てても人は便利なこれらの
機能を選択します。問題は、他の入力法しか経験していない人が「本体で操作できる
のだからリモコンなど不要。」と思い勝ちなことです。

確かに飛鳥のこれらの手法は、今までの打鍵の常識とは異なっているでしょう。
しかし、yfiさんも私もそれでこの種の長文を書き綴っている以上、それらが打鍵を助け
こそすれ、妨げることはないと判断するのが行間を読むということかも知れません。

これらの飛鳥の打鍵手法は、飛鳥での打鍵が「楽しい」と感じられることの要因になっています。

打つのが苦にならず、ついつい言いたいことを全て書いてしまい、文章が長くなる原因でもあります。
まあ、本格的な文章なら、全部書いてから推敲するという手が使えるので言い忘れるということもありませんからね。

前にも書きましたように、これらの手法を駆使しやすいように飛鳥が配列してあるのは、
原理的に打ち易い英文タイプに少しでも迫ろうという、悪あがきとも言えます。

でも、一見無駄なあがきの数々も、束になれば少しは鬼畜米英に迫れるということもあります。
どうせ無理だからと、旧来の打鍵理論を一歩も出ないようでは、彼我の文字入力周りの大差は
一つも縮まらないのですから。

あと、「俺は秒速10打鍵でローマ字を打っているが、その2倍の秒速20打鍵なんてとても無理だ!」
という高速タイパーにありがちな疑問に対しては、飛鳥は文字打鍵の殆どを占めている「創作打鍵」
のことしか考慮に入れていないと言っておきたいと思います。
(飛鳥人の中にもTWで好成績を叩き出している方がおられるようなので、コピータイプ
 でも飛鳥はそれなりの性能はあるようなのですが、ここではそれは置いておきます)

人間は頭で考えるほど、そのまま文字に出来る文章が沸いてくる速度は速くないので、創作打鍵
は普通の状態では秒速2~3打鍵、乗ってきたときでもせいぜい秒速4打鍵かそこらです。

ですから、「しょ・きょ・です。ます。」のような倍速打鍵の小さな半拍の連続の部分は、
秒速4~8打鍵であって、この程度なら決して速すぎて打てないということはありません。

逆に、倍速打鍵の部分の速度限界のために一拍部分が必要以上に遅くなるということもありません。

飛鳥はシフトの連続や倍速打鍵を含め今までになかった打ち方やそれを可能にする配列の仕方
を長期に渡る試行錯誤と評価打鍵で「打ち易い」と判断してそれを配列に適用してきました。

しかし、これが旧来の判断基準と異なるので飛鳥を実際打ったことのない人に誤解を招いているようです。
私も、言葉で解説する以外は出来ないので、こうして書いているのですが、やはり実際に
配列を覚えて飛鳥で打ってみるまでは、言葉では理解できても実感はできないものです。

まさか親指シフトに行くとは思わなかったkettさんが親指シフトの飛鳥人になったように、
やはり「試してみないことには分からない」のが飛鳥に限らず新しい入力法の普及のネック
になっているんでしょうね。。と、中途半端に呟きつつ、今日は退場。。。