アジア経済統合への道筋についての「アジア太平洋経済協力会議」(APEC)、「東南アジア諸国連合(ASEAN)、「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)。アジアでの覇権をめぐり、アメリカと中国がつばぜり合いを演じる中、日本政府は、複数の選択肢を持つことで交渉を有利に運びたい考え。



この一連の流れは、貿易立国を標榜する日本にとって千載一遇のチャンス。日本はアジア経済統合にあたって扇の要になってほしいところです。特にASEAN6の経済圏は、世界人口の半数が組み入れられるもの。


アラフィーオヤジの起業・夢追いセレナーデ-アジア太平洋地域の経済連携構想

先日のASEAN(東南アジア諸国連合)との首脳会談。メディアは野田首相が一連の会議を通して、ASEAN内のインフラ整備への支援などをアピールしたもの、その存在感は示せたとは言えないと報じながらも、経済連携をめぐって今回、議論はある程度日本の思惑通りに進んだといえる、とも報じています。



今から70年前の1941年。太平洋戦の終盤。「欧米諸国(特にイギリス アメリカ合衆国 )の植民地 支配から東アジア 東南アジア を解放し、東アジア・東南アジアに日本 を盟主とする共存共栄の新たな国際秩序を建設しよう」(ウィキペディア)という、第二次世界大戦 において日本が構想した大東亜共栄圏



大東亜共栄圏は、八紘一宇 とともに語られます。八紘一宇(はっこういちう)とは、「『日本書紀 』巻第三神武天皇 の条にある「掩八紘而爲宇」から作られた言葉で、大意としては天下を一つの家のようにする」こと(同上)。当時日本が大東亜共栄圏を行う為のイデオロギー として用いた理念。



「大東亜共栄圏」も「八紘一宇 」も、「勝てば官軍、負ければ賊軍」の論理で、敗戦国日本の構想は、これまで日本の帝国主義の象徴として語られてきました。しかし、70年後の今、アメリカと中国の覇権争いの中、ASEAN諸国自体が自律的に経済統合に向っていること、隔世の観がありますね。



敗戦から70年。この間、日本はアメリカの庇護の下、経済復興を果たしてアジア諸国の中で唯一先進国の仲間入りをしました。しかし、アメリカ追随型の日本の立場は、世界における発言力はこれまで弱く、少なくとも日本政府の実行力は乏しいものでした。

アラフィーオヤジの起業・夢追いセレナーデ-APECを舞台にした地域統合の姿

1981年、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相が欧米 諸国ではなく、日本 の経済成長を見習おうというルックイースト政策 をはじめ、長期に及ぶ強力なリーダーシップにより、マレーシアの国力を飛躍的に増大させました。



マハティール首相は、1990 に後の東アジア共同体 構想に繋がる東アジア経済グループ (EAEG) 構想やその発展版の東アジア経済協議体 (EAEC)構想を提言しました。


マハティール首相は、この構想に日本がその中心的役割を担うことを期待されていましたが、この構想に自国の影響力が及ばないことを懸念したアメリカが反対したことから、日本政府はあえなくそのアメリカの「鶴の一声」に怯んでしまったのでしたね。



そして、今。アジア経済統合への道筋の岐路で三度、その扇の要の位置に立った日本。この局面で複数の選択肢を持つことで交渉を有利に運びたい考えの日本政府の意向は間違っていないと思いますよ。TPP参加へ反対する農業関係者の皆さん、この局面をしっかり見つめてください。





日本人よ。成功の原点に戻れ/マハティール・ビン・モハマド

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