昨日から始まった県主催による「まち育て塾」の塾生として、来年2月まで6回の講座を受講することになりました。塾生は51名。2260歳までの多方面の分野の人達で構成されています。私が参加した動機は、どんな形でもいいから、なんとか地元に貢献したいという漠然とした気持ちを「まち作り」という視点で深めてみたかったからです。会場は県庁の会議室で行われました。

塾長は愛知産業大学大学院教授の延藤安弘さん。延藤塾長が提言する「待ち育て活動」とは、「ヒト・モノ・コトの相互歓待関係の生成により人間も空間も時間とともに成長・変化する共感的社会形成(コミュニティ)育む参画活動」。「再開発」や行政主導というニュアンスのある「まち作り」よりももっと住民の手触り感がある「まち育て」なんですね。


ふたつの島

延藤塾長は今年の春に東京で「世界の住まいとまち絵本展」を開かれていて、各地で絵本を使った「幻灯会」も実施されています。本講座の初回もその幻灯会からスタート。紹介された絵本は、「変わりゆく風景」(独イエルク・ミュラー)、「ビロンギング」(英ジェニー・ベイカー)。この絵本をもとに延藤塾長の絶妙な語りで、住まいと変わりゆく風景がドラマテックに語られました。この二人の作家について詳細はわかりませんが、イエルク・ミュラーには「ふたつの島」などの絵本があります。

ユーコート

住みたい8名によってグループを結成され、48世帯が作り出した「現代長屋の金字塔」といわれる、コーポラティブ住宅ユーコートの25年に及ぶ住民の軌跡、高知県香美市赤岡町の「まちの宝物発見からまち育て」のドキュメントの紹介がありました。

午後からは、塾生のコミュケーションを図る「まち育てビジョンゲーム」というグループワークを行いました。6つのグループに分かれ、数十枚の写真から四つの写真選びストーリーを作り、最後に発表し、全員の投票によって優秀作を決定するというものです。私たちのグループは、3位に甘んじんましたが、各グループともなかなかの役者揃いで感心しましたよ。


延藤

そして、1982年3月「住み手自身に家創り」をテーマに発足した「京の家創り会」。洛西ニュータウンに

さて、ここで塾長の紹介を、asahi.comの「著者に会いたい」の記事から引用します。

<おもろい町人(まちんちゅ) 延藤安弘さん>

[掲載]20060507日、[]宮崎健二 [写真]松沢竜一

この柔和な笑顔のお方は、延藤安弘・愛知産業大学教授でございます。専門は生活空間計画学。住まいだけではありません。広場も、街も、ぜ~んぶ同じつながりとしてとらえるんだそうです。行動派で、住民主体のまちづくり、まち育てを現地に出かけて応援しておられます。

 で、そのきっかけになる方法というのが「幻燈(げんとう)会」。これからまち育てに取り組もうと考えている人たちに各地の事例をスライドで見せるんです。講談調の説明付きで。「参加者のノリがいいと、こっちのノリもよくなるんですよ」。講談が趣味というわけではないそうですが、「才能は引き出されるものですなあ」と笑っておられます。ははは。



おもろい町人

 で、その「幻燈会」の数あるネタの中から5本を収めたのがこの本なのでございます。ご本人が代表理事を務める名古屋のNPO法人「まちの縁側育くみ隊」の活動に、神戸市・真野地区、東京都武蔵野市京都市・洛西ニュータウン、高知県赤岡町での住宅の建て替えや住民同士の交流の物語。写真が盛りだくさんで、住民の方々の表情が実にいきいきとしております。「まちを育てる感動を味わうと、あとは皆さん自分たちでどんどんやっていくようになる。私自身も楽しませてもらってます」

 熊本大学や千葉大学の教授も務めてこられました。今は名古屋に住んで、全国各地を飛び回る日々。最近は行政の意識も変わり、住民参加がずいぶん進んできました。「まち育ての物語の遺伝子が列島各地に浸透している。そんな実感がありますね」。そう聞くと、なにやらこちらまで心が温まってまいります。


交流会

講座終了後、会場地区の居酒屋で交流会が行われました。塾生の紹介で熊本市だけはなく、八代市人吉市玉名市、天草市などから参画している方々が多いことに驚きました。同席した県の事務局の方によると私が本塾の申し込み第一号であったということでした。また、創業塾の塾生であるHさんも参加されていて、今日最終回を迎える同塾の宿題などのことなど話した次第です。