昨年末このブログを書き始めた頃、東京、横浜を訪れたときのことを記事にしていますが、その再開発の規模に驚いたものです。私の住む熊本でさえ、未だに中心街に立ち続けるマンション群に閉口してしまいます。低金利による頭金なし、賃貸マンションよりも安い月の返済額や耐震偽装問題などで建築基準が厳しく適用される今なら安心と購入者も多いのでしょうか?


不動産は値下がりする

そんな折、リクルートの創業者である江副さんが「不動産は値下がりする!」という本を書きました。なんで江副さんが、と首を傾げましたが、よく考えればリクルート事件の発端となったマンション・デベロッパーであるリクルートコスモス(現コスモスイニシア、2005 630 MBO によりリクルートグループから独立)の会長であり、辞任後も不動産事業を手がけておられたと訊いたことがあります。



この本の中で江副さんが述べていることは、「限りある国土」だからインフレが予想される今後、ある程度条件の良い不動産は値上がりするという前バブル時代の反省を少し踏まえた最近の風潮にメスを入れる内容です。丸の内、銀座、六本木、赤坂などの良好な物件についての値上がりや首都圏への更なる人口流入については江副さんも認めています。


しかしながら、「限りある土地」神話は、埋め立て、工場跡地の再利用、容積率の緩和により「際限ない土地」として生産され続けている事実が突きつけられています。その江副さんが懸念しているのが、REITReal Estate Investment Trust)という、不動産投資信託 です。これは1960年代にアメリカで発案されたスキームですが、法改正で日本でもJ-REITとして人気商品になりました。

REIT

REITの形態としては、投資信託及び投資法人 2つがあります。この2つを契約型及び会社型と表現することもある少し長くなりますがウィキペデァからREITについて引用します。

REITとして設立された「特定目的会社」は、法人税を免除されるかわりにその業務内容や会社の運営に法的な制限がある。具体的には会社の営業項目が不動産運営に関するものに制限され、売却を目的とした不動産の開発・分譲が原則できないこと、投資者への収益還元割合の下限設定などがある。

REITと一般の株式会社の主な違いは、高配当義務とひきかえに法人税が優遇される点である。上場されたREIT株は市場において取引される。REITの収益の大半が保有不動産の家賃による。そのため一般の株式にくらべて大幅な配当増、証券価格の乱高下は期待しにくい。一方、不動産賃貸契約は一般的に安定しておりリスクが小さいとみなされている。そのため投資家のポートフォリオのリスク分散に貢献する新たな投資先(financial vehicle)として認識されつつある。


日本におけるREIT2001年に2銘柄でスタートし、その後ほぼ順調に拡大し、20072月末現在で41銘柄、時価総額 5兆円に達している。時価総額の規模で、米国、豪州、フランスに次ぐ規模になっているが、対GDP比ではシンガポール 香港 等よりも依然低い水準にある。


再開発

投資物件については、当初はオフィスビル が主体であったが、次第に商業施設・店舗や住宅等への投資も増加しており、2006年現在においてオフィスビルの占める割合は57%にまで低下し、商業・店舗が20%、住宅が18%、その他5%となっている。米REITの投資物件はさらに多様であり、J-REIT市場においても今後投資物件の多様化が進むものとみられている。

現在課題点として挙げられるのが運営・設立母体が自社でも不動産事業を手掛けているケースが非常に多いため、物件取得価格 の妥当性や優良物件の母体企業による囲い込み等の利益相反 が生じる恐れがあり、一部では既に行政処分 が為されたケースもある。実際に主要なJ-REIT は下記の通り母体企業からの物件取得 が中心となっており、資産内容の第三者によるチェック機能の充実が急務と考えられている。


江副さんは、このREITが今後予想される金利上を受け、利回りが悪くなり、惹いては破綻する商品が出てくるのではないかと危惧しています。大都市圏を中心としたオフィスビルは1990年代後半から外資のREIT戦略によって建設されたのが始まりだと思います。その外資が今売りに転じています。投資を考えている人は注意が必要ですね。まさにこの本のサブタイトルである「見極める目」が求められる時代です。

そもそも住まいとは何か?持ち家か、それも新築か中古か、一戸建てかマンションか、あるいは賃貸かという選択肢がありますが、確か20年後の資産状況を比べたときに結局どれをとっても結果は同じだという結果を見たことがあります。先日、私の先輩が、苦労して購入した一戸建てだけれども子どもたちが巣立ち、二人では広すぎると嘆いていました。人生で一番大きな買い物である住居には、しっかりとした人生プランが必要だと痛感したところです。