9試合目に注目の秋山選手が登場しました。入場時にはお決まりのブーイングもありましたが、ブーイングの数は明らかに少なくなっています。大晦日“やれんのか!”でのブーイングが凄すぎたのもありますが、それと比べるとブーイングの数は半分以下になっているのではないでしょうか。

試合内容はスタンドでは対戦相手の外岡選手も互角の展開を見せるも、グラウンドに引き込まれると何も出来ませんでした。一度脱出できたのは、秋山選手の寝技の甘さなのか、外岡選手の練習の成果なのかは定かではありませんが、すぐに再びグラウンドに引き込まれ外岡選手が一本負けを喫しました。

試合内容よりも印象的であったのが、秋山選手が着実にアンチ以外のファンも増やしていると言うことです。試合開始直前や、試合終了後のマイクではブーイングと拍手の数が半々程度でした。いくらアンチファンが多くとも、あそこまで皆の関心を引き、メディアでの露出も増えれば、彼のことが好きというファンが増えるのは自然なことかもしれません。DREAM6の平均視聴率は9.0%だったようですが、最高視聴率の13.4%は秋山選手の思惑通り、秋山選手VS外岡選手が叩き出したようです。

10試合目は青木選手VSムーア選手。一週間前に急遽参戦が決定した青木選手でしたが強さを見せてくれました。今回のような経緯で急遽組まれた試合でも、きっちり一本で勝利を収める青木選手の実力は確かなものだと感じました。青木選手が11試合目の目玉試合、ミルコ選手VSアリスター選手へ向けて良い景気づけをしてくれたと思いました。

しかし、11試合目のミルコ選手VSアリスター選手はその期待も虚しくノーコンテストという結果に終わってしまいました。ノーコンテストという結果以上に残念であったのは、ミルコ選手のパフォーマンスだったと思います。ファンにとっては目を背けたくなる事実かもしれませんが、ミルコ選手はピーク時よりも衰えていることが明らかなパフォーマンスでした。結果はノーコンテストでしたが、観ていた人達にはアリスター選手の勝ちで、ミルコ選手の負けという印象を残したと言っても過言ではないと思います。一方でアリスター選手の強さは際立っていたと思います。研究されてしまうというのは、TOP選手になったファイターの宿命なのかもしれませんが、ミルコ選手の良いところを全く出させませんでした。いくらパフォーマンスの悪くなったミルコ選手とはいえ、あそこまでいとも容易くミルコ選手をテイクダウン出来る選手は中々いないと思います。特に首相撲の強さは目を見張るものがありました。

仮にミルコ選手VSアリスター選手が白熱した試合となり、KO及び一本で決着したのであれば、興行のヴォルテージを巻き返す最後のきっかけになり得たと思います。しかし、ノーコンテストという結果になってしまったことで、興行としてもこれが致命傷となりました。本当にDREAMは主催者の思惑通りには進みません。

最終試合のミドル級グランプリ決勝戦、ムサシ選手VSジャカレイ選手も早期KO決着したものの、すっきりしない結末でした。もちろんフィニッシュとなったムサシ選手の下から突き上げる蹴りは狙ったものでしょうが、偶発性を感じてしまったファンも多いと思います。これもDREAM6という興行の流れがもたらした結末なのかもしれません。

優勝したムサシ選手は若いながらも、毎試合進化を見せていることと、その落ち着きぶりは凄いと思います。マヌーフ選手との試合でも、落ち着いた試合運びを見せました。ジャカレイ選手を稀に見る方法でKOしたのも、相手を落ち着いて良く見ていた結果だと思います。世界のTOPを狙える実力のある選手だと思うので、今後の更なる飛躍に期待しています。

DREAM6


会場にはヒョードル選手が来場していました。ヒョードル選手は大晦日に日本で試合をするとほのめかされています。(アフリクションのアテンシオ氏は必死に否定しているようです。)仮に大晦日、日本で試合をするのであれば対戦相手が気になるところです。現時点で相手は伝説的柔道家ということで、吉田選手、秋山選手など様々な憶測が飛んでいます。しかしDREAMの中から相手が選ばれるのであれば、個人的にはこの際アリスター選手と組んで欲しいと思っています。ヒョードル選手が今後大晦日に継続的に参戦する保証はありませんし、いずれにせよ日本で試合をする機会は多くはないと思っています。ヒョードル選手が日本で試合をするのは貴重な機会だと思うので、その機会を明らかに勝負が見えている相手との対戦で使ってしまうのは勿体無い気がします。ミルコ選手はあのような結果に終わってしまいましたし、ハリトーノフ選手も現時点での実力値は微妙です。なのでDREAMの中から選ぶのであれば是非アリスター選手とヒョードル選手の試合を組んで欲しいと思います。アリスター選手は今勢いがありますし、ヒョードル選手も対戦したことの無いタイプだと思います。ヒョードル選手は対戦相手を徹底的に研究して対策を練るようですが、大晦日までそう多くの時間もありません。そうなると、アリスター選手に万が一が起こる可能性も否定は出来ないと思います。

大晦日興行のため、一般層への訴求効果を無視出来ないので、アリスター選手とヒョードル選手が組まれる可能性は非常に低いかもしれません。格闘技ファンと一般層の狭間でバランスを取るのは興行として非常に困難な部分もあると思います。
しかし、ヒョードル選手が日本で試合をする貴重な機会を活かし、その対戦相手となりうる選手の旬の時期を逃さないようにして欲しいと思います。