幻覚目を閉じる。 何も考えない。 意識が遠のいていく。 しかし息苦しさと体中の痛みと波打つ鼓動は収まらない。 夢と現(うつつ)の狭間にいるときに、 目を開けると魑魅魍魎が部屋の中を跋扈していた。 (なんだこれは?あれか、これが幻覚というやつか) 意外と冷静に状況を分析できたが、 その魑魅魍魎を追っ払う気力がないのでもう一度眠ることにした。 それにしても39.5度の熱がこれほどのものとは思わなかった。 二度と風邪にはかかりたくない。 だがもう一度、あの魑魅魍魎を目撃したい。