クリスティン・カショア『剣姫-グレイスリング-』(ハヤカワ文庫FT)を読了
和爾桃子=訳
立花オコジョ=カバーイラスト
大野リサ=カバーデザイン

Graceling by Kristin Cashore

2011年5月20日 印刷
2011年5月25日 発行
ISBN978-4-15-020533-1 C0197 Y1000E
定価:本体1,000円+税

メモあらすじ

左右違う色の瞳を持ち、賜とよばれる超人的な才能に秀でた者が産まれる世界。
なかでも殺しの賜を持つミットランズのカーツァ姫は、王の暗殺者として恐れられている。
だが彼女はその陰で秘密組織を作り、弱き人々を助けていた。
あるとき拉致されたリーニッド王父を救出し、王子ポオとともに誘拐の黒幕を探るうち、
カーツァは忌まわしき陰謀の存在を知る--
強くて悩める少女の波乱の旅を描く成長物語。


(本書カバーより)

本

まず最初に誤解を招きそうな表現が「あらすじ」にあるので訂正します
「王の暗殺者として恐れられている」とあるけれど王様を暗殺するわけではないのだ
王様の命令に背くものを王様からの指示で暗殺する という意味だ
お間違いなく…

本書のタイトルや装幀などからはこれが三部作の開幕篇だということはわかりません
三部作そろって訳する予定が今のところないのか
一巻めの売上の動向を見ているのか…
というわけで 森の中でラブラブコースを歩むことになった
あの二人の運命がその後どうなっていくのかが
気になって仕方がない方は
ぜひとも第二弾が訳出されるよう応援いたしましょう(笑)

どこかヨーロッパと思しき大陸&島にある七つの国
かつては一つの家系から派生したものなのに
時が下るにしたがって仲違いやら謀略が渦巻くのである…
ううむ これってやはり大河ファンタジーの王道だよね
で 主人公の姫さまは王様直属の殺し屋…
いままでも高貴な身分でやんちゃなお姫様って設定はあった
しかしまさか殺し屋を!ってことでこのへんはちょっと新しい気がする

王様の命令はぜったーい!なお姫さまですが
そんな王様の命に背くことにした決断のタイミングにはちょっと「?」を感じる
義憤に駆られるならもっと前のタイミングだろ?とツッコミ
秘密組織のネットワークが構築できるまでが雌伏の時だったのかな

さて ファンタジーにありがちな探索行ありモンスターとの戦いあり
大規模戦闘あり 陰謀あり 秘密の抜け道あり…
と これほどかというほど詰め込んだお徳用パックとなっております
主人公のお姫様のじゃじゃ馬ぶりにもがっつり肩入れできるし
かっこいい王子様も登場するし…
ハッピーエンディングだし…

しかし巻頭に出てくる地図のうち
今回の範囲は南半分 もっといえば南東方面に限局していて
まだまだこれからあちこちのマップで何かが起こりそうな予感がしております
王道のファンタジーを堪能いたしました

独断評価:80/100

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