サム・ウェラー『ブラッドベリ年代記』(河出書房新社)を読了
中村融=訳
Ralph Nelson=カバー写真

The Bradbury Chronicles - The Life of Ray Bradbury by Sam Weller

2011年3月20日 初版印刷
2011年3月30日 初版発行
ISBN978-4-309-20560-1 C0098 Y3300E
定価:本体3,300円(税別)

メモ内容紹介

「宇宙時代の抒情詩人」レイ・ブラッドベリ、初の“公認”伝記がついに邦訳!
ブラッドベリ本人や関係者への徹底的なインタビューに基づいて、
誕生から現在にいたる足跡を丹念にたどる。


(河出書房新社ホームページより)

本

生まれた日のことを覚えていると豪語するレイ・ブラッドベリ
本書のすごいところは
レイの記憶にある出来事はほぼすべてが網羅されているのです
この精緻さはレイへの直接のインタビュウだけでなく
関係者へのインタビュウや公文書や新聞などを当たったり
それは相当な仕事だったに違いありません

ワタクシのなかで
勝手にレイ・ブラッドベリは「麗」ブラッドベリであって
とても美麗/優麗/華麗なオヂサマだと思っておったわけです
それがどっこい!
かなり自己顕示欲というか
自分がデキル奴だということを認めてもらいたがっている
かなりな俗物(←これは褒め言葉ととってもらいたい)だったことに
驚きを禁じ得ない
過去の話を美化している(悪がってみせる)可能性もなくはないが
それでも関係者へのインタビュウからも
レイのはた迷惑な(笑)アグレッシブさが見て取れます

そうか~そんな性格だったのか
これはいままで読んでいた彼の作品について
この背景を知ったうえで読んだら
また違った感想を抱くことでしょう
再読の必要がありそうだ

で この伝記で気になったところは
物語をつむぐことへの執念ともいうべき行動力/習慣です
毎週1篇短篇を仕上げるって なかなかできることではありません
作家はやはりこうした毎日の積み重ねが必要なのでしょう
書き続ける そのことが重要なのです
そして最後の最後まで推敲/校正を重ねて
担当編集者を困らせてしまうという性格(笑)です
これはワタクシも編集者としてこういう著者を担当した経験があるので
そりゃもう作家も編集者もどちらの考えも理解できるのです

その当時の社会情勢 アメリカ政府への反骨精神的な要素が
とても作品に反映されているのだった
なかなかに主張のハッキリした方で
よく言った(書いた)!と もし同時代に新刊として読んでいたら
思っていたに違いないのだ

さらに映画の脚本でのトラブルなど
ハリウッドの暗部をのぞき観た気分になりました

宇宙時代の抒情詩人 レイ・ブラッドベリの作品を読んだことのない人は
まず彼の作品をなんでもいいから読んだ後
この年代記を読むことをオススメします
巻末に邦訳リストがあるのでこれを参考にしてもいいかもしれません

さて 再読のために書斎に埋もれた文庫NVを探し出すとするか…
みつかるか?(買った方がはやいか?)
いや そもそも再読している暇があるのか……!?

独断評価:90/100

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