ドミトリー・グルホフスキー『METRO 2033(上・下)』(小学館)を読了
小賀明子=訳
橋賢亀=カバー・本文イラスト
土屋哲人=ブックデザイン

Metro 2033 by Dmitry Glukhovsky

2011年2月2日初版第1刷発行
(上巻)ISBN978-4-09-356711-4 C0097 Y1700E
(下巻)ISBN978-4-09-356712-1 C0097 Y1700E
定価各:本体1,700円+税

メモあらすじ

それは、華麗なデザインの駅が列なる、もう一つのモスクワ。
しかし、2033年、その美しさの面影はない。
核戦争で汚染された地上を逃れ、人々が生活の場所としたのがメトロの駅だった。
主人公・アルチョムは自分が暮らす駅を救うため、
モンスターや襲撃者が潜む、暗く、長いトンネルを旅する。
その行く手に待ち受けるものは―?
モスクワ生まれの作家が紡ぐ、驚きの近未来小説。


(BOOKデータベースより)

本

少年アルチョムがひたすらモスクワの地下を疾走します
いろんな危機に陥りつつも周りの連中に助けられ
このポストアポカリプスの地下世界を目的地目指して走ります

この一見救いのなさそうな世界
最初はゲームの「メトロイド」やミエヴィルの長篇『キング・ラット』を思い浮かべた
地上を探検して食料や書物/武器などをぶんどって
地下へ持ち帰る人たちが英雄視されている
主人公のアルチョムもそんな「男」に憧れているのですが
まさか自分が世界の命運を握るようなことになるとは思ってもみなかったでしょう
ストーリーとしては平凡な主人公がある日突然異種なものに巻き込まれ
意図しない冒険に付き合わされることになるタイプの
ライトノベル定番の展開なのです

彼らのねぐらの駅が敵(黒き者)に襲われます
その敵の正体がジツは……
最後の最後でぼんやりと輪郭が見えてくるのですが
結局のところ何だったのかちょっとモヤモヤ感が残ります
人間は人間本位な考えからは抜け出すことができないのでした
それにショックを受けたアルチョム君はその後地下世界に戻って
何を思ったのでしょう
ひたすら暗く そして人類の行く末を暗示するかのような結末でした

ところで本作の魅力はモスクワを訪れたことのない人でも
その複雑怪奇な迷路のようなメトロの世界を旅することができることにあります
路線図を眺めながらアルチョムと一緒に旅することになるので
同じような名前の「~スカヤ駅」にも自然と慣れてきますよー
路線図好きにはジュルな作品でした

東京メトロの各駅に置き換えて妄想をたくましくしても面白いかもしれませんね

独断評価:70/100

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