リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』(Uブックス/白水社)を読了
岸本佐知子=訳
田中一光・片山真佐志=ブックデザイン
René Magritte: En hommage à Mack Sennett=カバー挿画
(C)ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011

Almost No Memory by Lydia Davis

2011年1月15日印刷
2011年2月10日発行
ISBN978-4-560-07174-8 C0297 Y1100E
定価(本体1,100円+税)

メモ内容紹介

わずか数行の箴言・禅問答のような超短篇から、
寓話的なもの、詩やエッセイに近いもの、
日記風の断章、さらに私小説、旅行記にいたるまで、
多彩で驚きに満ちた〈異形の物語〉全51篇。
「アメリカ小説界の静かな巨人」によるひねくれた独特のユーモアは、
一度読んだらクセになる。


(本書カバーより)

本

うふふふふ これはなんだ
面白いのか何なのか とにかくインパクトが大きすぎる本です
短篇集なのですけれども
箴言集のようでもあり 結局なんだったのかよくわからない物語あり
一般論のようでいて皮肉がたっぷりこめられていたりして
世間を斜にみる感じがなんともいえません

たとえば「認めない」という超短篇
一見 男と女の脳みそ(考え方)の相違を描いているのだけれども
結局これって男のいい訳じゃないか とも思えてくるのです(ひどいいい訳ですが)

たとえば「十三人めの女」という超短篇
これは一見すると不可触民の悲劇を描いているように思えましたが
んー幽霊譚? それとも「彼女」は文字通り本当に「人」じゃないのかもしれない

たとえば「おかしな行動」という超短篇
鼻にティッシュをつめたり 路上でハダカ踊りをしていても
ワタクシは全然 変な人ではありません
セカイに自分ひとりしかいなければね

表題作の「ほとんど記憶のない女」という短篇
記憶ができない女性 カノジョは
記憶を思い出す作業のためにメモをとる
そしてそのメモを思い出すためにメモをとる
そしてそのメモを思い出すためのメモを思い出すためにメモをとる
エンドレス かなしいなぁ

こんな変なお話(話になっていないものもあるけれど)がたっぷり!
ものを違った方向からみたり考えたりするのに最適!

独断評価:90/100

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