八杉将司『光を忘れた星で』(講談社BOX)を読了

2011年1月5日第1刷発行
ISBN978-4-06-283765-1 C0093 Y1500E
定価:本体1,500円(税別)

メモあらすじ

全人類失明! 日本SF新人賞受賞作家がついに登場!

故郷を失った少年マユリは、視力とは違った感覚「無我の目」を得る計画に参加させられていた。
しかし親友のルーダが能力を開花する一方でマユリは落ちこぼれ、施設から逃亡。
辿り着いた村で監禁されてしまったマユリは政府の女剣術使いアージュに救い出され、
ルーダとも思わぬ再会を果たすのだった。
数奇な運命に翻弄されながらもたくましく生き抜く少年を描くSFサスペンス!


(本書外箱より)

本

視覚に耽溺すると自我をなくすという発想が興味深かった
オールドの点字資料が数多く残っているという設定だからだろうか
今の人類の感覚とあまり乖離していないように思えた
その惑星の全員が失明している場合に
どのような社会が生まれるのかを考え出したら
こうなった というのが正しいのかもしれない

医学の知識の衰えというものはあまりみられなかった
だったらそうなる前になんとかならなかったのか
ということを考えていたら
同じようなことを登場人物が言っていて笑ってしまった
先手を打たれたなw

まぁそういう設定上のおかしなところを論うよりも
主人公の少年マユリの冒険譚を素直に堪能したほうがよいのです
この少年 なかなか根性があります
幼い時代の不遇の生活から抜け出したかと思ったら
村のみんなが天災で死亡
唯一生き残った親友と一緒にどこかに拾われ
やりたくもない「修行」をさせられるのです
自分で物事を決めるまでには成長していない少年たち
大人の思惑に乗っかっていくしか
生きていく方法がみつからないのですね

長ずるにしたがって世間のありようがわかってきます
それは読んでいる読者もそうで 次第にこの不思議な世界の
成り立ちがわかってくるシカケが施されています

親友との仲違い そして別れ
さらに人間の「敵」としての再登場にはマユリ少年と同様に驚きました
ラストのマユリの決断に清々しいものを感じつつ読了

講談社BOXでは久々に(笑)オススメ作登場です
ぜひどうぞ

独断評価:85/100

光を忘れた星で (講談社BOX)/八杉 将司

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