井上雅彦監修『江戸迷宮(異形コレクションXLVII)』(光文社文庫)を読了

2011年1月20日初版1刷発行
ISBN978-4-334-74901-9 C0193 Y952E
定価(本体952円+税)

メモ内容紹介

時空を超えて、今宵の舞台へとご案内いたしましょう。
湯島の白梅が香り、根津の躑蠋が朱と燃える、江戸の暗闇……。
黒装束の賊が走り、火盗改の剣が閃き、闇の仕事師が息を潜める夜の闇……。
そして……百鬼夜行の蠢く宵闇。
時代小説、時代劇を《異形》がやると、こうなる。
そんな心意気を込めて、お届けします。(編集序文より)


(本書カバーより)

本

収録順に感想と7段階評価

かくれ鬼 中島要(+2)
 年末は人肌恋しくなるのですねぇ お江戸の夜鷹たちが恐ろしい
 それでもそんなふうでも やはり二人で死にたいのか
 恐ろしい

黒眚(しい) 朝松健(+2)
 そうか これで「しい」と読むのか
 妬みがこのような怪異を引き起こすのかぁ
 一瞬 京極堂かと思いましたぞ

振り向いた女 竹河聖(+1)
 オカルトなことが起こるのだとばかり思って読んでいたら
 意外な結末にびっくりいたしました

萩供養 平谷美樹(+3)
 嗚呼 ねこが ねこちゃんが……(泣)
 大見世の花魁に恋したなんとも切ないねこちゃんのお話
 ううううっ

雛妓(おしゃく) 長島槇子(+1)
 借金まみれの見習い芸者はお酌けでなく春を鬻がなければならない
 はじめての仕事(=水揚げ)で狂気が舞う
 少女の初恋は切なく散って行ったのでした

常世舟 倉阪鬼一郎(+3)
 体の不自由な妹と肺病の兄の
 大海原で江戸の人々へむけた最後の呪詛がなんとも言えない気分に
 妹萌えな方は泣けると思いますぞ

彫物師甚三郎首生娘 薄井ゆうじ(+1)
 読み終わってから気づいたけれども
 タイトルでネタバレしているのねんw
 人間の活き造りかぁ

異聞耳算用-其の弐- 平山夢明(+1)
 怖い話3つ入り
 これは自分で読む(黙読)よりも
 誰かに声を出して読んでもらったほうがいいかもしれない

江戸珍鬼草子 入江鳩斎作/菊地秀行訳(+2)
 これはっ 面白い
 真っ赤なお鼻のトナカイさんと恰幅の良いサンタさんのお話なのか?
 この時代に万一遭遇したらそうなっちゃうんだろうなーw

大江戸百物語 石川英輔(0)
 ん? 怪談好きたちが集まってお寺で百物語
 最後はキツネに 否 タヌキにつままれたカンジになりました

風神 タタツシンイチ(0)
 彫り物から「氣」が流れて弱気な男が変身
 怒濤の展開にちょっと置いてけぼりになりました

笹色紅 井上雅彦(+1)
 わぉ~ してやられた!
 たしかに大江戸が舞台だけれども そんな展開とは思いもよらず...
 どこかに叙述トリックがないかと探してみたりして

鉢頭摩 佐々木ゆう(+2)
 不思議な美青年登場 しかもBL的展開にドキドキ
 こんなに美しく香りのいいオトコがいるのだろうか
 同性異種姦(?)にwktk

闇に走る 藤水名子(0)
 死霊がみえるとたいへんだけれども
 みえないのにすごいことを平然とやってのける人もいるのです
 そんな人に私はなりたひ

定信公始末 森真沙子(0)
 田沼意次の蝦夷探検にそのような事実があったとは!
 魔に魅せられた人たちの旅路を
 後の文献から読み解くという新しいパターン

泡影 岡田秀文(0)
 悪ガキどもの懐かしい思い出かぁ(遠い目)
 いつの世もかわらないなー
 かわいい話だったな

ぐるりよーざ いんへるの 加門七海(+1)
 この話の千代ちゃんみたいな愚鈍なタイプをいたぶる話は数多い
 時代ものならではの無惨さがあります
 憑き物ストーリーとして面白く読んだ でも哀しかった

宿かせと刀投出す吹雪哉-蕪村- 皆川博子(+2)
 ほぉ 刀が病魔の盾となったのか 結末に納得
 最初はてっきり江戸時代版の美容整形の話なのかとw

前半は遊女ものが多かったけれども
後半はバラエティに富んでいた

個人的には「萩供養」と「常世舟」のような話が好きです
ちょっと感傷的すぎる?

独断評価:85/100

江戸迷宮―異形コレクション (光文社文庫)/著者不明

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