大森望編『逃げゆく物語の話-ゼロ年代日本SFベスト集成<F>-』(創元SF文庫)を読了

2010年10月29日初版
ISBN978-4-488-73802-0 C0193 Y1000E
定価(本体1,000円+税)

メモ内容紹介

西暦2000年を境に日本SFは不死鳥のように復活し新たな春を迎えた。
新しい動きや時代の空気を実感していただければさいわいです。
本巻には、現代を舞台にした“すこし・ふしぎ”系の物語を軸に、
幻想小説や寓話系のものも含め、時間を扱ったSFや、
世界の成り立ちをめぐる奇想小説を収録しました。
現代SFの豊かな広がりと多様性を示す12編をお楽しみください。(大森望)


(本書カバーより)

本

 大森望
 SFって何?についてカンタンに解説されている

夕飯は七時 恩田陸
 その言葉の概念を知らないとトンデモナイ怪物を生み出してしまうのだぁ

彼女の痕跡展 三崎亜記
 カノジョとの思い出の品々が展覧会に出ている シュール 好き

陽だまりの詩 乙一
 人がいなくなったセカイ 機械の孤独と哀しみが伝わる 好き

ある日、爆弾がおちてきて 古橋秀之
 爆弾カノジョのハチャメチャコメディ ラストはちょっと哀しい

光の王 森岡浩之
 実はもう死んでいたという展開にドキッとします

闇が落ちる前に、もう一度 山本弘
 宇宙はとても若かったのですねー 記憶を疑います 好き

マルドゥック・スクランブル“-200” 冲方丁
 ボイルドとウフコックのコンビが活躍 冲方は短篇のほうがいいな

冬至草 石黒達昌
 人の血液を必要とする妖しげな植物 透明感のある記述

延長コード 津原泰水
 ネコ好きにとって最初の1ページがキツい 不思議な話だ

第二箱船荘の悲劇 北野勇作
 最初に読んだときにsakusakuと思った(神奈川県民限定の笑い)のを思い出した

予め決定されている明日 小林泰三
 仮想現実の計算の過程がリアルに迫って来た 面白い

逃げゆく物語の話 牧野修
 わが家の本棚のなかの物語たちはどうなのだろう 狭いからって逃げないでね

編者あとがき
 たしかに若い作家さんが多かったですね

ゼロ年代日本SF概況 大森望
 ゼロ年代に至る日本SFがわかりやすくまとまっていて参考になるなぁ

独断評価:95/100

逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成<F> (創元SF文庫)/著者不明

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