夫婦だけのピジン語 | INDIGO DREAMING

夫婦だけのピジン語

夫は日本語もそこそこ話せるので

「家では何語でしゃべってるの?」

とよく聞かれる。


答えは

「ちゃんぽん」


言語学的に言えば、それは夫婦間で長年培われてきたピジン語である。


なんでこんなことになってしまったのか?


話せば長くなるのだが、要するにお互いにとって楽なほうへ楽なほうへと流されてしまった結果である。


第三者が私たちの会話を聞くと時々ついて来れない。


英語の中にいきなり日本語の動詞が-ingや-edなどの活用形で登場してしまうからだ。

ちょっとどいて、you're Jamma(ジャマ)-ring!(ちゃんとr-化までしている)

ってな具合である。


こーんないい加減な私たち夫婦間のピジン語にも応用言語学的見地からすればちゃんとした法則が存在するのだ。

すなわち

1.同一の意味の単語が二つある場合、言いやすい方が優先される。
(日本でだって「チリ紙とって」っていうより「ティッシュとって」って言うほうがラク)

2.その言語にしかないようなどんぴしゃりの便利な表現は例え違う言語でしゃべってる最中でも優先使用される。
(「That's もったいない!」とか 「あんた、アノイよ(You're annoying!)」など)

3.公衆の面前で言うのがはばかられるような単語(特にシモネタ系)はカムフラージュのため必殺改造変形されて使用される。
(ちょっと例を書くのはやめとく・・・)

4.相手が理解するようになると、きちんと発音するための努力をしなくなる。よって発音はどんどん劣化していく
(私の場合 What? という時いちいち「ホワット?」などと言わずに「わ?」になる)


この夫婦間のピジン語使用は怠け者にはとっても居心地がいいのだが、

双方の言語能力が著しく退化していくという恐るべき性質があるので他人にはおすすめできない。

いや、この変な習慣、つくづく止めたいとは思ってるのだ。

どこかのブログで読んだが曜日ごとに話す言葉を切り替えるカップルがいるそうだ。

「よし、週末は日本語オンリーね!」

と意気込んだがダメだった。もう後戻りはできない・・・

もう海外生活も8年目になるのに、いまだに注文しても一度で聞き取れてもらえないことがある。

「職場ではみんな私の言ってることちゃんとわかるのに何故?」

それは私の英語が上達したからではなくて、周りの同僚が私の英語に慣れてきたからだ

と最近自覚するようになってきた。


何年海外に住んでも英語の上達しない日本人。

それは私のこと。


著者: 村上 雅人
タイトル: 日本人英語で大丈夫―たった2つ直せば