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DRY STORE ROOM NO.1: The Secret Life of Natural History Museum
乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待/リチャード・フォーティ
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この本のあらすじ
(「NHK出版 翻訳書のご紹介」より引用)
これは普段見ることができない展示物の裏側、それも世界最大級の「大英自然史博物館」の舞台裏について初めて明かした作品である。
博物館の裏側にある研究室で、様々な生き物と恋に落ち、人生を捧げた研究者たち。その相手は、蚊からシラミ、クモ、魚類、キノコ、甲虫…と実に幅広い。彼らは、自分のほれ込んだ「種」と一生添い遂げるのだ。本書は、そんな奇妙な人々と、秘蔵のコレクションにまつわる物語である。
「翻訳書のご紹介」で、英文とともに本書を紹介していたので、引用します。
学名についての話なのですが、学名は世界共通の名前です。たとえば、「ユリカモメ」は日本では通じても、アメリカでは通じない。しかし、Larus ridibundusといえば、全世界共通だ。学名にユーモアを盛り込むのは、なかなか難しい。しかし、カスミカメムシ科の一群の属に対して、1904年にG・W・カーコルディという学者が大胆な名前を付けた。
<英文>
These genera all had the Greek suffix -chisme, pronounced "kiss me". Kirkaldy managed to celebrate all the female objects of his affection by adding the appropriate prefix: Polychisme, Marychisme, Dollichisme and so on.
<対訳>
これらの属はすべてギリシア語の接尾辞である-chismeがつくのだが、これは「キス・ミー」と発音する。カーコルディはこの虫たちに、彼の好みの女性名の接頭辞を次々に付けていった。たとえば「ポリー、キス・ミー」(Polychisme)、「マリー、キス・ミー」(Marychisme)、「ドリー、キス・ミー」(Dollichisme)などだ。
化石・動物・植物・昆虫・鉱物など多岐に渡る展示物とともに、その研究者のおもしろエピソードなども書かれていて楽しく読めます。
私が面白かったのは、「研究者は研究している生き物に似てくる」という話です。
ちなみに著者の研究対象は三葉虫なのですが、「年をとるにつれて三葉虫に似てきた。とくに突き出た腹はそっくりだ」と書いています
![にひひ](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/193.gif)
ちなみに三葉虫の専門家は、"trilobite man"(トライロウバイト・マン 三葉虫屋)と言うらしい。同様に、クモの専門家は"spider man"(スパイダーマン)、甲虫研究家は"beetle man"(ビートルマン)なのだとか。
それから、隕石の章を読んでいてちょっとびっくりしました。
隕石は不毛な礫砂漠で採集される。はてしなく続いていそうに思える陰気な場所だ。わたしはふと、トマス・ハーディが「帰郷」の舞台にした架空の荒野エグドン・ヒースを思い出した。
なぜ、びっくりしたのかというと"The Withered Arm"にエグドン・ヒースの記述があったからです
![目](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/242.gif)
Gertrudeの台詞に出てきたのです。
"somebody told me about a man at Egdon Heath. They don't know his name, but they say he is a famous Wise Man, and can help people with...with things like this."
まさか、この本で同じ言葉が出てくるとは思わなかったです。
最後に、著者の言葉で印象に残った一節を紹介します。
わたしたちは歴史によってつくられた存在であり、地球上のすべての種には、語るべき物語がある。そのための第一段階は、つねに名前をつけることから始まる。
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