親の心配 子どもの迷惑 受験は自立のチャンス! [金曜日担当;管野] | 教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

教育現場のプロ3人衆による本音トーク


いよいよ長かった夏休みも終わり。
今ごろ子どもたちも自由研究やら塾の宿題やら、ためこんだ(笑)夏の課題を大あわてでまとめていることでしょう。

そんな子どもたちの姿を見て苦々しい思いを抱いている親も少なくないかも知れません。

特に受験生の子どもを持つ親は、なかなか自覚のない(?)わが子の姿を見て焦りイライラしているかも知れません。

長く高校受験を指導してきた私の経験でも、子どもたちが「受験生」としての自覚を持ちエンジンがかかるのは意外と遅いものです。

親は、1学期で部活も終わり「さあ、夏からは心を入れ替えて(笑)バリバリ勉強してくれるだろう!」と期待していますが、現実はそうなりません。(涙)


それどころか2学期に入ってもエンジンがかからない子も多い!


その理由はハッキリしています。

彼らも頭では、自分は受験生で勉強しなくてはならないと分かってはいるのですが、それまで部活など情熱を傾ける対象といきなり切り離されて上手く切り替えができない状態。

すなわち頭で分かっていても身体が動かない。そんな“金縛り状態”に陥っているのです。

こんな時、勉強しなさいとかそんな調子で良いのなどと言葉で彼らの行動を促すことは禁物です。

やらなければいけないことは彼らが一番知っているからです。


ではどうすれば良いのか?


何も しない ことです。



何も言わなければいつまでたってもやろうとしないじゃないですか!

このまま放っておいたら失敗するのでは…!


そういう不安や心配を一掃することです。

不安や心配はこういう場合何の役にも立たないからです。



第1に、以前の記事(=ココ)でもいいましたが、心配不安は子どもに対して「あなたのことを信用できない」というダメ出しだからであり、第2に心配不安という感情を使って子どもをコントロールしようとすることで、子どもの自発性を奪い取ることになりかねないからです。

そして第3に、もっとも恐ろしいことですが、心配することは「起こって欲しくない現実に対する抵抗」ですから、かえってその「起こって欲しくない現実」を呼び寄せてしまうからです。

「望ましくない現実」を想定して、イヤだイヤだと恐れることは、その「イヤな状況」に注意関心を固定することになり、そうなると益々恐れている現実を作り出してしまうのは良くあることです。



そう考えるとハッキリ分かるのではないでしょうか。

心配は損である。大損である。


ということです。


ですから子どものことを心配する。不安視するということを完全に手放しましょう。

そうすれば何が起こるのか!?


子どもは勝手に勉強し始めるでしょう。

すぐには変化しなくても徐々に自発的にやり始めるようになります。



しかし、ここまで話してもなかなか気持ちの上で納得できない親御さんも多いでしょう。
それこそ、頭では分かっていても身体が切り替われない。(笑)

そういう方には、次の話を読んで視点の切り替えをお勧めします。


勉強でも仕事でもそれが1つの成果として実を結ぶかどうかは、最終的に本人が本気でヤル気になるかどうかにかかっています。
いくら周囲の人間がハッパをかけようとお説教をしようが、本人が心の底から「よし、やってやる!」「やるしかない」とハラをくくらなければどうにもならないのです。
義務感やアリバイ工作のように形だけ頑張っているフリをしたところで、質の低い成果しか上げられないし、そこから学び取るものも少ないでしょう。

受験生も同じことで、彼ら自身が本気で「自分は受験生だ。マジ志望校に受かりたい!」と思わなければ、いくら机の前に座っても力はつきません。

8月~9月は、まだまだ彼らの大部分はそんな本気モードには入っていないのです。

でもそんな彼らも、ある段階で本気スイッチが入ります。
今は受験生であることをどこかで拒否し、本気の勉強を先のばしにしている彼らですが、ひとたび「本気」に突入するや、プロ受験生(笑)に変身バリバリやり出します。

そのスイッチがいつオンになるか親も知りたいところでしょうし、早くオンになればそれだけ有利だと感じるでしょう。


しかし我々受験指導のプロも、人によって皆違うので、誰がいつスイッチオンになるか分からないのです。

夏からオンになる子もいるし、秋にオンになる子もいる。本番直前になってやっとオンになる子もいます。

本番直前にならないとヤル気出ない!?


それを聞いて驚き嘆く親もいると思います。

しかし、たとえ直前であろうとオンになれば信じがたい力を発揮するのも15歳受験生の特徴です。

いずれにせよ早い遅いの差はあっても、彼らのほとんどが本気モードで勉強し始めるのは確かです。

そうして必死で勉強している状態、それが本当の主体的な勉強、ヤル気に満ちて充実している瞬間です。
そういう時は彼らにも不安や恐れはなく、ひたすら勉強に集中している時間となります。(ここまで来るにはそれぞれ大変な時期があり、親も先生もエネルギーを使うわけですが…)


こうして多くの子どもたちは本番までの数ヶ月間を本気モードで過ごすわけですが、恐らく中学受験経験者以外は、この数ヶ月間ほど本気で勉強したことはないという経験を持つでしょう。

実際彼らの集中力は驚くほどで、大げさではなく1日1日、昨日より今日、今日より明日その力の伸び具合が分かるほど急激な向上を示します。


私はこれまで何度もこの奇跡的な変貌を見て来ました。
人間の能力の持つすさまじいまでの可能性。それは驚異的な光景です。

大人ではあまり見られない現象かも知れませんね。

まさに15歳の若者恐るべし!(笑)


さらに彼らのすごいところは、結果(合否)に関係なく自分たちの頑張りから多くを学び取ることです。
全力投球したからこそ、自分の持っている底力や逆に何が欠けていたのかなど学びは各人各様ですが、確実に人生を生きる上で糧となるであろう大切な教訓を学びとっているのです。

塾講師が言うことではないかも知れませんが、たとえ合格できなかったとしても、いやむしろ失敗したからこそ余計に多くを学び成長したといえる子も多いのです。


こうして見ると、親の心配や不安は子どものスイッチオンを遅らせ、たとえスイッチオンになってもせっかくの「ヤル気」をそぐことになりかねないのです。
子どもの成長の足を引っぱることになりかねない。

どうか子どもを信頼して下さい。

我が子の現状がたとえどんなに心もとなく見えても、スイッチオンになった近未来の姿を心に浮かべその姿を信頼して欲しいのです。




最後に受験生を持つ親の皆さんにひと言。




子どもが受験生になった時は実は大きなチャンスです。

子離れ親離れに向かっての絶好の機会ととらえて下さい。子どもを自立させるチャンスであると。受験を通じて成長するチャンスだと。


そしてまた子どもの受験は親にとっても、子育て後の第2の人生へ向けてのチャンスなのではないでしょうか。
子育て後にも長い人生が待っています。いつまでも「子どもが心配」の名のもとに、子どもに執着する親であって良いはずはありません。



ですからこの機会に「我が子は大丈夫だ」と思って心配不安を手放し、子どもを過度に注視することをやめ、親はむしろ今こそ自分のやるべきことに集中しましょう。

家事でも仕事でも趣味でもペットを飼うでも、何でも自分がやるべきことやりたいことに、心をこめて誠実に丁寧に集中しましょう。

その親の姿勢こそが、子どもにも伝播し「自分もやるべきことをしよう」という自立の姿勢、すなわちスイッチオンにつながります。


信頼に勝る励ましはない。


子どもの背中を押し勇気づけるのは、心配や不安ではなく信頼の力だということを忘れないで頂きたいのです。

■□■□■□■□■□ イベント情報 ■□■□■□■□■□

『夫婦のための子育て法』

…母親のための教育講演、父親のための教育講演に続く教育講演会第3弾!

今回の講演では「夫婦のあり方が子どもの成長に大きく響く」という理論をもとに史上初めて「夫婦のタイプ別教育法」を公開し皆様の子育てに貢献したいと考えています。
是非ご夫婦でご参加下さい。シングルマザーの方にも参考になりますのでふるってご参加下さい。

日時:2014年9月21日(日)
   午後2時~4時(1時30分開場)

場所:ザ・クレストホテル柏 クレストルーム
講演者:管野 淳一 他

☆ 詳細はこちら ☆
http://arcs-edu.com/event.html





人気ブログランキングへ