地方競馬全国協会のホームページに、本年度上半期の地方競馬開催成績がUPされました。

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 http://www.keiba.go.jp/nar/holding-result.html


 そこに見られる特徴等について述べさせていただきます。

 なお、本年度と昨年度の上半期成績表から、本場、場外(専用場外と他の競馬場での広域場外)及び電話投票の売上げ内訳も作成(総売得金-場外売得金=本場売得金。場外売得金-電話投票=場外)しましたので、これも使わせていただきます。↓


たちあがれ荒尾競馬!(仮)-H22上半期成績

 まず言えることは、本年度に入って、どこの競馬場も苦戦していると言えます。今年の1月頃から、そして更に一段と7月頃から景気のせいでしょうか、リサーチはしていませんでしたが、感覚的に良くないなとは、思っていましたが、それが裏付けられたような気がします。


 全体の入場者は前年比87.0%、売得金は91.8%です。前年度は、前前年度比でそれぞれ99.2%、98.2%でした。

 本年度入場者が増えたのは、ばんえい帯広のみです。前年度は、前年度は、浦和、川崎、兵庫、荒尾と4場がプラスになっていました。さらに、本年度は入場者数が約2割以上落ちた場が、川崎、高知、荒尾と3場あります。

 売上げについて言えば、前年度比でプラスになったのは、高知のみです。これで高知は、前年度は約2割本年度は約3割の売上げ増です。これは、ナイター効果だと思いますが、経営的には後に申し上げるとおり、厳しいところもあるようです。売上げ減が5%以内で収まっているのは、北海道、大井、福山、荒尾で、逆に10%以上落ち込んでいる場は、前年度はばんえい帯広のみでしたが、本年度は名古屋、兵庫、佐賀と3場に拡大してしまいました。


 発売形態別に見ますと、本場発売額は本年度、全体で11.5%の減ですが、場別に見ると、35.1%減から3.8%減まで、大きく差異があります。最も減少幅の大きい北海道は、昨年度は札幌開催がありましたが、本年度は門別開催のみであるという特殊事情のためと思われます。荒尾は、残念なことに本場売得金ではワースト2、北海道の特殊事情を考えれば、実質ワースト1の31.1%減です。それでも荒尾が全体の落ち幅では健闘しているのは、場外がまずまず、電話投票が大きく伸びているからです。


 次に、場外発売ですが、全体で10.5%の減です。前年度比プラスとなったのは、金沢と福山ですが、これは広域場外レースが増えたことによるものと思われます。逆に10%以上の減少となったのが岩手、川崎、名古屋、兵庫、高知、佐賀です。荒尾は3.1%の減少です。


 電話投票は、全体でも伸びていますし、金沢と名古屋を除き、前年度比プラスです。ただし、荒尾を除き、伸び幅が前年度よりダウンしています。荒尾は、昨年度は21.5%の増。今年は58.1%の増です。

 とにもかくにも、本場や場外の落ち込みを電話投票でカバーしているというのが、地方競馬の実態ですが、電話投票による新規顧客の開拓も、いずれは頭打ちになることは避けられないことですから(事実、JRAは電話投票の売上げがが減少しつつあります。)、いつまで、電話投票の効果が見込めるかと言うことは、常に気にしていなければならないと思います。


 ところで、電話投票の伸びで、全体の落ち込みをカバーしていると言うことは、経営的には厳しさが増していることになります。というのは、勝馬投票券の発売に要する経費には、定額で契約している経費と、売上げに対する料率で契約している経費があるからです。定額経費は、売上げが伸びれば、売上げに対する比率は下がります。従って粗利益率も上がります。しかし、料率で契約している経費は、売上げが伸びても率は一定ですから、粗利益率は変わりません。言い換えれば、売上げが伸びればコストも増えると言うことになります。

 電話投票の料率は、オッズパークが12.5%+2.4%=14.9%(5重賞発売場は更に+α)、楽天が11%+0.6%=11.6%です。全体の売上げが伸びても、電話投票の比率が高まれば、コストが増えて、手元に残る益は増えない、或いは反って減るということも起こります。

 高知は、確かに全体の売上げは伸びていますが、本場が約2割減、場外が約1.5割減ということで、経営の厳しさに変わりがないと言っていると聞きました。そういう点で、電話投票の伸びで売上げ減をカバーしている荒尾も厳しいのではないかと思っています。


 荒尾について、もう二つ加えると、一つは、去年18.2%本場入場者が増えたのが、今年は21.5%の減になっていることです。今年、本場入場者が2割以上減っているのは高知と荒尾です。高知は、本場が市街地から遠いところでナイター競馬というのが響いていると聞いていますが、荒尾の理由がよくわかりません。去年と今年では、開催曜日に基本的変更がありました。これが響いているのかなとも思います。南関東では、水曜木曜に入場者が多いのですが、これは不動産業等、水木休みの企業が多いということによるもののようですが、荒尾地域の企業はどうなっているのでしょうか?

 もう一つは、場内購買単価が、昨年も今年も落ちている、しかも、全国的に見ても落ち幅が大きい場となっていることです。地域経済の状況の反映でしょうか?それならばやむを得ないところもあるのですが、一つ気になることがあります。一般に場内購買単価は、入場者数が増えると下がり、入場者数が減ると上がる傾向にあります。というのは、入場者が増えれば、固定客以外の流動的顧客数が増えるからです。言い換えれば、ヘビーな競馬ファンの方が購買額が多く、ライトな競馬ファンの方が購買額が少ないからです。去年から今年にかけて入場者が減っているのに、購買単価がこれだけ落ちるのは、流動的顧客の減少に止まらず、固定客も減っているのではないかと懸念するところです。


 いずれにせよ、これらは外から見た見方ですので、誤っているところもあるかもしれません。


【投稿者】片寧武