年 末 雑 感 | 針尾三郎 随想録

   年 末 雑 感

 平成20年という年も、愈々終わりに近づいた。やはり年末というのは前々から侘しいが、特に今年は不況の色が濃いので尚更侘しい。

 年が変わると私は79才になる。既に後期高齢者であるが、それに一つ輪が架かることになる。我々が子供であった頃に比べると、今の時代は年寄りの割合が増えているであろうから、そして昔に比べると社会保障も充実しているから、それらを背負わなければならない、今の時代の政府と国民は大変である。

 昔の政府と国民は戦争とその敗戦で、大変な思いをした。しかし時代は変わっても国民一人一人が負担する税によって国家は維持される。

 その意味では我々生産性のない高齢者は、せめて社会の発展の足を引っ張ることのないように心掛けねばならないが。


 我々が生まれた昭和一桁の頃は、やはりアメリカの株の大暴落から始まった世界的な大不況で、我々親の世代は大変な苦労をした。そしてその大不況からもたらされた国際的な各国間の軋轢が、第二次世界大戦の一因になったとも言われている。

 昔から〝歴史は繰り返す〟と言われている。果たしてそうなのかどうか?。しかし来年から本格的になるであろう世界的な大不況も、その発端は又しても〝アメリカの株の大暴落〟即ち〝金融政策の破綻〟からである。

 今現在の働き盛りの人たちの失職。そして若い人たちの無職。これから先、我々高齢者は、せめて社会の邪魔者にならないように、務めなければならないが。


 昔の人の歌に詠んで曰(いわ)く、

 〝門松や冥土の旅の一里塚 目出度くもあり 目出度くもなし〟と。