今年初の守護者です(^_^;)
ちまちま書きはなかなか進まず…m(__)m

改めまして、今年もちまちま書いて行きます!!










「なんだなんだ?
こりゃまた変わった組み合わせだなおい。」



和泉が電話を掛けたのは直属の上司である椹だが、椹は和泉が掛けた電話から何かを察したらしく、通話を切った直後にローリィにアポイントメントを入れてくれた。


持つべきものは出来た上司と和泉は椹に感謝しつつ、有里子と共に社長室の大きなデスクの前に陣取り、ローリィにこれまでのあらましを報告するのであった。



「………という訳で、私としては京子ちゃんの今後に係わる一大プロジェクトとして守護者総動員で事に当たらせて頂きたく、報告に上がった次第です。」



「…申し訳ありません社長さん。
  未熟者の私が猪突猛進な和泉さんのブレーキになるには修業が全く以て足りません。
しかしながら、私も京子さんにはもっともっと耀いて欲しいんです。
そのためにも京子さんのプライベートがより幸せであるに越したことはないと思います。
京子さんに想いを寄せる異性は数多(あまた)いるでしょうが、京子さんの心のベクトルが向かう先に一番近いのは誰かを、社長さんならご存知かと思いまして…私たち守護者がその後押しをしても大丈夫かを確認してから動くべきだと判断したからこそ、今日こうして社長さんにご判断を仰ぎに参りました。」



プカプカと葉巻を燻らせながら二人の話を聞いていたローリィは、成る程なぁと頷きながら灰皿に吸っていた葉巻を押しつけて顔を上げた。



「……俺としちゃあラブミー部を立ち上げたくなるほどの愛情拒否っ娘に愛を取り戻すための手伝いがしたいっつー、緑川や有里子ちゃんの気持ちが分からねーでもないんだがな?
………どうしたもんかな…。」



「何か問題がありますか?
  まさか社長、我々守護者の後押しは不要だと仰有るんですか?」



「そうじゃねぇんだ。
実は最上くん…京子の気持ちは少なからず動いてると俺は見てる…だがな、京子自身嫌われる事を極端に怖がってるんだよ。
  想いを伝える事自体怖がってると思う。
京子の気持ちが向かってる相手が京子を嫌うとは到底思えねえが、もし想いを伝えられたとしても気持ちは受け入れられないとアイツが京子を拒む可能性がない訳じゃない。
アイツは本当に、呆れ返る程の頑固者なんだ。」



何しろ芸能界デビューに当たって一人前になるまではと親と縁を切って数年全くの音信不通で、最近になって漸くビデオレター送ったくらいなんだよと苦笑するローリィの言葉に、和泉が挙手し首を傾げて質問した。



「…それが京子ちゃんの気持ちを拒む理由になりますか?」



「アイツなら間違いなく理由にするだろう。
あの頃は考えつかなかったが、アイツもある意味今現在隠れラブミー部員と言っていいしな。」



「…あの社長さん。
先程からアイツアイツと仰有っておいでですが、その…。」



誰だかご存知…と問おうとしていた有里子に皆まで言わせる事なく、ローリィはニヤリと笑みを返す事で当然だとばかりにその疑問に応えた。



「ま、俺に話持って来るのは構わねえんだがな?
緑川、俺の勘だとまず間違いなくお前さんの暴走だろ。
話持って来るなら、守護者総会でも開いて総意を纏めてからにした方が良いんじゃねぇか?」



その総意が俺の手が必要だっつーなら手を貸さないでもないぜと続けられたローリィの言葉に、和泉は漸く自分が一人で突っ走っていた事実に気が付いたらしい。



「…申し訳ありませんでした社長。
有里子ちゃんもごめんなさい。
私の悪い癖ね。
そうよ、こんな大事な事なら皆にも聞いてもらわなきゃ駄目よね!!
こうしちゃいられないわ、早速総会の準備をしなくちゃ!!
失礼します!!」



引っ張って来た有里子をすっかり忘れて置いてきぼりにして、和泉は社長室から風の様に飛び出していった。


後に残ったのは唖然とした有里子と、行動を予測していたらしく驚きもしないで悠然と構えるローリィであった。



「…マネージャーとしちゃあ有能なんだが、あの猪突猛進は何とかなんねぇかなぁ…。
あぁそうそう、君の今後だがな?
  うちでの新入社員研修後の配属先は彼女の下に付いて貰って、ゆくゆくは緑川の後釜にするつもりだからしっかりやってくれや。」



ローリィのその言葉に、有里子は自分の将来が良くも悪くも振り回される事が確定したと確信し、盛大な溜め息を吐きつつ首肯した。



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さて、猪突猛進が有能な方角に働いた和泉の働きは文字通り半端ない。


唯でさえ有能なのに拍車が懸かり、僅か3日で文書にして総会報告書をローリィに提出してきたのである。



「準備するんじゃなかったのかよ…コレ、どーいう経緯か詳細も載ってんのか?」



嘘なんか書く訳ないもんなと呆れ顔で報告書を広げるローリィに、これでどうだとばかりにニコニコ顔で返す和泉は、もはやブレーキがかかるはずも無く。



「文明の利器をフル活用したに過ぎません。
  守護者全体の総意を確かめるべくネット上で総会を開いて、纏めただけですよ?」



サラッと宣う和泉に、ローリィは思わず突っ込みを入れた。



「京子の守護者連中の年齢層を考えたら変だろーがっっ!!」



「私達守護者の愛に年齢の差など無意味ですよ♪
大体守護者の情報交換自体がネット上で行われてますから、喩え80代だろうがPCタブレット当たり前です。」



平然と呆れる事を言ってのける和泉と、その後ろに控えているだろう全国規模の守護者組織に、流石のローリィも頭痛と胃炎の薬が欲しいと思ってしまった…。