すっかりシリーズ化してしまいました【守護者】。


蛇足やらおまけやら残ってますもんでだ~らだ~らと…。(;^_^A



それでは行きま~っす!!





守護者は救いか天敵か!?



「………。
  平和だわぁ…。」



不破 尚が事務所を解雇、芸能界を追放されてはや一月。


解雇前後の騒動も鳴りを潜めつつあり、とばっちりを受けていたタレント“京子”の周りも漸く落ち着きを取り戻してきた。


何の憂いも無く仕事に励み活き活きとドラマにバラエティーにと活動する京子を、マネージャーの緑川 和泉はスタジオの端から満足げに眺めていた。



「…京子ちゃんがのびのび仕事に励めるってのはいいわね~。
…でも何だっけ。
何か忘れてるような気がするんだけど…。」



「……やっぱり忘れてましたね…(ToT)
蓮の初恋成就に協力してくれるんじゃなかったんですかぁ~?」



声だけ泣きべそかいたような、だが表情だけはいつものままという器用な事をする横に並んだ青年の方を見ること無く和泉は愉しそうに笑った。



「…あら社くん。
おはようございます。
敦賀くん相変わらずご活躍で何よりね。
嫌ぁね♪
ちょっと楽しい事が充実しすぎて頼まれ事が頭から抜けちゃってただ・け・よ?」



気にしない気にしないと手をひらひらと振って笑う先輩マネージャーに、社は溜め息を溢さずにはいられなかった。



「それをすっかり忘れてたと言わずに何と言うのか…。」



「まぁまぁ。
…でも恋愛初心者は可愛いわねぇ。
ガタイはでっかいのに仕草がね~。(笑)」



ほら、と促す和泉と促された社の視線の先には想いを寄せる少女に話し掛ける青年の姿。



最早その気持ちは周囲に駄々漏れ状態で、よくぞマスコミを抑えるものだとローリィの手腕を讃えずにはいられない有り様。



「…見なさいよあの顔。
も~、あれで隠してるつもりかしら。(´ψψ`)」



「…らしいですよ?
当の本人には全く気づいてもらえてないですからね、結果として隠せてる事になりませんか?」



京子に笑顔を向けられる度に蓮の頭に一瞬で花が咲く幻が見える気がして、社はポケットから出したハンカチで外した眼鏡の汚れを念入りに拭いて、目を擦っていた。



「…アレで?
あんな駄々漏れなのに!?
…京子ちゃん重症だわ…。」



流石はラブミー部員1号、鉄壁の鈍さなのか湾曲解釈なのかと腕を組み、得心がいったとうんうん頷く和泉に、社はだから緑川さんのお知恵とお力を貸して頂きたいんですよと返していた。



「…まぁ俺だって色々やってみたんですよ?
食欲中枢壊死してんじゃないかってくらい食べることに無頓着な蓮の食欲の無さにかこつけてキョーコちゃんにラブミー部の依頼だってご飯頼んだ事も何度もあるし…。
回数重ねたらキョーコちゃん、自主的に作ってくれるようになったし、蓮の代マネしてくれた時の事もあって健康管理の心配だってしてくれるし、唯の先輩後輩のラインはとっくに越えてる筈なのにソコから先には進まないんですよねぇ。」



蓮のマンションに深夜突撃して演技指導をしてもらった挙げ句、お泊まりだってしたことあるっていうのに何で進展しないんでしょうかと首を傾げる社の聞き捨てならないセリフに、和泉は慌てて社のスーツの袖をひっ掴んでスタジオの外に引き摺り出すと、人目の無い所まで移動してから襟首掴んで問い詰め始めた。



「…アンタうら若き乙女を独身男の一人住まいのマンションに送り込んだっての!?」



「ちっ、違いますよ、不可抗力です!!
一回目は俺が体調崩して代マネ頼んだ時に、蓮も体調崩して看病してくれたらしくて!!
その後は俺も知らないうちにキョーコちゃん自分から深夜蓮のマンションに行ってて、演技指導がエスカレートした時にゲストルームに泊まったって!!
夜に蓮の食事の面倒みてくれてた時も、蓮が日付変わる前にはちゃんと下宿先まで送ってたって聞いてます!!」



間違いなんて起きてません、そんなことになってたら今のあの二人の関係でいられる筈がないでしょうと必死な社にまくし立てられ、頭に血が昇っていた和泉も確かにと納得して手を緩めた。



「……まぁ確かにね。
それだけ恋愛を否定したくなる環境で育っちゃったって事なのよね、キョーコちゃん…。
なんて不憫なのかしら…でも!!
これからのキョーコちゃんにはそんな暗い未来は要らないわよね!?
ふ、ふふふ…!!
燃えてきたわぁ~っ!!
キョーコちゃんが幸福な未来を描くための手伝いをするのも、私達守護者の使命だと思うわっ!!
早速メンバーに招集掛けるからね、任せておいて社くんっ!!」



「あ、ちょ、ちょっと待って下さいっ!!
  和泉さぁんっ!?
  ………しまった…。」



制止する間も呼び止める暇(いとま)すらも与える事なく駆け出して行った和泉の後ろ姿にデジャヴーを感じた社は、自分がまた彼女の起爆装置を踏んづけてしまったのだと痛感したのであった…。









前回に引き続き、和泉ねーさんの起爆装置はやっしーの不用意な一言です。(;^_^A