突発的に思い付いたストーリーです。



なのに見てなかったメロキュン年間企画にタイムリーに…。



あ、一応成立後です。















「…ふふ、いいお天気の昼下がり、公園の芝生で日向ぼっこしてるなんて、贅沢ですね~。」



「…その上、君と一緒っていうのが何よりの贅沢だよ、俺にはね。」



「…////変装抜きじゃ無理ですけどね。」



天然記念物の乙女と、恋愛初心者の青年の気持ちが漸く繋がって半年。



キョーコは蓮とよくよく話し合った末に秘密の交際をスタートさせていた。



逢えるにしても専ら蓮のスケジュールに併せて食事作りにマンションに行くのが精一杯、その後のドライブくらいしかデートも出来ず仕舞い。



そんな2人に、奇跡的なオフが舞い込んだのだった。



「…丸々1日ならみっちり日帰りデート出来たのにな…。」



「…仕方ありませんよ。
  今朝急に決まったオフで、その上明日は蓮さんも私も夜明け前の集合時間なんですもの。
しかもそれぞれ集合場所が別々で遠いから、逆算したらあまり遅い時間までデートなんて出来ません。
  寧ろ滅多に出来ないお日さまの下でののんびりデートを私、楽しみたいです。」



だから近場でいいんですよ、と笑う彼女に、金髪碧眼の青年は苦笑した。



「…そうだよね。
久し振りに昔のキョーコちゃんの髪色と久遠になったことだし、この姿なら誰も気付かないだろうし、満喫させてもらおう。
…だけど、暑くないの?
その格好。
すごく似合ってて素敵だとは思うけど…。」



金髪に戻した久遠の頭を膝枕に乗せたまま、キョーコは柔らかく笑ってみせた。


意外と気温が高いが、白い日傘の下、久遠が見上げるキョーコはテンの力作による黒髪のウィッグを緩く編んで流し、淡い藤色を基調にした正に和装美人の着物姿だったのだから。



「…ふふ、これは少し暑い季節向けの着物だから大丈夫なんですよ?
触った感じで判りませんか?
通気性がすごくいいんです。」



蓮の額に懸かる柔らかな金の髪を撫でながら幸せそうに笑いかけるキョーコに、蓮もまた寝返りを打つようにして太ももに頬を擦り寄せて、本当だねと笑った。


…そんなラブラブな2人に見惚れるギャラリーが、遠巻きにだが公園のあちらこちらに陣取っていた。


実は変装といってもかたや金髪碧眼の美青年、こなた見事な着こなしの和装美女。


駐車場に車を停め、2人が降りた瞬間から既に注目の的になっていたのだった。



「はぁ~。
和装美女と金髪美青年のラブラブデート…。
眼福ものだからもっと近くに寄って見たいけどな…。
  何話してんのかな?」



「…いや、これ以上近付くのは野暮だからなぁ。
…あ、アイツいいなぁ。
一眼レフのデジカメ望遠にして撮影してる。
後で焼き増ししてもらおうぜ?」



…可笑しなギャラリーが増殖していた。




「…今度はちゃんとした休みが欲しいなぁ。
最低10日は欲しいよ。
勿論キョーコも一緒にね。」



「…一緒の休みは嬉しいですけど、なんで10日なんですか。
大体蓮さんがそんなにスケジュール空けられるとは思えませんけど…。」



「行き先が決まってるからね。
とんぼ返りなら3泊5日か4泊6日位で済むけど、ゆっくりできないのも嫌だし、向こうのスケジュールの都合もあるし…。」



「へ…?」



「頑張ってスケジュール空けなきゃ。
行ってくれる?
両親に会いに、アメリカへ。
近い将来家族になりますって、さ。」



「な、ななななんでそんな話にっ!?」



「ん?
だって当然の事だから。
俺は君以外のお嫁さん欲しくないし、君をどこかの馬の骨に渡す気も無いから。
…それともキョーコは俺を…棄てるの?」



ピンと立っていた耳を元気なく垂らし、振り切れんばかりに振られていた尻尾がくたりと垂れ下がるといった風情で哀しげに見つめてくる金色の大きなわんこがそこにいた。



「なっ、何言ってるんですか!?
  ………っ。」


今現在、その日その日が楽しくて未来にまで頭が回っていなかったキョーコは、そう言われて初めて自分の未来予想図に蓮の居ないものを想像して青ざめ、目を潤ませた。



「…っ、キョーコ!?」



急に顔を歪めてポロポロと泣きだしたキョーコに驚き起き上がった蓮の耳に、すすり泣きながら感情を吐露するキョーコの本音が届いた。



「…嫌ぁ…。
久遠さんとずっと一緒がいい…。
貴方に棄てられたらきっと私、生きてられない…っ。」



蓮は自分を棄てるのかと訊いたのだが、キョーコはそれが自分が棄てられる側を想像してしまったのだった。



「…っ、ゴメン。
意地悪な訊き方したね?
俺が君から離れたりするなんて天地がひっくり返ったってあり得ないから、泣かないで?
君が嫌だって言ったって離れたりしないよ!!」



傘を手放しポロポロと泣く和装美女を慰めながら抱き寄せ、頬を伝う涙を吸い取ろうと唇を寄せる金髪碧眼の美青年の姿に、ギャラリーは鼻血吹くやら砂吐くやら、赤面し過ぎて頭に血が昇り卒倒する者やらが続出したらしい。



その日、天気のいいその公園の事務所兼医務室は満員御礼となり、公園職員を大いに悩ませた。




…そんなことがあったなどと露ほども知らないラブラブデートの2人は、行く先々で鼻血の河やデザートヘルを作りまくった。



「…何かここの公園、やけに救急車来てない?」



「少し暑いですから…熱中症になった人でも出たんじゃありませんか?」




…どこまでもお互いしか見えていないラブラブカップルであった…。






終わっとく?