熱でへろへろになりつつもちまちま書き溜めた分をupしちゃいます。

あっちもこっちもやっしー大活躍です。





それでは続きをどうぞ。





行きはマリアと一緒だったが、帰りは別々になるのは予め分かっていたキョーコは帰国する前に一応マリアと連絡を取っていた。

『お祖父様には私から連絡しておきますから、お姉様は到着ロビーにいてくださいまし!!』


マリアにそんなに気を遣わないでくれとキョーコは言ったのだが、逆に怒られてしまった。


『お姉様は自覚無さすぎですわっっ!!
  出国する時あんなに注目されていたのをもうお忘れですの!?』


…それはマリアと並んでいたからだとキョーコは思っていたのだが、勿論それはキョーコの天然大ボケ勘違いであった。


帰国するにあたり、ジュリのたっての希望でもう一度着物を着たキョーコは、そのまま機上の人になっていたため、国際空港の到着ロビーで振袖姿というとんでもなく目立つ出で立ちで、正に注目の的だったのだ。

今や日本国内に於いても絶滅危惧種の淑やかな大和撫子の姿に見惚れない者は居なかった。



到着ロビーのキョーコを迎えに来たのは、キョーコには意外な人物であった。



「…社さん?」


「…ってえぇえ~!!
キ、キョーコちゃん!?」


そう、キョーコにとって演技の神にも等しい先輩俳優、敦賀 蓮の優秀なマネージャー、社 倖一その人であった。




…話はほんの30分程前に遡る。

千葉と東京の境でドラマの撮影をしていた蓮に、当然同行していた社の携帯がぶるぶると震え出した。

手慣れた仕草でゴム手袋を嵌めると、社は相手を確認して目を丸くした。



〈…社長…。〉



こういう時の電話にいいものがあるとは思えなかった社だが、出ない訳にもいかないと諦め通話ボタンを押した。



内容はこうだった。


成田に今直ぐ向かい、急に1人で帰国したLMEのタレントを到着ロビーに迎えに行くように、だった。


「何故私なんですか?
迎えに行くなら他の社員でも…。」


『もう着いちまってるんだよ。
1人で帰ってくるって本人は言ってるんだがな、動くと危険窮まりない。
下手に移動したら揉みくちゃにされる。
今外にいて成田に一番近いのはお前だからな、蓮は放っといても次の仕事行けるだろ?』


目印は日本人形だ、さっさと事務所に連れてこい、といい放ちローリィは電話を切ってしまった。



〈…日本人形?〉



首を傾げながら携帯を仕舞った社は蓮に事情を話し、タクシーで成田に向かったのだった。




成田の到着ロビーに着くと、社はある種の異様な空気が漂っていることに気付いた。

例えて言うなら一触即発な空気だ。


不思議に思った社が何かを遠巻きにしている人だかりを覗き込むと、ローリィの言った通りの日本人形が佇んでいた。



〈…本当に日本人形だ。〉



唖然としながらも自分の知るなかでこれほどの着物美人が居ただろうかと思いつつ近寄って行くと、日本人形な美人がこちらに気付き、ふわりと笑ってお辞儀をした。



「…?」



自分に向かって挨拶するのだ、面識がない訳が無いのだが…。


次の瞬間聞こえてきた声に、社は己の耳を疑った。



「…社さん?」



それは紛れもなく自分の担当俳優の想い人、最上 キョーコ、芸名“京子”の声だったからである。



「…ってええぇ~っ!!
  キョ、キョーコちゃん!?」



あまりにもすっとんきょうな声を上げてしまったので彼女の方がびっくりしていたのだが、慌てて着物から覗く白魚のような手を掴み、急いでタクシープールにやって来た。



「どどどどうしたのその格好!?
それに海外に行ってたなんて知らなかったよ。」



慌てるこちらにきょとんとしながらも、キョーコは社長に言われた範囲内で説明した。



「あ、これは飛行機の中で着替えようと思ってたんですけど、着替えを荷物室に送ってしまったので着替えられずにそのままでして…。
海外にはマリアちゃんのお供です。」



ご厄介になったお宅の奥様のたっての希望で帰る前に着物姿が見たいとおっしゃるので着物に着替えたら、飛行機の時間になってしまったのだと苦笑いするキョーコをタクシーに乗せ、荷物の特徴を聞いて取りに行く間待っていて貰おうと振り返った途端、先程の黒山集団が間近に迫って来ていて、身の危険を感じた社の機転で一旦タクシーを発車させる事に成功した。


数分後に少し離れた場所に戻って来てくれと運転手に言い付け、社は黒山集団からそっと逃げ出した。




…さて、荷物を受け取る為の半券のあまりの量に困惑しながら、社がインフォメーションセンターに行くと、空港職員もあまりの多さに目を丸くしたが、端末を操作して荷物のチェックをするうちに更に困惑顔になった。


というのも、あまりの多さに小分けにしないと他の乗客の荷物が載せられないという事で、後から来る貨物用の飛行機にほとんどの荷物が載せられているという。


とりあえずお客様がお持ちになっておられた分だけでもと言われ、社は目が点になったままそれを了承し、残りの荷物はLMEに着払いで送って欲しい旨を告げ、キョーコが乗る時に預けた荷物だけを受け取るとその場を後にした。









ありゃりゃ?
まだ空港にいるよ。(笑)
ちなみに空港で荷物うんぬんの話ですが、何分にも飛行機、それも国際線なんて遠い昔の話なので、あまりツッこまないで頂けるとありがたいです。
次回には事務所に辿り着こう!!←まてコラ