「…謝るって…敦賀さんが私に謝るような事、何もしてないのに…。」
「ううん、少なくとも2つはあるかな。
1つめは…演技しないでサボってた事。」
背中を丸める様にして耳元で衝撃的な発言をした大先輩に、キョーコはビクリと身体を震わせて捩り、今度こそ視線を合わせる事に成功した。
「…え…。」
真っ直ぐ自分を見詰める碧い瞳を覗き込んで、それがコンタクトレンズなどでなく彼の本来の瞳の色だと知って、驚きと納得の目で見返す。
「つ、るがさん…目…。」
「あ、これも謝るものの内だったから最低3つだね。
おれは日本人のクォーターなんだよ。
残りはアメリカ人。
黙っててゴメンね。」
「…何となく納得いきましたけど…最初の話に戻っていいですか?」
「ああ、本当にごめん。
実は君がずっとサラ・ヒズリを演じていたのに、俺は名前を偽っただけで本当は何一つ演技なんてしてなかったんだ。」
嘘じゃないからね、と念を押されキョーコは唖然とした。
〈それって…会ってから今まで…名前だけ変えて素でデートしてたって事~!?〉
わたわたしながら赤面するキョーコに、蓮は神々スマイルを向けて頬を優しく撫でた。
「…君が好きだよ。
ずっと前から好きだった。
毎日毎日、日を重ねる毎に愛しさが増すんだ。
他の男に笑いかける君が憎らしくて、その笑顔を独り占めしたくて…ずっと閉じ込めておきたくなるんだ。
…君はラブミー部で、愛を否定していたから言えなかったけど…もう我慢できないよ。
君を愛する一人の男として、君の愛が欲しいんだ。
…今までずっと言えなかった。
だからゴメン。
これが2つ目。」
混乱のあまり逃げ出すつもりらしく身体を捩るキョーコに、蓮はもう一度耳元で優しく囁いた。
「…君が好きだよ、キョーコちゃん。
最後の1つ、告白させてくれないかな?
まぁ…怒られるか、泣かれるかどっちかな気がするんだけど…。」
じたばたしていた身体がピタリと止まった。
「…それ、私が怒るか泣くかするような話なんですか?」
「…多分ね。
聞いてくれる?」
少し長い話だからお茶でもしながらの方がいいかもしれないな、と名残惜しそうにキョーコを閉じ込めていた腕の中から解放し、蓮はキョーコの手に自分の手を重ねて歩き出した。
「に、逃げたりしませんから、離して下さい…。」
「俺と手を繋ぐの…そんなに嫌?」
しゅんとして見せた蓮に、キョーコは以前見た黒い大きな犬の垂れ下がった尻尾と耳の幻を見た気がした。
「い…嫌なんじゃなくて…は、恥ずかしいんです。
さっきまでは役の上での事だって自分に言い聞かせて乗り切って来てたんですけど、い、今は違うから…。」
キョーコは自分の顔どころか全身が真っ赤になっている事を自覚していた。
優しく握られた手も、さっき撫でられた頬も、彼の指が掠めただけの耳朶ですら堪らなく熱かった。
ぽーっとなった頭のままで蓮を見つめ返すと、蓮はキョーコの手を握っているのとは反対の手で自らの口元を覆いながら顔を背けた。
「…その顔反則だよ。
我慢してるのに理性吹っ飛びそう。
そんな可愛い顔されたら…したくなるじゃないか。」
「…え…?」
「君の答えを聞く前にキスしたくなる。
…しても…いい?」
開けた場所から木陰に移動して、もう一度キョーコの華奢な身体を腕の中に閉じ込め直した蓮は、優しく頬を撫でて顎を上向かせた。
その表情はまさにキョーコの苦手な[夜の帝王]であったが、キョーコは逃げようなどとは全く思わなかった。
キョーコは言葉で返さぬ代わりに、そっと目を伏せ、おずおずと蓮の背中に手を回す事で応えたのだった。
…これ、ローリィ精鋭出歯亀撮影隊なんぞいたらパパもママも狂喜乱舞?
「ううん、少なくとも2つはあるかな。
1つめは…演技しないでサボってた事。」
背中を丸める様にして耳元で衝撃的な発言をした大先輩に、キョーコはビクリと身体を震わせて捩り、今度こそ視線を合わせる事に成功した。
「…え…。」
真っ直ぐ自分を見詰める碧い瞳を覗き込んで、それがコンタクトレンズなどでなく彼の本来の瞳の色だと知って、驚きと納得の目で見返す。
「つ、るがさん…目…。」
「あ、これも謝るものの内だったから最低3つだね。
おれは日本人のクォーターなんだよ。
残りはアメリカ人。
黙っててゴメンね。」
「…何となく納得いきましたけど…最初の話に戻っていいですか?」
「ああ、本当にごめん。
実は君がずっとサラ・ヒズリを演じていたのに、俺は名前を偽っただけで本当は何一つ演技なんてしてなかったんだ。」
嘘じゃないからね、と念を押されキョーコは唖然とした。
〈それって…会ってから今まで…名前だけ変えて素でデートしてたって事~!?〉
わたわたしながら赤面するキョーコに、蓮は神々スマイルを向けて頬を優しく撫でた。
「…君が好きだよ。
ずっと前から好きだった。
毎日毎日、日を重ねる毎に愛しさが増すんだ。
他の男に笑いかける君が憎らしくて、その笑顔を独り占めしたくて…ずっと閉じ込めておきたくなるんだ。
…君はラブミー部で、愛を否定していたから言えなかったけど…もう我慢できないよ。
君を愛する一人の男として、君の愛が欲しいんだ。
…今までずっと言えなかった。
だからゴメン。
これが2つ目。」
混乱のあまり逃げ出すつもりらしく身体を捩るキョーコに、蓮はもう一度耳元で優しく囁いた。
「…君が好きだよ、キョーコちゃん。
最後の1つ、告白させてくれないかな?
まぁ…怒られるか、泣かれるかどっちかな気がするんだけど…。」
じたばたしていた身体がピタリと止まった。
「…それ、私が怒るか泣くかするような話なんですか?」
「…多分ね。
聞いてくれる?」
少し長い話だからお茶でもしながらの方がいいかもしれないな、と名残惜しそうにキョーコを閉じ込めていた腕の中から解放し、蓮はキョーコの手に自分の手を重ねて歩き出した。
「に、逃げたりしませんから、離して下さい…。」
「俺と手を繋ぐの…そんなに嫌?」
しゅんとして見せた蓮に、キョーコは以前見た黒い大きな犬の垂れ下がった尻尾と耳の幻を見た気がした。
「い…嫌なんじゃなくて…は、恥ずかしいんです。
さっきまでは役の上での事だって自分に言い聞かせて乗り切って来てたんですけど、い、今は違うから…。」
キョーコは自分の顔どころか全身が真っ赤になっている事を自覚していた。
優しく握られた手も、さっき撫でられた頬も、彼の指が掠めただけの耳朶ですら堪らなく熱かった。
ぽーっとなった頭のままで蓮を見つめ返すと、蓮はキョーコの手を握っているのとは反対の手で自らの口元を覆いながら顔を背けた。
「…その顔反則だよ。
我慢してるのに理性吹っ飛びそう。
そんな可愛い顔されたら…したくなるじゃないか。」
「…え…?」
「君の答えを聞く前にキスしたくなる。
…しても…いい?」
開けた場所から木陰に移動して、もう一度キョーコの華奢な身体を腕の中に閉じ込め直した蓮は、優しく頬を撫でて顎を上向かせた。
その表情はまさにキョーコの苦手な[夜の帝王]であったが、キョーコは逃げようなどとは全く思わなかった。
キョーコは言葉で返さぬ代わりに、そっと目を伏せ、おずおずと蓮の背中に手を回す事で応えたのだった。
…これ、ローリィ精鋭出歯亀撮影隊なんぞいたらパパもママも狂喜乱舞?