『お前もって…キョーコに何かあったのか!?
ボスっっ!!!!』
「…っ、デカイ声出すんじゃねぇ、電話が壊れる。
少しは落ち着きやがれこの馬鹿が!
全く…心配するな、悪い話じゃねぇよ。」
受話器から耳を離しながら画面の向こう側の重量級の愛情持ち俳優を叱りつけ、ローリィはこちら側の事情を説明して納得させた。
『何だ!!そういう事ならこっちに留学させないか!?
ホームステイ先はうちで預かるぞ!?』
「…ちょっと待てやコラ。
何でいきなりそういう話になる。
第一お前、何の用で電話してきたんだ!」
ローリィに叱られて漸く本来の目的を思い出したクーは、そうだったと用件を述べたのだった。
それから更に1週間後。
椹と共に社長室に呼ばれたキョーコは、思いもよらない展開に唖然とした。
「…か、海外留学、ですか!?」
「ああ、君も進学希望してたから、学力に見合うところを探していたんだがな。
意外な所から意外な話が舞い込んだんだよ。」
「い、意外って…。」
「聞いて驚け、ハリウッドだ!!」
「「ハ、ハリウッド!?」」
椹と声を揃えてすっとんきょうな返事をしてしまったキョーコに、ローリィはうむ、と頷いて見せた。
「あ、あの社長。
進学話が何故ハリウッドになるんですか…?」
開いた口が塞がらないキョーコに代わって椹が訊ねると、ローリィは事の次第を事細かに説明してくれた。
つまり、キョーコの進学先を吟味していたローリィの元に、ハリウッドで活躍中の元・保津 周平であるクー・ヒズリから連絡が入り、完璧な大和撫子を演じられる若手女優を寄越して欲しいと言われたのだという。
知り合いのプロデューサーが方々(ほうぼう)に手を回して探したものの、ハリウッドでそんな役をこなせる日本人が見つからずに、一応アジア人女優まで幅を広げてはみたが立ち姿一つで失格。
日系2世のクーなら伝手があるかもしれないと泣き付かれ、やむなくローリィに連絡してきたらしい。
「…つまりは先生のコネでハリウッドデビューさせて貰えると、そういう事ですか?」
どんよりとした空気を纏いながらキョーコが呟くと、ローリィは吸っていた煙草を揉み消しながらジロリと睨み付けた。
「馬鹿にするなよ?
その話が舞い込んだ直後、俺は相手のプロデューサーと連絡を取ったんだ。
そうしてうちの事務所だけに拘らず候補者をリストアップしてメールした。
その中に君も入っていたに過ぎん。
…選ぶかどうかはあっちで決めることだ。
その結果、君に白羽の矢が立った、それだけだ。」
まぁ、一度渡米して、話をしてくればいいさ、とさらりと言い放つローリィに、まだ納得のいかないキョーコは食い下がった。
「…まだ納得出来ません。
ハリウッドからオファーがあったとして、それと私の進学話がどう繋がって留学なんて話になったんですか?」
「それに関しちゃ、アイツと直接話をした方が良いだろう。
…丁度時間だ。」
そう言うとローリィは秘書の一人に合図を出して大型モニターをキョーコの前に運ばせた。
「……?」
『キョーコ!!
久しぶりだなぁ、元気か?』
映し出された人物に、キョーコは驚きを隠せなかった。
「せっ…先生!!」
2年振りに声を交わす海の向こうの師匠、クー・ヒズリであった。
ボスっっ!!!!』
「…っ、デカイ声出すんじゃねぇ、電話が壊れる。
少しは落ち着きやがれこの馬鹿が!
全く…心配するな、悪い話じゃねぇよ。」
受話器から耳を離しながら画面の向こう側の重量級の愛情持ち俳優を叱りつけ、ローリィはこちら側の事情を説明して納得させた。
『何だ!!そういう事ならこっちに留学させないか!?
ホームステイ先はうちで預かるぞ!?』
「…ちょっと待てやコラ。
何でいきなりそういう話になる。
第一お前、何の用で電話してきたんだ!」
ローリィに叱られて漸く本来の目的を思い出したクーは、そうだったと用件を述べたのだった。
それから更に1週間後。
椹と共に社長室に呼ばれたキョーコは、思いもよらない展開に唖然とした。
「…か、海外留学、ですか!?」
「ああ、君も進学希望してたから、学力に見合うところを探していたんだがな。
意外な所から意外な話が舞い込んだんだよ。」
「い、意外って…。」
「聞いて驚け、ハリウッドだ!!」
「「ハ、ハリウッド!?」」
椹と声を揃えてすっとんきょうな返事をしてしまったキョーコに、ローリィはうむ、と頷いて見せた。
「あ、あの社長。
進学話が何故ハリウッドになるんですか…?」
開いた口が塞がらないキョーコに代わって椹が訊ねると、ローリィは事の次第を事細かに説明してくれた。
つまり、キョーコの進学先を吟味していたローリィの元に、ハリウッドで活躍中の元・保津 周平であるクー・ヒズリから連絡が入り、完璧な大和撫子を演じられる若手女優を寄越して欲しいと言われたのだという。
知り合いのプロデューサーが方々(ほうぼう)に手を回して探したものの、ハリウッドでそんな役をこなせる日本人が見つからずに、一応アジア人女優まで幅を広げてはみたが立ち姿一つで失格。
日系2世のクーなら伝手があるかもしれないと泣き付かれ、やむなくローリィに連絡してきたらしい。
「…つまりは先生のコネでハリウッドデビューさせて貰えると、そういう事ですか?」
どんよりとした空気を纏いながらキョーコが呟くと、ローリィは吸っていた煙草を揉み消しながらジロリと睨み付けた。
「馬鹿にするなよ?
その話が舞い込んだ直後、俺は相手のプロデューサーと連絡を取ったんだ。
そうしてうちの事務所だけに拘らず候補者をリストアップしてメールした。
その中に君も入っていたに過ぎん。
…選ぶかどうかはあっちで決めることだ。
その結果、君に白羽の矢が立った、それだけだ。」
まぁ、一度渡米して、話をしてくればいいさ、とさらりと言い放つローリィに、まだ納得のいかないキョーコは食い下がった。
「…まだ納得出来ません。
ハリウッドからオファーがあったとして、それと私の進学話がどう繋がって留学なんて話になったんですか?」
「それに関しちゃ、アイツと直接話をした方が良いだろう。
…丁度時間だ。」
そう言うとローリィは秘書の一人に合図を出して大型モニターをキョーコの前に運ばせた。
「……?」
『キョーコ!!
久しぶりだなぁ、元気か?』
映し出された人物に、キョーコは驚きを隠せなかった。
「せっ…先生!!」
2年振りに声を交わす海の向こうの師匠、クー・ヒズリであった。