「なっ!!
何で祥子さんを俺の担当から外すんだよ!!」


「…君への監督不行き届きだからだよ。
君には再教育が必要だからね。
君は彼女に迷惑を掛けた事も分からないんだろう!?
君がした事はね、彼女だけじゃない、あの日スタジオにいた全ての人達に損害を与えかねない程の事だったんだ。
ひいてはうちの事務所の信用に拘わる。
君一人の為にうちの事務所の信用に傷を付ける訳にはいかない。
だが君はまがりなりにもうちの稼ぎ額の一人だ。 クビにするのはいつでも出来るから、しっかり再教育出来たら活動を再開する事を許そうじゃないか。 但し、安芸くんのマネジメントからは離れてもらう。
彼女は君に甘過ぎるからな。」


「なっっ!!
そんなの納得できねーよっ!!」


更に噛みつく尚に、祥子の直属の上司である歌手部門の主任が冷やかに睨み付けた。


「納得出来ないなんて言える立場か、いい加減弁えろ!!
これでも社長からすれば寛大な処置なんだ!!
今までの事を考えたら安芸くんもお前も解雇されたって文句は言えないんだからな!!」


漸く黙り込んだ尚と意気消沈した祥子に、社長は改めて処分を通告した。


「…安芸 祥子君。
  君は担当する不破 尚のマネジメントに於いて監督不行き届きであると判断し、不破 尚の担当を外れ、マネージャーとして一から勉強し直しを命じる。
  当然給料査定に影響も出るから、覚悟したまえ。」


「……はい。」


「…不破 尚。
君には芸能人というより人として最低限の常識が欠けている。
最低限の常識を弁えて芸能人として事務所の恥にならないとこちらが判断出来るまで、歌手としての活動を無期限停止とする。
活動を再開するに当たっては今後君をマネジメント及びプロデュースする者は全員男性に限る。
…いいな?」


「何でそこまで…っ。」


苦虫を噛み潰した様な顔をして俯く尚に、社長は何の感情も見せずに呟いた。


「…いい機会だと思ったんだよ。
君がデビューして2年弱、話題や売り上げの面で会社に貢献した事は認めよう。
だがその裏でどれだけの苦情が来ていたと思う?
幼なじみだというあの彼女が業界内でどれだけの高評価を受けているか知っているかね?
挨拶も礼儀も姿勢の良さも、きめ細やかな心遣いも。
  君は彼女の側で育ってきた筈だが、そんな事すら知らない。
しっかり勉強するんだな。」


教育係は付けてやろうと言われ、そのまま退出させられた2人は、主任から引き継ぎや今後の生活について注意を受けたのだった。










オマケが付きます。←ここで終わらないトコが未熟者…( ̄~ ̄;)