盛大に砂糖で出来た砂漠に埋まったような記者会見場の中、気合いで乗り切ったカメラマンたちが、立ち上がって並んだ京子と蓮のツーショットを我先にとファインダーに納めていた。


フラッシュの眩しさを堪えつつ笑顔で応える2人に、質問し足りない報道陣から猛烈な質問の嵐が起こったが、予(あらかじ)め司会者が言った通り、2人は微笑みを浮かべて視線を交わし合い、応えようとはしなかった。


…が。


『ご来場の報道陣諸君!!



LMEに籍を置く者総てがム○クの叫びを体現する事態を巻き起こす、愛を全世界に叫びまくる男、ローリィ宝田がきらびやかな衣装を身に纏い、華々しく登場。

ぎょっとした京子と司会者と、やはりという顔をしてため息を吐く蓮を尻目に、特注マイクを手にローリィは高らかに宣言した。


『君たちの疑問はこの私が責任を持って解決しよう!!
昨日の彼らのデート、その一部始終だっ!!』


スクリーンに注目っ!!といつ用意させたのか、プロジェクターと巨大スクリーンに、昨日の京子と蓮の姿が映し出される。


青くなって蓮はローリィに駆け寄った。


「いつの間にこんなモノ撮ってたんですか!!
それに一部始終だなんて、まずいです!!
俺の素性が…!!」


「構うもんか。
今のお前ならもう大丈夫だろう?
彼女がいる、心から支えてくれる、大切な存在がな。」


心配そうに自分と蓮のやり取りを見ているキョーコに視線を向けて、ローリィは確信を持って頷いた。


「…せめて心の準備をする時間が欲しかったですよ。」


ため息混じりに渋々了解した蓮に、さっさと逃げるように耳打ちすると、ローリィはニヤリと笑ってキョーコの元へと押し返した。


スクリーンに気を取られている報道陣は、まんまとローリィの策略に嵌まり、キョーコと蓮がこっそり記者会見場を後にした事に、いい加減経ってから気付く事になる。

そして先程の蓮の言動と、彼の本名、国籍、家族構成に会場のあるホテルが地震かと思えるほど揺れたのもやむを得ない事であろう。



紆余曲折を経た2人が、数年後周囲の祝福の中、ローリィプロデュースによる前代未聞の規模の結婚披露宴をする事となったのは言うまでもない。



そしてその披露宴で出席者に配られた、これまたローリィプロデュースのDVD“敦賀 蓮・京子~その愛の軌跡~”には後にとんでもないプレミアが付いた。



「社長さぁん!!
何てモノを引き出物にするんですか!!
私と久遠さんを晒し者にしないで下さい~!!
おもいっきり隠し撮りして~!!」


「……社長…。
俺とキョーコで遊ぶのはこれっきりにして下さいね。
いくらなんでもお巫座戯(ふざけ)が過ぎますよ…。」


「心配すんな、お前らで遊ぶのはこれで終いだ。
次はお前らの子供たちで遊んでやっから、とっとと愛の結晶をばんばん作れよ~!!」


「「社長っっ!!!!」」






?END?











…如何でしたでしょうか。
雪兎様のリクエスト、“幸運と幸福”でした。

もう少し文才が私に有ったなら、もっと短くまとめられたんではないかと日々反省会。orz(>_<)


ご感想ありましたらコメント下さると私が喜びます。
長々とありがとうございました。


最後にリクを下さった雪兎様に感謝します。

楽しいネタをありがとうございました。