画面の中では熱々ラブラブでれでれの会見が続いていた。


「敦賀さんに伺います。
京子さんのどこに惹かれましたか?」


「…話し始めたらキリがないくらいありますね。
礼儀正しくて何事にも一生懸命で、料理上手で手先も器用で。真面目で頑張り屋で思いやりがあって…。」


いつかのクー・ヒズリを思い起こさせる称えぶりに、京子は椅子から立ち上がり慌てて蓮の口を塞いだ。


「つつ、つ敦賀さん!!
恥ずかしいからやめて下さい~。」


「いいじゃないか。
今まで言えなかった分まで思う存分言って回りたいくらいなんだから。
君を語るなら少なくとも2日は欲しいところだよ。」


「…お父様譲りの重量級なのね、本当に。」


「お褒めに預かり光栄だね。」


クスクス笑いだして二人の世界を作る蓮と京子を、慌てて司会者が引き戻した。


[ほっ、他にご質問はありませんかっ!?]


「お、お二人に伺います!!
お付き合いを始めて、まだ2日という事ですがお互いを何と呼びあってらっしゃいますか?」


その質問には蓮がマイクを取った。


「…お互いの本名です。
彼女には何一つ隠していません。
出身も、家族構成も、本名も。
将来間違いなく家族になるつもりですから。」


頬を染め、目を潤ませた京子の手を取り、そっと口付けて蕩ける様な微笑みを向けた蓮に、女性報道陣が再び腰くだけ。


[え、え~。
そろそろ時間も迫って参りましたので、敦賀 蓮及び京子よりそれぞれ一言ずつ報道陣ならびにテレビをご覧の皆様に申し上げさせて頂き、会見を終了いたしたく存じます。]


砂吐いて埋まりそうな気分を堪えつつ、司会者は精一杯進行役を勤めた。


京子は蓮に促され、先にマイクを取って、ためらいながらも真っ直ぐに報道陣を見やり、口を開いた。


「…え…本日はお忙しい中、このように沢山の報道陣の皆様方にお集まり頂きまして、誠にありがとうございました。
私のような者が敦賀さんとお付き合いする事をご不満に思われる方が殆どかとは思いますが、敦賀さんに釣り合う人間でいられるようにこれから一層お仕事に精進していく所存です。
ご指導ならびにご声援賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。」


とても未成年の少女のする挨拶とは思えない口上を述べ、作法の見本の様に美しいお辞儀をした京子から蓮はマイクを受け取って一礼した。


「…今の挨拶でも判るとは思います。
俺の選んだ女性(ひと)がどんな子かって。
10年以上片想いしてきた相手と漸く両想いになれたんです。
どうか暖かく見守っていて下さい。
…それから。」


そこで一旦言葉を区切った蓮に、報道陣の視線が集中する。


「…これで公に彼女の恋人は俺だって公表した訳ですし、俺たちにちょっかい出してくる輩は有無を言わせず、徹底的に排除しますからそのつもりで。」


勿論男女なんて関係ありませんから、と笑顔でさらりと宣(のたま)う蓮に、京子以外の人間は背筋に冷たいものが走るのを感じずにはいられなかった。


「~も~、敦賀さんたら。
私にちょっかい出してくる酔狂な人なんて敦賀さんくらいのものですから、心配しなくても平気ですよ?」


「…君は無自覚に人を魅了するからね。
しかも自己評価が低すぎる。
これからは遠慮しないで馬の骨を排除して回れるよ。」


「…へ?
馬の骨!?」


会見そっちのけの会話を繰り広げる2人に、さすがの司会者も呆れ果てたらしい。


[はいはい、そこのバカップルさん。
会見を終わらせてからゆっくり裏でやって下さいね。
…以上を持ちまして、敦賀 蓮、ならびに京子の交際発表記者会見を終了させて頂きます。
写真撮影に5分程時間は作りますが、質問にはお答えしかねますのでご了承下さい。
本日はお忙しい中、お集まり頂きまして誠にありがとうございました。]











記者会見、ちょっと長くなりましたが終了です。

名前もないのにLMEの広報の司会者、有能だなぁ…。


リクネタもあと少しでフルコンプ出来そうです。

もう少しお付き合い下さいませ。m(__)m