こちらも2ヶ月空いちゃいました。
クオンとサラのデートなのに…反省。










社長さんの車で渋谷まで送られ、かの名犬の銅像前で待つように言われた私は、いつ来るか分からない相手役を待つことになった。

だけどなんなの此処は~!
断わっても断わっても次から次へと~!!


《待ち合わせをしているの!
貴方たちと付き合う訳にはいかないのよ、分かる!?》


役の都合上、英語でナンパしてくる物好きを排除してはいるけど、英語でまくし立ててすごすご逃げ出す輩ばかりでもない。

最終的には強引に腕を引っ張って移動させようとする輩まで現れた。


《ちょっ、ちょっと!
離してよ!!
嫌だって言ってるでしょ!?
日本の治安の良さはどこに行ったのよ~!!
お巡りさ~ん!!》


こっちは掴まれた手首が外せずに引き摺られそうになる。

…マズイ。

本当にマズイ。

いっそのこと日本人だとばらしてしまうべきだろうか。

このままだと本当に身の危険が…!


頭のなかでぐるぐる考えていたら、掴まれていた手首が急に解放された。


《…え?》


気付くと私に背を向けて立つ男の人が、私の手首を掴んでいた強引なナンパ男から、私を庇ってくれていたのだ。


《…嫌がってるだろ。
それにこの子は俺の彼女なんだよ。
大事な恋人をよその男に好き勝手にされて黙ってる程、俺は寛大な男じゃないからな…?》


顔は見えないけど、口調と気配で怒っているのが判る。

綺麗な金髪の後ろ姿と言葉からして外国人…よね。

でも…なんかこの見上げた時の首の角度と、服の上からも判る筋肉の付き方、香ってくるコロンの薫りまで、私のよく知るあのお方と一致するんだけど…。


《…っ、わ、私は大丈夫よ!?
ちゃんと逢えたんだし、こんなの放っといてデートを楽しまなきゃ一日が勿体ないわ。
ね、行きましょう。》


私を庇ってくれている大きな背中にそっと触れ、すぐに横に回って彼の腕に自分の身体を押し付けるようにしてしがみついた。

…間違いない。

この人は…あのひとだ。


私の言葉に、彼はナンパ男の腕を離してもう一度睨み付けた。


するとナンパ男は自分の手を押さえながら後退りして、脱兎の如く逃げ去って行った。


背の高い彼の腕にしがみついていた私が顔を見ようと腕の主を見上げると、綺麗な碧色の瞳が私を見下ろしていた。


《…怪我はない?》


大きい身体を屈める様にして私の顔を覗き込んだ彼の端整な顔が目に入って、私は心臓が大きく跳ね上がるのを感じていた…。