敦賀さんがお風呂に入っているうちに、作って置いた夕食を温め直し、スープも用意する。

あらかじめ準備しておいた、作り置きのおかずやご飯をそれぞれタッパーに詰めて、何を作ったかシールにペンで書いて貼っているうちに、敦賀さんがお風呂から上がって戻って来ていた。


「お風呂、ありがとう。
…君も入る?
俺だけ入ったら勿体ないし…。」


(戻って来るなり爆弾発言は止めて下さい~っ!)


「~~何を破廉恥な事言ってるんですかぁ!
お泊りもしないのに入る訳ないでしょう!?
…そりゃお湯は勿体ないですけど、…時間も無いですし。」


ムキになって答える私に、頭を拭きながら歩いて来た敦賀さんは、クスクス笑い出した。


「冗談だよ。
全く、最上さんは可愛いなぁ。
でも、まぁ…本気に取ってくれても構わないけど?」


タオルの隙間から見え隠れする視線に、鼓動が跳ねたが、必死に抑え込んだ。


「お、お食事温め直しましたから。
温かいうちにお召し上がり下さいっっ。」


「ありがとう。
…最上さんも食べよう?」


敦賀さんの言葉に従って、私もキッチンからリビングに移動する。


「…いただきます。
…ん、美味しいね、いつもながら。」


「ありがとうございます。
私もきちんと食べて下さる様子が見られて嬉しいですよ?」


スープに口をつけ、おかずに手をつけながら話は弾む。


「最近はどう?
君のスケジュールもかなり詰まってきたから、依頼するのも心苦しいって社さんが言ってたけど…。」


「…はい、お蔭さまで。
でも私、まだ高校生な上にマネージャーがいないという事で、比較的早めに上がらせて頂いているので、社さんに心配は要らないとお伝えくださいね。」


「…ちなみに早めってどのくらい?」


「…そうですね…。
皆さんが午前様になりそうな時間までのお仕事でも、10時には上がらせて頂いてます。」


「…場所にもよるけど、それでも女の子が一人で帰る時間じゃないよね。
そういう時間は交通手段は?」


「え?
普通に電車があれば電車で…。」


ごくごく当たり前の事を言ったつもりが、何故か敦賀さんにダメ息をつかれてしまった。


「…年頃の女の子がそんな時間に一人で電車で帰宅って…。
最上さん、君、襲われても文句言えないよ。」


そんな敦賀さんを見て、私は何だか可笑しくなってしまった。


「そんなぁ、私なんかに興味を持つ物好きはいませんよ。」


すると敦賀さんは再びのダメ息。


「…自覚してくれ…。
…とにかく、夜はタクシーを使うようにね。
でなければ、もう一つの手があるけど?」


タクシー代が勿体ない私は、もう一つの方法を希望した。


「何ですか?
もう一つって…?」


「仕事が終わり次第、俺にメールを入れればいいよ。
行けるようなら直ぐ迎えに行ってあげるし、ダメでも社さんに頼むから。」


~有り得ないぃ~っ!!

なんて無茶苦茶言うのかしら、この大先輩様は~!









…なんかしょうもない会話で一話終わらせちゃったような気が……あははは~。…すみません。←スライディング土下座!