『よっしゃあ、ほんなら次のコーナーいこか!
坊、次なんやったかいな?』

キュポン。
キュキュキュキュ~♪
ホワイトボードに坊が何か書き始めた。

『コケッコ~!』

『“忘れちゃ困るぜ兄さん!
次は僕と対決さ!
さぁ、この客席にいるお客さんの中から、僕と対決してくれる勇者を選んでくれ!”?』

『コケッ♪』

坊が羽で客席を指差し、掛かってこいとポンと胸を叩く。

『おっしゃ、まかしとき!
みんな、入場する時に番号のついた紙、渡されたやろ?
今からくじ引きして、出た数の人が坊と対決や!』


わぁ~っ!!


観客から歓声が巻き起こる。


笑い声と歓声に包まれて、ステージを所狭しとブリッジロックのアシスタントをする、まぁるい鶏の姿を、ヒズリ夫妻とマリアも楽しそうに見つめていた。


『コケッコ~!』


『なぁんや、もう時間かいな。
 あと3日は続けたい楽しさやったなぁ♪』

『皆さんとお送りしてきました“やっぱきまぐれロック”公開収録でしたが、楽しんで頂けましたか?』


わぁ~っ!!と盛大な拍手が巻き起こる。
え~っ!!という残念そうな声も。

『僕らも楽しかったです!
またお会いするのを楽しみにしています!
本日はありがとうございました!』


それぞれが一言ずつ挨拶をし、盛大な拍手の中、収録の終了を告げ、緞帳が下りた。


「はい、お疲れ様でした~!」


「プロデューサー、予定通り私はロビーでお客様のお見送りしてきます!」


「ああ、もう一仕事頼むぞ、“坊”!」


「はい!」


ぷきゅぷきゅと軽い音を立てながら、着ぐるみのキョーコがADの案内で下手(しもて)に下がっていく。

キョーコは着ぐるみのまま、(坊が“京子”だとは公表していないのだから当然だが)退場してきたファンにサービスで見送りをしたのだった。



「お疲れ様でした、お姉様!
とっても楽しかったですわ~♪」


観客全員を見送り、控室に戻ってきたキョーコに、マリアがにこにこしながら抱き着いた。


「楽しんで貰えたなら良かったわ♪
…どうでしたか?」


キョーコの問いに、ヒズリ夫妻はにっこり笑って拍手した。


「いいアシスタントぶりだったよ。
ただ残念な事が一つだけあったが。」


「な、何ですか?
いけない所があったら直しますので、教えて下さい。」


内心びくびくしながらキョーコが尋ねると、クーは不満げにふて腐れて見せた。


「…うむ、それはな…。
あの坊と対決するのが私ではなかったという事だ!」


「……あ…それは諦めて頂かないと…くじ引きでしたから…。」


大人げない拗ねっぷりに、キョーコもマリアもジュリまでもが可笑しくなって笑い出していた。










次回は最終日の課題が発表です。