4人で移動する事しばし。
いつもの警備員に挨拶したが、なかなか分かって貰えず入るのに少し時間を取られてしまったが、入りの時間にはまだ少し余裕があった。


外せなかった仕事とは、TBMで京子がレギュラー出演している“やっぱきまぐれロック”の公開収録であった。


スタジオ入りして、ディレクターに挨拶しようとキョロキョロしていると、ブリッジロックのリーダーを除いた2人がキョーコに気付き、慌てて近づいて来た。

「おはようございます。
今朝は失礼しました。
慎一さん、雄生さん。
あの、光さんは…?」


「リーダーなら今ディレクターと話しとるよ。
ん~♪やぁっぱ可愛いなぁ♪」


慎一の言葉に雄生も同意する。


「全く目ぇの保養やな♪
…せやけど慎一、こないに可愛い京子ちゃん、もっぺんリーダーに見せたらまずい事にならへんか?」


「…確かに。
京子ちゃん!
済まんけど坊になるまでリーダーに会わんといてくれや。
今その恰好の京子ちゃんに会うたら、リーダー下手したら本番使い物にならん!」


あまりの言われように困惑するキョーコだったが、自分のせいで仕事に支障をきたす訳にはいかないと、2人に同意した。


「あ…はぁ、分かりました。
私もディレクターにご挨拶したいのですが…。
雄生さん、光さんのご用が済みましたら、マネージャーさんにお願いして知らせて頂けますか?
控室におりますので。」


「分かったよ。
ほんなら後でな。」


キョーコの申し出に快く頷き、慎一、雄生の2人はその場を立ち去った。



控室に移動した4人は、控室の備え付けのお茶で一息入れていた。


「あ…そうそう、今日の収録の事、敦賀さんには内緒にしておいてね、マリアちゃん。」


キョーコはマリアにお茶のお代わりを次ぎながら、口止めを依頼した。


「えっ?蓮様ご存知ないんですの?
きまぐれロックに出演している事。」


恥ずかしそうに顔を赤らめ、頷くサラスタイルのキョーコは、同性から見ても超絶に可愛らしい。


「…うん。
実は番組と関係ない場所で、着ぐるみの格好で、敦賀さんと会っててね。
初めての時からずっと、坊が私だって言い出せないままなのよ。
…いずれ決心が着いたら、ちゃんとお話するから、それまでは内緒にしててね?
お願い。」


「…お姉様のお願いでは仕方ありませんわね。
お約束いたしますわ。
お姉様が坊だって事は、蓮様には秘密ですわね。」


キョーコが自分を見込んでこの仕事の事をばらしてくれたのだから、とマリアはにっこり笑って応えた。







クーパパとジュリママはすぐにアメリカに帰ってしまうので、口止めはマリアちゃんだけで♪