おりょうが家に帰り、またその日のうちに下屋敷に戻り、今度は父親と共に下屋敷に正式に奉公することになった日、一日だけ身代わりにと永遠に頼まれ、おりょうと利助父娘の長屋に詰めていた藩士たちは、案の定やってきたごろつき共と、そのごろつき共を金で雇った馬鹿旦那とをしっかり返り討ちにして戻って来た。

おりょうは未だ足の怪我が治り切っていないため、今までと同じように針仕事や厨の下拵えの手伝い等足を使わずにできる仕事を中心に、少しずつ動くようにしていた。
父、利助も家から運んで来た仕事を住まいにと宛てがわれた部屋でこなし、下屋敷に出入りしている小間物商に頼んで仕上げた品物を届けて貰っていた。


一方、ぼこぼこにのされた馬鹿旦那は、それでもまだ諦め切れず、金にものをいわせておりょうの行方を捜していた。
ここまでくると、さすがになりふり構わぬ跡取り息子の有様に、父親の相模屋も怒りをあらわにした。



「正太!
お前いい加減にしないか!
おりょうが気立てのいい娘なのは私も知っちゃいるが、うちの様なお店(たな)でお前のような事されたら信用問題なんだ!
お前、いい笑い者になっているのが解らないのか?
店の金まで持ち出して…いい加減にしないと、お前とは親子の縁を切ることも考えなきゃならん。
よく覚えておけ!」

今まで好き放題させたばかりに、店の屋台骨まで脅かされ、さすがに相模屋も自分の跡取り息子の馬鹿さ加減を自覚したのだった。







尻切れトンボですみません。
明日はも少しまともにかきます。