社長室を後にして、先頭を歩いていたサラは、振り返り後ろ歩きしながら父を見上げた。
「ねぇパパ。
今日はどうするの?」
「…そうだなぁ。
とりあえず…。」
ぐぅぅぅぅぅっ!!
きゅろろろろろ……。
父の腹が返事をした。
「うふふ、とりあえず小腹を満たしましょう。
カフェテリアに行って、何か食べながら今日の予定立てればいいんじゃなぁい?
ねぇ、ママ。」
「そうね。
そうしましょ。」
マリアと4人、連れだってカフェテリアに入ると、周囲がざわめき立った。
しかし4人は気にする事もなく、空いている奥の席に座り、色々と注文したのだった。
4人がカフェテリアに入ってから、遠巻きに社員達は様子を伺っていた。
そこへ雑誌の取材を終え、次の仕事へ移動しようとしていた事務所の看板俳優とそのマネージャーが通り掛かった。
先程呼び止められた側が、今度は彼らを呼び止める側になったのだった。
「おおい、社くん。
敦賀くんも!」
「あ、小谷くん。
さっきはどうも。
今度はカフェの前?」
「うん、さっきの娘、中にいるんだよ。
それがさ、とんでもないサラブレッドだったって話だよ。」
「何?
いいトコのお嬢様とか?」
「…廻って来た情報じゃ、あの娘、あの2人の娘だって!」
そう言った小谷の指差す先にいて、蓮と社の視界に入ったのは、ブラックホールな胃袋で有名なハリウッドスターと、世界的に有名なファッションモデルの夫妻がマリアと彼の少女と談笑する姿だった。
やっぱり蓮さんには見てもらいたいな♪