そのまま車まで戻って、ドアを閉めた途端、先生は拍手して下さった。

「…なかなかいい演技をするようになったな。
やはり育て甲斐のある子だよ、お前は。」

ダメ出しされる前提でいたら、いきなり褒められ照れ臭いやら面映ゆいやら。
さらにジュリエナさんも、先生に続く。

「本当、貴方が言った通りね。
役者としても人間としても凄く興味深い子だって言ってた意味が良く分かるわ。」

「あ、ありがとうございます。(照れっ〓)
まだまだ修業が足りないのは自覚しておりますが…。」

勿論だ、と頷きながら先生はさらに話を続ける。

「お前はまだまだ伸び代がたっぷりあるからな。
演技する上でのバリエーションは多ければ多い程いいに決まってる。
幅も深さも、な。
そこでだ。
お前に新しい課題を与えよう!
今度の課題もお前には未知のものかもな。
…私達の娘だ。
あ、クオンの姉か妹か、好きな方をやっていいぞ♪」

実に楽しそうに告げられた言葉に、ジュリエナさんも同意する。

「素敵っ♪♪
貴方、最高だわ!
早速買い物に行きましょう!」

嬉々として買い物をねだる様子に、先生は落ち着くように促した。

「ジュリ、気持ちは解るが揃えるのは1セットにしなさい?
明日の楽しみが減るよ。
さ、キョーコ。
お前が演じる私達の娘はどっちだ?
クオンの姉か?妹か?」

「…妹でいいですか?
クオン少年はどっちかと言うとお兄さん気質な感じがします…から…。」

頭の中でコーンを思い浮かべながら、彼がお兄さんだったら、この人達が自分の両親だったら、…妹…娘…。
イメージが浮かばない…。

母親とお世辞にも仲が良い等と言えない自分には、どう接すればいいのか見当も着かなかった。





今回の課題は、キョーコちゃんに何を与えるでしょうか。
…なんか長くなりそうな気配が……。