固まってしまった私に、敦賀さんは屈み込んで顔を覗き込んで来た。

「最上さん?」

内心弱音を吐いちゃいけないと思いつつ、本音がちらっと顔を覗かせた。

「役作り…までいけてる感じ、まだないんです。
アイツ相手にしなきゃならない時は自分ベースですし、さっきのシーンは申し訳ないですけど平林さんに引っ張って貰ってる感じで…。
いけませんよね、こんなんじゃ。」

「…うん、本来なら、ね。
最上さん、君、少し気負い過ぎじゃないかな。
テレビドラマも映画も演技する事に変わりはないだろう?
役作りも同じだよ。
いつもと同じように考えればいいだけさ。
映画だからって何も変わらないよ。
できる筈だろう?
君なら。」

ああ、やっぱり敦賀さんだ。
私に勇気と力を与えてくれる…。
ちゃんと自分の力で立っていられるように私を見ていてくれる…!

「ありがとうございます、敦賀さん!
何だか自分で変にプレッシャーかけちゃってたんですね、私。
お陰で少し楽になりました。
役作り、もう少し練ってみます。」

本当にちゃんと自分を見ていてくれる存在が目の前にいてくれる幸せに、感謝せずにはいられなかった。
何故か敦賀さんは口元を抑えて無表情になるんだけど…。

「蓮、キョーコちゃん。
撮影再開するってさ。
そろそろ行かないと。」

いつの間にか新開監督の所へ行っていた社さんが戻って来て、スタジオに戻るように知らせてくれた。

「ありがとうございます、社さん。」

私がお礼を言うと、社さんはにっこり笑って肩を軽く叩いてくれた。

「ん、少し元気が出たかな?
今日はもう少しで終わりだろう?
あと一息、頑張っておいでね。」

「はい!」

「ああ、蓮にはちょっとスケジュールの確認があるから、先に行ってて?後から行くからね。」

私はお2人に一礼して、その場を後にした。





なんか毎回長さが違っちゃって読みづらいかな?
誤字脱字、言葉遣いが変だとか読みづらいなんてのがありましたら教えて下さいね~。
だけどこの調子じゃあ何百話あっても終わらなそうなので、はしょるつもりでいますけど。