時間が少しだけ戻ったところから再スタート。
しかも3人称。←こら




クオンスタイルの京子がナツになるべく衣裳替え用のロケバスに移動したすぐあと、“BOX‐R”の監督、安南寿豊はとんでもない客の来訪を受けていた。
進行表を見ながら助監督やタイムキーパーと話をしていると、後ろから声を掛けられたのだった。

「失礼、こちらのロケの責任者の方はどなたですか?」

不意に掛けられた声に安南監督が振り返ると、そこにはサングラスを掛けた背の高い、中年ながらかなりの美丈夫と、同じく3、40代のこれまた麗しい金髪美女が立っていた。

「ああ、私ですが…。」

風貌に面食らってはいたものの、辛うじて正気を保つ事に成功した安南は次の言葉に凍り付いた。

「この度は私共の我が儘をお聞き入れ戴き、ありがとうございます。
京子から話は伺いました。
本日はよろしくお願いします。」

丁寧に挨拶され、彼らが京子の言っていた演技の先生なのだと分かったが、問題はその先にあった。

「申し遅れました。
私はクー・ヒズリ。
こちらは私の妻のジュリエナです。
京子がお世話になっております。」

クー・ヒズリ。
芸能界に身を置くものとして知らない筈の無いビッグネーム。
その妻、ジュリエナもファッションモデルとして世界中にその名を轟かす超一流モデル。

安南ならずとも凍り付くのは必至だった。
彼らが演技の先生…?
とんでもない先生だよ!京子!

「パパ!ママ!」

すっかりナツスタイルに変身した京子が戻って来たのはその時だった。

「…ナツ?」

京子の変身振りにヒズリ夫妻も茫然。

「なぁに?
アタシがどうかした?
来てくれて嬉しいわ♪
パパ、ママ。」

その口ぶり、態度、どれを取っても同じ人間には見えない。
俳優として、まだまだこれからどんどん伸びるだろう、否、伸ばしてやれる可能性を十分に秘めた駆け出し女優の未知の可能性に、彼女が師と仰ぐベテランハリウッドスターは楽しみでわくわくしていた。





あらら、ツグミとカオリがいて、ユミカが出てない。
しかも1日目にして既に4話。
なんか長編になっちゃいそうな雰囲気が…。
←待てーい!